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株式会社人材研究所 社長 曽和利光さんインタビュー

本日はリクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長(人事責任者)を勤め、現 株式会社人材研究所 社長の曽和利光さんにお話を伺いました。人事担当者の考え方や、今後の採用の流れを知りたい方必見の内容です。

新卒採用について企業ブランディングという観点でどのようにつなげて行けばよいとお考えですか?

企業ブランディングは、いくつか難しいポイントがあります。まず、消費者向け企業ブランディングと、採用ブランディングが一緒だった場合です。

例えば、ライフネット生命がそうですよね。ライフネット生命は、安心・信頼というイメージで、求める人も着実で明晰な方のため、全く同じとまではいかないですが、フィット感がありますよね。

それに対して、消費者向け企業ブランディングと採用ブランディングが違う場合です。リクルートがそれに挙げられます。

リクルートという会社だと消費者向けには信頼、安心、フェアや公共的であるとか、社会性があるといったイメージを持ってもらうサービスが多いわけですが、採用はチャレンジングというか、安定よりハイリスクハイリターン、肉食といったイメージを追求したいわけです。

そうなってくると、難しいんですよね。特にBtoCの企業で違いがあると難しい場合があります。

そのため、第一段階は採用に関しての価値観のズレがないかをまずチェックしなければいけないです。そして二段階目では、価値観の合った人に対する採用となるわけですが、今度は採用なので、例えば今の大企業の内定率は1%やそれ以下になります。

その場合、応募してくれた人の99%にお断りをする、バツだしをすることになるので、応募者は気分が悪いですよね。もうあの保険は入らないとか、あの服は買わないという風になる人もいると思います。ですから、BtoCの企業で気にしているのは、あまり母集団を増やさないようにすることです。

そのため、ブランディングの一環として採用を行うBtoCの企業の場合、エントリーの段階で重い課題を与えて、そこでスクリーニングをする事が多いです。

人気のあるBtoC企業となれば、エントリー数だけで見れば1万人以上応募がる会社がほとんどです。ですが採用するのは2〜3人なので、まず採用人数は確保できる。そのため普通にやってしまうとそれこそ2〜3千人の応募が来たりするので、重い課題を課することで、応募者50人に絞って、そこから2人とるようにしているんですね。

何らかの方法で、セルフスクリーニングを働かせて、学生にはいい会社だけれど自分とは違うという風に思ってもらう。これがすごく難しいです。

–おっしゃって頂いたような企業は、比較的応募が多いと思いますが、逆に少ない企業の場合はどのようにすれば良いのでしょうか?

そうですね、いわゆる中小企業が採用ブランディングをいかにするかってことですが、採用ブランディングだけで言うと、マスに対してのブランディングをする必要はないと思います。やったとしても、まず採用の効果を高めることはない。すごいお金がかかりますし、ほとんどはダメですから。

そうであれば、こちらで人を探して、いい人だけにピンポイントにブランディングすればいいと思います。その人にだけわかってもらえれば良いので、その場合は合って話す他、その人に合わせたアプローチを取っていく事になると思います。その中で重要になってくるのが人で、会った学生に対してどれだけ自社の魅力に気づいてもらえるよう語っていくか、そこが大切なところになります。

学生への魅力の伝え方ですが、自分自身の会社の志望動機について話すというよりは、生育史を話す方が良いと思います。自分の幼稚園のときにはこうだったとか、生まれてきて育ってきた環境がこうだったりこんな出来事があったりといった自分の価値観や性格、能力が形成されてきた生育史と会社を紐付けて話すと、向こう側も「ああ自分の過去は」っていうふうに振り返って、「そういうことだったら実は自分も当てはまるな」みたいな話があるんですね。

採用後の定着率の低さに悩まれる人事担当者は多いですが、その点についてはどのようにお考えですか?

