IT業界に広がるひとつの意見として、「SESエンジニアは転職できない」というものがあります。
これだけ聞いてしまうとSES企業への転職を検討している方や、すでにSESエンジニアとして働いている方は不安になってしまいますよね。


本記事ではSESから転職できないと言われる理由について解説しています。記事の中盤以降は、SESから転職を成功させるための情報を集約した内容です。
SESエンジニアで転職を検討されている方にとっては特に参考となりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
- SESからは転職できないと言われる3つの理由
- SESからの転職に失敗する具体的なケース
- SESに多い転職先候補4つと成功させるコツ
- SESエンジニアにおすすめの転職エージェント
目次
SESからは転職できないと言われる理由
冒頭でも述べたとおり、SESからの転職は不可能ではありません。それでもSESから転職できないと言われる理由は以下のようなものです。
- 単純作業が多くスキルが身に付いていない
- 多方に迷惑がかかり退職希望を切り出しづらい
- 労働時間が長く転職活動が行いにくい
これらの内容を精査するとSESエンジニアという職種が原因ではなく、派遣された先の業務状況によることがわかります。
理由①単純作業が多くスキルが身に付いていない
SES企業から派遣されるエンジニアに対しては、スキルを必要としない単純作業や担当者がいない煩わしい仕事が割り振られることも多いです。
SES企業はエンジニア未経験の採用も多いため、クライアントとなる企業もそれを念頭に対処してしまうことが原因に挙げられます。
クライアントはSESエンジニアを育てるために派遣を依頼したわけではないので、経験に見合った業務を割り振るのは当たり前のことです。
こういった状況の中でスキルを得られないまま年齢を重ねてしまうと、転職がより困難になっていくのは明白と言えるでしょう。
理由②多方に迷惑がかかり退職希望を切り出しづらい
SESエンジニアは派遣先で業務に当たるため、退職を願い出た場合は自社とクライアントの両方に影響が生じます。
特にプロジェクト遂行中の退職はクライアントの業務に多大な支障をきたし、自社の評価を貶める結果につながりかねません。
ひとつのプロジェクトが終了すればすぐに次のクライアントへ派遣されるため、退職希望を切り出しづらい環境と言えます。
理由③労働時間が長く転職活動が行いにくい
SESエンジニアの指揮命令権は自社にあり、クライアントが残業や休日出勤を指示することはできません。
ですがSESエンジニアの報酬は労働時間に対して発生するため、派遣元である自社も黙認してしまうケースまで見られるのが現状です。
労働時間が長くなってしまうと休息を優先する傾向が強くなり、転職活動を行う時間とモチベーションが失われます。
SESからの転職に失敗する具体的なケース
SESが転職できないと言われる理由について解説してきましたが、もう少し具体的にイメージするために3つのケースを提示します。
ケース①エンジニアとしての強みがない
エンジニアとしてアピールできるスキルや経験が少ないことで、面接での印象が悪くなり転職がうまくいかないケースです。
キッティング(機器のセットアップ作業)や議事録作成などの業務経験だけでは、エンジニアとしての技術力をアピールすることも困難になります。
チームとして開発に携わった経験がなければ、コミュニケーション能力を強みとすることも難しいでしょう。
SESエンジニアとしての経験年数が豊富であっても、自分自身の具体的な強みを伝えられなければ転職は成功しません。
ケース②自分の市場価値を正確に把握できていない
自分の力量に見合った派遣先で無難に仕事をこなしていると、正確な市場価値を見失う危険性があります。
市場価値を正確に判断できていないとより良い転職先が見つかる可能性も低くなり、仮に成功したとしても技術力の面でついていけない事態に陥ってしまうでしょう。
転職先で苦労するよりも、無難に仕事をこなせる今の環境を優先したくなる気持ちが生まれます。転職が失敗すると言うよりも、転職を諦めてしまうパターンです。
ケース③自信がないため妥協して転職先を選ぶ
転職が失敗する具体的なケースとして最後に挙げるのが、自信がないため妥協して転職先を選んでしまうケースです。
SESからの転職で人気が高いのは自社開発企業ですが、転職難易度が高いため何度もチャレンジすることが考えられます。
何度も落選を経験し、自信を失った末の選択肢はどうなるのでしょうか。答えは別のSES企業です。
SESからSESへの転職は成功しやすく、退職自体は叶えることができます。しかしながら転職が成功したとは言い難い状況と言えるでしょう。
SESに多い転職先候補と成功させるコツ
