今回はITのトレンドワードの1つである「Fintech」についてご紹介します。
FintechとはFinance(金融)とTechnology(技術)という2つの単語を組み合わせた造語です。
元々は、「IT技術を活用して提供される、これまでにない革新的な金融サービス」という意味でしたが、最近では上記のようなサービスを提供するベンチャー企業自体を指す言葉としても用いられています。
では、今なぜこの「Fintech」というキーワードが注目され、世間から高い関心を集めているのでしょうか。「Fintech」について1つずつ紐解いていきましょう。
世界の市場規模
まずは世界の市場規模です。
以下は、IT系コンサルティング会社として有名なアクセンチュア社の分析結果から抜粋した「世界でのFintechに対する投資額」です。
2010年:17.91億ドル
2011年:25.37億ドル
2012年:31.75億ドル
2013年:45.90億ドル
2014年:126.88億ドル
2015年:222.65億ドル
【出典】フィンテック、発展する市場環境
Fintechという言葉が誕生したと言われている2010年から数年は横ばいですが、2014年、2015年と急伸しているのが分かるかと思います。2015年における世界の市場規模は約2兆5300億円と世界的に見ても巨大な市場に成長しているのです。
日本の市場規模と将来予測
続いて日本の市場規模を見てみましょう。
株式会社 矢野経済研究所の調査によると、日本での市場規模と将来予測は以下の通りです。
2015年:48.85億円
2016年:99.10億円
2017年:190.00億円
2018年:319.00億円
2019年:461.50億円
2020年:618.00億円
2021年:808.00億円
【出典】国内FinTech(フィンテック)市場に関する調査を実施(2016年)
日本でも投資額は右肩上がりで、増加の一途を辿っています。これまでは調査・研究といった方針での投資が多かったようですが、いよいよ普及期に入ろうかというところまで来ています。
プレーヤーはベンチャー企業はもちろんですが、メガバンクや大手保険会社など既存の金融系企業も積極的な投資をはじめています。これらの結果などからわかるように、まさにFintechはホットなワードの1つであるといえます。
Fintechのここがすごい
市場の大きさと将来性についてはご理解いただけたでしょうか?
とはいえ、Fintechは一体私達に何をもたらしてくれるのでしょうか。実はFintechと一言でいってもたくさんのカテゴリが存在します。
個人間の送金などに代表される「決済関連」、最近急騰しており話題になっている「仮想通貨関連」、優れたアイデアを形にするためにインターネットで資金調達を行う「クラウドファンディング」、クラウドやAIを駆使した「会計関連」、AIに資金を運用させる「投資関連」など…
挙げるとキリがありませんが、私達の生活で「お金」に関わるところは全てFintechの分野だといっても過言ではないのです。こういったあらゆる分野において、ITの力を駆使したこれまでにないサービスが続々と生まれているのです。
では、具体的にはどういったサービスがあるのでしょうか。「決済関連」のカテゴリに属するFintechサービスを見てみましょう。
ここで、少し想像してみてください。
友達とランチを食べにいった場合、割り勘で払うのはちょっと面倒だと思うことがないでしょうか?しかも、そういう時に限って財布に小銭が入っていなかったり、大きいお札しかなかったり…。仕方なく1人ずつ払ってもよいのですが、そうするとレジの前には長蛇の列ができあがるし待ち時間が気になる…。
こういった場合にスマホ1つでお金の受け渡しができればとても便利ですよね。
Fintechのとあるサービスは、スマホで簡単な操作をするだけで、個人間でお金を受け渡すようなサービスを実現しています。しかも、リアルタイムで送金手数料は無料なのです。
言葉にしただけでは、なかなかこのサービス凄さが伝わりにくいかもしれませんが、私はこのサービスに2つ凄いところがあると考えています。
1つは「利便性の向上」です。
この例では今まで難しかったことを、ITの力を利用することで解決しています。人間というのは「慣れる」生き物です。不便だと思っていても毎日同じことをやっていると、その作業は当たり前になってしまいます。そういうものの積み重なりが、気づかない内に多くの「無駄な作業」を生み出しています。
こういった「当たり前になっている無駄なこと」をアイデア1つで解決しているのは、Fintechというサービスの凄みだと思います。
そしてもう1つは「ベンチャー企業が古くからの慣習を破壊している」という点です。個人間で送金をするためには銀行での振込などが一般的でしたが、これは銀行(またはATM)に出向く時間、送金完了までの時間がかかる上に、送金手数料まで取られてしまいます。このような古くからの慣習を、Fintechサービスは次々に破壊しつつあります。
銀行は長らく手数料収入ビジネスを展開し、ユーザーの利便性向上とは一定の距離を置いてきました。ところがFintechが台頭してきた昨今、メガバンクもこの業界への投資を積極的に増やしつつあります。これは、Fintechというサービス及びベンチャー企業を脅威と感じている何よりの証拠だといえます。
まとめ
今回はIT業界のトレンドワードとして、「Fintech」をご紹介しました。Fintechは既に私達の周囲にも普及しつつあります。
参入障壁も比較的低いため、あらゆる企業が続々と進出しています。そのため、アイデア次第ではサービスが急成長したり、優良なサービスに目をつけた大企業に買われたりということが頻繁に起きている分野でもあります。
皆さんも、日常の「お金に関する当たり前の無駄」を感じていないでしょうか?そこには、まだ誰も足を踏み入れていないビジネスチャンスが眠っているかもしれません。
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