組織内で、学生とどれだけつながっていたかが一つの要素になると思います。基本的に組織は、組織図で見られるようなフォーマルな組織体と、インフォーマルなネットワークとしての組織体があります。インフォーマルなネットワークは、例えば新卒同期をベースにした同期ネットワークのようなものが中心になってくると思います。

それをどれくらい強固に作れるか、もちろん同期でなくても良いですが、新卒ってことでいうと内定者の時代からインフォーマルなつながり…簡単に言うと仲良くさせるってことですが、表面上仲良くなるというよりは、ネットワークとして機能するくらいやるっていうのが一つだと思います。

そうすると早期離職の問題にしても、例えば誰かが悩んでいるみたいな話になっても、金曜の夜に同期みんなで集まって話を聞いて慰めて「お前もう少しがんばろうぜ」みたいな話があったり、メンタルベースの問題も誰かがサポートしてくれたりだとか、色々な事があるわけですよね。

採用の際、学生に限らず、優秀な学生や優秀なビジネスパーソンだと世間一般で言われているものがあると思います。色々な企業の採用の状況を見られている中で、どのような定義で優秀な学生と呼んでいるのか、また業務経験のある方に関して、どのような人を優秀なビジネスパーソンと呼んでいるケースが多いと考えられますか?

本当に会社によって違うので難しいですが、まず学生の場合は、成果を出すのに必要な習慣をちゃんと持っているか否かだと思います。習慣というのは性格とか思考とか能力とかを全部総称して言っていることなのですが、自動的に無意識で起こる行動パターン・思考パターン、それがちゃんとあるかどうかですね。それでどのくらい根深いかです。

なぜかというと、会社の中で再現してもらわないといけないわけですから、特定の能力がどれくらい根深く習慣化しているか。すごく意識してやらないとできないのであれば再現性は薄いです。たまたまここまでがんばれたけど次はちょっと発揮できないとか。

それで、習慣はなにから生まれるかっていうと、これは一つしかなくて、繰り返しによってしか生まれないです。優秀さというのはそういう再現性がある、つまりなんらかのものが習慣化されていること。どうすればできるかというと、過去の長期にわたる反復・繰り返し経験を持っていてそういうことができている人のことだと思います。

 –中途採用で優秀なビジネスパーソンの場合も同じでしょうか?

同じですが、新卒と違うのはもう十分機会が与えられているので、実績を出してなかったらダメだというのが中途ですね。キャリアチェンジする場合は別ですが、そうでない転職の場合は、新卒と比べると中途はジャッジが簡単だと思います。新卒の方がポテンシャル採用だし実績もないわけなので結局潜在的な能力を見るしかなくて難しい、でも中途の場合はむしろ働いて10年もたつのになんの実績も残してないとなるとそれはこちらが求めている良い習慣がないとせざるを得ません。

最後に少し毛並みが違う質問です。今採用をどうするという話でしたが、採用しないで社会にどんどんアウトソースしていくというスタイル、いわゆるクラウドソーシングについてはどうお考えですか?

欲しいときに必要なものを獲得するコストがかかるかどうかに関わってくると思います。例えば業態はどんどん変わっていくので人材も変わっていくわけです。だから究極的に言うと、判断の機能だけが中にあって、あとは全部外から取る。組織として対立する考えだと思うのですが、どのくらい組織を大きくして、どのくらいマーケットを大きくするかのバランスによって決まると思います。

一番は、組織では自分一人が社長であって、あとは全部市場から入ってくるということができれば、究極の理想だと思います。ただ市場というくらいなので、その時の需給関係があって、市場からの獲得コストと、中で育成して抱えておく保持コストのバランスどちらが大きいかというだけの問題だと思います。

だから例えば採用という仕事は、なんとなく雰囲気としては中でやるべきだと思っていますが、今はリクルートプロセシングアウトソーシング、RPOとかって言いますけど、特に最終選考を出すことはないですが、一次選考や探してくるみたいなことは全然アウトソーシングでもできる。市場から買えるわけですよね。

しかも採用は、いいときにはガーっとアクセル踏むわけですがやめるわけですよね。そうすると、そのことから考えても採用をアウトソーシングで買うことというのは合理的だと思います。採用以外にも、経理だったり戦略だったり、他の物でも言えると思います。なので業種とか業態とか職種とかというよりは、欲しいときに買えるという状況があるのだったら全部外出しという感じです。残る作業としてはやはり判断するというか覚悟して決める部分になると思います。

株式会社人材研究所 社長 曽和利光さんの関連書籍はこちら

知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48 

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