ここからはSESに多い転職先候補と、実際に転職を成功させるコツについて解説していきます。紹介する転職先候補は以下の4つです。
- 【Webエンジニア】自社開発企業
- 【システムエンジニア】SIer・受諾開発企業
- 【社内SE】企業の情報システム部門
- 【営業・セールス】SES企業
SESエンジニアとして経験したプロジェクトを振り返り、習得したスキルをまとめましょう。そのうえで転職先候補となる求人を選べば、成功率も自然に高くなります。
候補①【Webエンジニア】自社開発企業
SESからの転職でも人気の高い、自社開発企業のWebエンジニアを目指す道です。
自社のサービスやシステムを開発するため、コミュニケーションやスケジュール調整のしやすさにメリットがうかがえます。
SESは労働力に対価が発生するため主体的に行動することは少ないですが、自社開発企業は周りのエンジニアと共にアイデアや意見を出す積極性が求められる現場です。
転職難易度は高い
自社開発企業への転職は人気もあることから、難易度も必然的に高くなります。高い技術力はもとより、企画から参加できる提案力や行動力まで必要だからです。
SESエンジニアには要求されにくい要素のため、転職の難易度を上げる理由のひとつとなっています。
一般的な転職エージェントでの内定率もさほど高くないのが現状で、実際にキャリアアドバイザーから提案してくるパターンも少ないと言えるでしょう。
100%自社開発は避ける
自身のスキル面以外で、転職を成功に導くためにできることがあります。それは100%自社開発の企業を避けることです。
日本のIT企業は約43,000社と言われていますが、100%自社開発企業はそのうちの3,300社ほどになります。割合で表すとわずか7.6%です。
ここを狙ってしまうと転職成功率も激減してしまいます。それよりも社内開発が柱と推測できる、客先常駐30%未満の企業がおすすめです。
少なくとも選択肢が広がるのは確実なため、より自分のスキルとマッチした企業を選ぶことができます。
候補②【システムエンジニア】SIer・受諾開発企業
受諾開発を担う企業やSIerへの転職を考えるSESエンジニアも多いです。小中規模のSIerであれば、SESとしての開発経験を活かす場面もあるでしょう。
大手SIerに転職できれば上流工程に携われるチャンスが広がります。年収アップにもつながるのでおすすめとなる選択肢です。
経験があれば可能
SESからSIerへの転職は経験次第です。求められるスキルや開発経験があれば、採用される可能性もグッと高まります。
実務に関する技術力や、具体的な数字を伴うエピソードを用意できるかがポイントです。
大手でなければシステムの実装以降が業務の現場となりやすいため、SESでの経験もアピール材料になりやすいでしょう。
コミュニケーション能力を磨く
客先常駐の現場で働いてきた経験を評価されるケースもあります。大手SIerの業務は上流工程がメインで、コミュニケーション能力が必要だからです。
したがって大手SIerを狙うなら、開発スキルだけでなくコミュニケーションスキルも磨いておくことが求められます。
SESの勤務形態となる客先常駐に必要なのは、新しい環境でも即座に適応する能力です。現場で成果を出し続けていれば、コミュニケーション能力も自然と養われていきます。
候補③【社内SE】企業の情報システム部門
さまざまな企業の情報システム部門で、社内SEとして働くという選択肢です。客先常駐で働いてきたSESエンジニアの多くが憧れる環境でもあります。
SESと違って働く現場が変わることもなく、自社に貢献している実感も得られるのがポイントです。
反対に新しい技術や経験に触れる機会はSESよりもかなり少なくなります。人間関係もほとんど変わらないため、相性が悪い上司がいても長く付き合わないといけません。
幅広い業務経験が必要
社内SEの業務内容は企業によって変化します。経営会議に参加してIT戦略を提言することから、社員を対象としたIT機器のヘルプデスクまで多種多様です。
したがって社内SEとしての選択肢を狭めないためには、できるだけ幅広い業務経験が必要になります。
SESで働くメリットとしてさまざまな業務経験が積めるというものがありますが、社内SEへの転職を成功させるポイントにもマッチする傾向です。
IT企業以外も選択肢に
システム開発を必要としているのはIT企業だけではありません。さまざまな業界・業種で自社のエンジニアを欲している企業が存在します。
たとえば自社サイトの運営を目的に社内SEを募集している会社もあるため、IT企業以外も選択肢に入れることがおすすめです。
候補④【営業・セールス】SES企業
営業やセールスを担う人材へと転職するSESエンジニアも多いです。セールスエンジニアも営業よりの業務内容となるため、まったく違う職種への転職になります。
そのため営業を目指すのならSESからの転職であっても、SES企業を選択肢に入れるのはおかしくありません。
