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千葉大学工学部准教授 津村徳道さんインタビュー

今回は、千葉大学工学部准教授津村徳道さんにインタビューさせて頂きました。津村研究室での肌に関する研究の概要や企業との共同開発についてお話しを伺いました。

津村研究室には4つのグループがあるとお聞きしましたが、各グループの概要を教えて下さい。また、どの様な研究をしているのでしょうか?

[津村先生]

私の研究室は大体4つのグループに分かれていまして、一つ目が肌グループです。肌のグループは化粧品会社と共同で研究をしています。ここにいる廣瀬さんは血流が変わった時にシミの見え方がどう変わるのかを、コンピューターを使用し光の散乱をシミュレーションしてプログラミングしています。龍澤さんは顔が年齢と共にどう変化していくかをシミュレーションしています。

二つ目が質感というグループになります。元々千葉大学の画像系の研究室というのは千葉大学で歴史的に写真や印刷が有名でした。近年では色再現も高レベルで再現出来るようになっていますし、色だけではなく光沢やざらつき、粒状感もコントロールして合わせようという学問が生まれてきました。それを私が名前を付けて質感工学と呼んでいます。質感工学の分野を研究する部隊は二つの企業と共同研究しています。

三つ目が画質感グループです。少し曖昧なグループなのですが、様々な画像を処理するグループです。企業さんと共同で撮影したカメラから照明が何色かを推定するような研究をやっていまして、特許も出しています。

四つ目は、最近立ち上げた情動というグループになります。例えば女性の魅力を感じている時に、人間は心拍がどう変化するかなどを計測する研究を行っています。具体的に言いますと、顔画像を撮影した動画像から心拍数を測れるようになっています。既にスマートフォンなどのアプリにもありますが、顔画像を測るとわずかな血流の変化で顔画像の色が変わっていきそこから心拍を計測することが出来ます。この機能でストレスや魅力といった情報が可視化出来れば様々なことに活用出来ます。情動は今まであまりセンサーとして使用されなかったのですが、現在のコンピューターの信号処理のレベルになるとカメラの感度も良くなっているので顔画像だけであっても相当な情動情報が得られます。「心拍のゆらぎ」というのですが、心拍のゆらぎでその人がストレスを感じているか感じていないか、魅力を感じているかという心の情報が分かるのです。

企業と一緒に研究するケースが多い印象を受けたのですが、三学連携のベンチャー企業との取り組みもあるのでしょうか?産業界から実際のビジネスに、研究室の研究技術を持って行くということもここの研究室からあるのでしょうか?

[津村先生]

まだベンチャーを作るという事はしていません。ベンチャーを作るとなるとそれなりのリソースが必要になりますし、学生もマネージメントを学ぶ必要があります。幸い大手企業の方から我々の研究に対して評価を頂いているので、現在では5社と共同研究をしています。我々が2000年頃に開発していた技術は多くの企業の製品で使われています。我々は情報画像工学といって、普通の情報系の研究室とは異なり画像が付いている研究室です。特に我々は実学と呼んでいます。学問にも理学、物理学など様々な学問がありますが、実学に重きを置いています。

4つに分かれているグループの中でも肌グループに属するお二人にお伺いしたいのですが、廣瀬さん、龍澤さんは肌グループで研究を行う際にどの様な検証を、またどの様なコードを書いていますか?

[廣瀬さん]

皮膚内の光散乱のシミュレーションを使って、実際に肌の色を厳密に再現するといった事をしています。肌の反射率が出力されるのですが、それを元にMATLABというソフトウェアを使用して皮膚の色を画像化するというプログラムを書いています。

そういったプログラムを書く際に、何かオープンソースのライブラリを使用する事はありますでしょうか?基本は研究室独自で書かれた先輩のコードがあってそれをベースに読んで再利用していくのがメインなのでしょうか?

[津村先生]

オレゴン大学の先生が光散乱をシミュレーションするコードをC言語で書いています。光散乱のシミュレーションは本当に複雑です。そのフリーのコードをインターネットからダウンロードしてきて、廣瀬さんがそれを使って更に自分のプログラムを被せています。

[廣瀬さん]

C言語で使用したプログラムから出力されたデータをMATLABに入れて、MATLABで独自にプログラムを書きます。MATLABに関しては自分で独自に書いているのでベースになるコードはありません。

[津村先生]

我々のような画像業界ではMATLABばかり使われています。Forループなどの処理をすると遅いのですが、行列演算がすごく得意です。プロット3Dやインタラクティブの様々な変数情報をすぐに見られるのです。その為かなりバグ取りも楽です。

自分の研究を行う上で、オレゴン大学のコード自体がC言語で書かれているのでC言語をやらなければいけないという風に必要に応じて言語を覚えていくのでしょうか?

