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神奈川大学工学部教授 森田光さんインタビュー

今回は、神奈川大学工学部教授森田光さんにインタビューさせて頂きました。森田さんの研究室で行われている、情報セキュリティーやプライバシーを守るためのコンピューター技術についてお話しを伺いました。

森田様の研究室でされている研究の概要について教えて下さい。

[森田さん]

私の研究室は、情報セキュリティを扱っています。例えば、悪い人の悪意から生じる物をどのようにコンピューター技術を使ってガードしたら良いか、という観点で研究をしています。

皆さんがお持ちのパソコンも、5年、10年経つと段々故障していきます。この場合は、意識的に壊れるケースは想定しておらず、自然に壊れたり、人為的かもしれませんが、過失で壊れてしまうケースです。しかし、セキュリティというと意味が異なります。作為的に情報を持ってきたり、破壊工作をして相手の装置が壊れてしまったり、サービスが上手くいかなくなってしまったり、というような事を狙ってやられてしまう事です。また、財産に関わる情報を盗まれないよう守る、という事もセキュリティの一般的な意味合いです。

セキュリティと言ってもどう守るのか、という根拠が必要です。根拠があれば、なぜこれが安全になるのかという疑問に理由を与えることができるようになります。そういう根拠として、我々の研究室では暗号技術を扱ってます。昔は他人に容易に知られないよう、わざと文字などを並び替えて分りにくくする「秘匿」が重視されてきましたが、今は、こういう乱数を持ってきたら、確かにこの人に間違いないという、一種の確認手段としてのニーズも加わりました。

もう一つは、プラクティカルのレベルで、本当に役に立つものは何なのか、安全性が確保できないか、という観点で研究をしています。すでに暗号技術自体は、30年程前から急速な進歩を遂げていますが、現在では最先端の部分は足踏み状態です。今後は我々が日常で使っている物をどう生かしたら良いか、という所が研究の幹になります。

次に鈴木さんにお伺いしたいのですが、今どのような研究をされているのでしょうか?

[鈴木さん]

私は、「複数のNFCタグを用いたウェアラブル認証法とその実装」について研究しています。「物」と記憶を組み合わせる事によって、認証をできないかという内容です。

認証の利用例としまして、一般的に皆さんが利用しているドアの鍵は「物」にあたるため、物によって認証をしているという事になります。これは物理的な物なので、落としたら他の人に使われてしまう欠点があります。鍵のように物を拾っても記憶が無ければすぐには使えない、物と記憶を関連させた認証方法を実現させようと考えています。

そこで、認証の方式としてウェアラブル認証という物を提案しました。「物」は自分の服などに身につけておくNFCタグで、そのタグをどの順番で選択していくかによって認証を行います。その読み取りの順番は、本人が記憶していますので、物と記憶による認証を組み合わせる事になります。キーボード上で数字を選択する方法とは違い、タグの個数をいくらでも増やす事ができるメリットがあります。

次に助川さんの研究内容を教えて頂けますでしょうか?

[助川さん]

「プライバシーを考慮した身分証デバイスの提案とその実証」というテーマで研究をしています。

例えば、お酒を買う時に免許証を出すと20歳以上という事は分かりますが、住所や車を運転できる事などその人の情報が分かってしまいます。そこからどこにプライバシーが漏れるか分からない、という懸念があります。必要な時に、必要な情報を適切に提示するために、私達は属性を作りました。示したい属性だけを示して、なおかつ顔写真が付いていれば、その証明書自体がその人の物だと判別できます。学生証なら大学がその人の身分を保証している、という事も分かります。

他には、署名を行う際にブラインド署名という、対象者の本名は明かさないけれど、年齢などの属性に対して、権威ある署名者が署名するという技術を使っています。それを使う事で、誰だかわからないけれど、その署名を提示する人の属性は確認できるという匿名性を持った認証が可能になるのです。これまでは人に写真を見せて、写真と持ってきた本人の顔を照合してきました。でも、普通は写真と同時に本名なども明かされるので、余計な情報が漏れることになるのです。また、この発展で、例えば自動販売機での指紋で、年齢などの属性をプライバシーを保ったままできないかと考えています。指紋が本名とヒモ付けされると怖い感じがしますが、自分と分らなければ困らないと思われるからです。

これらの方法によって、第三者に必要な情報を与える事なくプライバシーを考えた個人情報の利用を可能にします。また、写真と署名だけを送っているので、本人の詳細な個人情報が漏れる事は無いという形になります。

最後に、見てくれている方に向けてメッセージをお願いします。

[鈴木さん]

大学ではプログラムの実装的な事を教えてもらいますが、かなり基礎的な事しか教えてもらえません。せっかく4年間ありますから、その間に自分で興味を持って何かを作ってみるという事は自分の成長に関わってくると思います。

[助川さん]

大学の4年間、大学院まで行くと6年間は、自由にネタを探せる時間だと思います。今後の自分が何かやっていけるようなネタというのは、周りに結構あると思います。授業からという事もあるし、趣味やニュース等様々な所からネタがあります。身内の会社の関連で、その仕事に何か問題はないかと考えてネタが見つかった事もあります。自由にネタを探せる貴重な時間だと思うので、有効活用してもらいたいです。

[森田さん]

学校の役割は、やらなくてはという状況設定と、聞けば返答が得られる環境を与えることだと思います。必ずしも答えを直ぐには得られないかもしれません。でも、「あそこに行ったら答えが分かるかも知れない」という道標に大学はなります。プログラミングなどを自由に作って行く環境とツールを学校は提供しています。いろんな課題を通して、学生は色々なスキルを蓄えることになります。学生の時代に、なんでもかんでもできるようになるわけではありません。でも、社会で必要とされる、オブジェクト指向型のJavaと手続き型のCのプログラムを読めるくらいになれば、なんとかなります。学校からは、その為に必要な場と栄養が与えられるのです。

できれば、学生は、錦織選手がテニスをやっているのと同じように、プログラミングなどの学びを嬉々としてして取り組んで欲しいと思います。プログラミング自体を面白い人と感じる人はあまり多くないかもしれませんが、これをやったのでプログラムにこんな動きを作り出せた、と楽しんでいる人は結構います。そういう人が一人でも増えて欲しいと思っています。将来的には、よりクリエイティブに勉強できるように、研究室外とも連携して、より良い整備をしていきたいと思っています。

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