転職成功率がもっとも高いのは、同業界・同職種への応募です。SESという同業界を選べば失敗する確率を引き下げることができます。
SESでの知識が活かせる
SESエンジニアはさまざまな業界へと派遣されます。そのため金融・医療・通信など幅広い業界の知識を得られる可能性も高いです。
営業への転職を目指す際には、そうした広い範囲の業界知識が強いアピールポイントとなります。営業職ならばSESで培ったIT業界以外の業務知識も活かせるでしょう。
情報収集を怠らないこと
幅広い業界知識が武器になることは間違いないですが、古い知識ばかりだと高く評価されるのは難しいと推測できます。
各業界における最新の市場動向についても、ある程度知っておく必要があるでしょう。
インターネットや新聞を利用して情報収集を怠らないことも大切です。知識のアップデートができていなければ、転職成功率が下がる恐れもあります。
SESで転職を成功させるには開発スキルを磨くのがおすすめ
ここまで解説してきたことから言えるのは、SESからの転職にとって開発スキルの有無が重要なポイントとなることです。
未経験でも可能な業務だけを続けてきた状況だと、転職を成功させることは難しいでしょう。
この場合の解決策は、開発スキルを磨けるSES企業への転職を目指すことです。同じSES企業への転職なら、リスクを抑えながら状況の改善に取り組めます。
SESから抜け出したいのにSESを選ぶのは納得いかないかもしれませんが、このケースでは最善の一手と言える選択肢です。
SES経験1年で転職を成功させた体験談
SESからの転職はけっして不可能な話ではなく、成功率を上げるポイントもしっかりと存在します。
SES経験1年で転職を成功させた実例もあるほどです。成功した要因でいちばん大きいのは、やはり開発スキルの有無でした。
企業研究を行ったうえで適切な志望動機を組み立てたこと、面接でのアピール方法も検討を重ねて応じたこと、これらも成功した要因のひとつです。
SESからの転職は無理だという先入観を捨て、妥協せずに転職活動を進めること。こういったものすべてがSES経験1年での転職成功につながったと言えます。
SESエンジニアにおすすめする転職エージェント
SESからの転職を目指すなら、エージェントサービスの利用がおすすめです。転職成功率を高めるためのサポートを無料で請け負ってくれます。
SESエンジニア向けのサポートを得意とするのは、以下のIT特化転職エージェントです。
- ウィルオブテック│明確なキャリアがあるなら
- リクルートエージェントIT│選択肢を増やす
- レバテックキャリア│強みを発見するために
ウィルオブテック│明確なキャリアがあるなら
SESからの転職後に明確なキャリアがあるなら、ウィルオブテックがおすすめでしょう。
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難度の高いSESからの転職を、2名体制で強力にサポートしてくれる点も魅力です。
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リクルートエージェントIT│選択肢を増やす
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リクルートエージェントにおけるIT専用の窓口となるため、キャリアアドバイザーとの情報共有もスムーズに進めることが可能です。
転職成功の鍵となる応募書類の添削や面接対策の信頼感も高く、支援経験豊富なエージェントならではのサポートが利用者の満足感を高めています。
レバテックキャリア│強みを発見するために
SESでの経験から強みを発見できない、そんなエンジニアはぜひレバテックキャリアの利用を検討してみてください。
最新の業界トレンドやさまざまな企業のニーズに対応した本人も気付いていない強みを見つけ出し、転職に関する最適なアドバイスとサポートを得意とします。
エンジニア特化のサービスとして積み重ねてきた実績もあり、所属するキャリアアドバイザーの知識・支援経験への信頼感もかなり高いです。
希望企業への転職成功率96%や利用者の満足度94%などのデータも、レバテックキャリアをおすすめする理由となります。
SESからは転職できないと言われる理由は?まとめ
SESからは転職できないという意見がありますが、それは間違いであり転職自体は可能です。
それでもSESからは転職できないと言われる理由は、スキル不足・退職意志の伝えづらさ・転職活動のやりにくさに起因します。
SESエンジニアという職種が問題となるのではなく、派遣先の業務内容やSES企業の環境によるところが大きいです。
SESからの転職は無理だからと諦めずに、エージェントサービスをうまく利用して粘り強く転職活動を進めてくださいね。