[廣瀬さん]

C言語に関しては大学の授業があるのでそこで学んで、それ以外の言語は研究室に入ってからが多いです。MATLABに関しては私も研究室に入ってから学びました。まず私は遠回りをしたのですが、教科書を買ってそれを全て読みました。それ以上に役に立ったのが、書き方や、Forループが苦手で行列が多いというその辺のノウハウを以前この研究室にいた方々のプログラムのソースを読んで学んだのが一番です。

[津村先生]

各先輩が卒業する時に引き継ぎ用のディスクをうちの研究室のファイルサーバーに入れてもらいます。その際リードミーというソースの説明を書いたファイルを詳細に作成し、ソースにもコメントを出来るだけ入れて、後で後輩が見ても分かるようにと言っています。なので2月くらいに卒研が終わった学生や修論が終わった学生が、一生懸命後輩が分かるように整理してソースを置いて行ってくれるのです。

龍澤さんも先輩達のコードをご覧になっているのでしょうか?それはどの様なコードを読んでいるのでしょうか?

[龍澤さん]

見ています。表皮にメラニンがあり、表皮の向こう側にヘモグロビンがあります。肌色はヘモグロビンの赤色の成分とメラニンの茶色い成分と、陰影の成分に分けることができます。その三つの成分に分けて、それらの成分が年齢と共にどのように変化していくのかというのを、肌の色以外に顔の形状の変化や光沢の変化等も合わせて主成分分析を使って、どの様にデータが分散しているのか傾向を取ります。

すごく面白い研究をされている研究室だと思うのですが、なぜこの津村研究室に所属してみようと思われたのですか?

[廣瀬さん]

きっかけはどこの研究室がいいかホームページを全研究室見て、その中で一番面白そうと思ったのが津村研究室でした。画像系の研究室の発表も全部見に行ったのですが、2年生の時に見た卒論発表が一番印象に残る発表でした。発表されていた方達もすごく優秀な方達ばかりだったので、凄い研究室だなと思ったのと、自分自身に力が付きそうだと思ったのもあり入りました。もともと医療寄りの研究に興味がありまして、その医療寄りの事をやっているのが津村研究室だけだったというのがあります。

[龍澤さん]

私も廣瀬さんと同じなのですが、肌について研究しているのが津村研究室だけだったからです。女性としてはやはりお肌の事が気になるので、研究に興味を持ちました。

津村先生の研究室からはどの様な企業に就職するケースが多いのでしょうか?

[津村先生]

私の研究室から画像関係をはじめ多くの大手企業に就職しますが、情報・通信業も多いです。その企業の学校推薦はプレゼンテーション力で決まるのです。プレゼンテーション力は私が一番大事としている所で、我々の研究室生は言語などの他にプレゼンテーションも得意です。廣瀬さんが私の研究室に決めてくれたのは4年生の先輩の卒研発表を見て良かったからと言っているように、我々は感動するプレゼンテーションを作成することが出来ます。起承転結があり勢いのある形で、さらに笑いも出来るだけ加えつつインパクトのあるプレゼンテーションをします。そうすることで就活に役立ちますので、面接でプレゼンテーションをさせる企業には圧倒的に有利だと思います。

研究室に所属している学生さんに対してプレゼンテーションを教えるカリキュラムはあるのでしょうか?

[津村先生]

私が教えたノウハウを代々引き継がれて、先輩が後輩を教えています。この文字が一ミリずれている、このフォントはセンスがない、などチェック項目はすごく細かいです。卒研の発表練習は、先輩がチェックした後に私がチェックする形になっています。コメントをするのに、7分の発表のスライドに1時間半の指摘をし、それを数日繰り返します。スライドを一個一個見て徹底的に行います。そうしますと、徐々に美意識が付いてくるので会社に行っても不自由しないはずです。

津村先生、廣瀬さん、龍澤さんインタビューを受けて頂きまして、ありがとうございました。

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