1.ハーバードのビジネススクール、及びパーム社の日本法人社長兼米国パーム社アジア太平洋担当VPのときのお話をお聞かせ願えますか?
そもそも私がパーム社で働くことになったのは、ハーバードのビジネススクールに通いながら、自分でインターン見つけてきて、そこでインターンをしてから働くようになったという経緯があります。アメリカのインターンの場合には、大学生は無償のインターン、大学院生になると有償のインターンが多いです。
ハーバードのビジネススクールに通ったのは、4年半ほど日系の金融系の企業で働いてからいきました。日系の金融系の企業には、イエール大学で1年ほど日本語を勉強してからいったのですが、そこでフラストレーションとして自分が感じていたのは、現在は崩れつつありますが、日本の大企業は終身雇用前提で雇用していたので、若い自分にはなかなか大きな仕事がまわってこないということがありました。小さな会社に就職することの一つのメリットには、若い、早いうちから色々なプロジェクトを任せてもらえるところにあると思います。
ハーバードのビジネススクールでは、経営の知識についても学ぶことができましたし、また非常に優秀な同期に囲まれて勉強することが出来たため、今でも金融やITの業界で多くのクラスメイトが活躍しています。学費は非常に高いですが、有給インターンをしながら、そして奨学金もあるのでビジネススクールに通うという選択を私はとりました。
その後、卒業してからインターンをしていたパーム社で働くことになるのですが、パームの携帯端末は日本ではあまり普及しませんでした。私はその失敗要因を、当時パームの端末では当時のimodeのような端末から携帯サイトを見る、携帯端末用のアプリをダウンロードするというようなことができなかったことにあると考えています。
東南アジア諸国では、当時低価格のノキアの端末が非常に普及していました。ノキアの当時の端末SMS(ショートメッセージングサービス)の機能がついており、パームの端末はこのような機能がなかったため、こういった部分が敗因だったと思います。
まだiPhoneやAndroidといったスマートフォンが出てくる前、日本のimode,そしてコンテンツ課金の仕組みは今でこそガラパゴスだと揶揄されていますが、本当に画期的だったと思います。私が日本で2004年に創業を決めた理由もそこにありました。コンテンツを制作するのはよいものの、そこからユーザーに課金するのはなかなか骨が折れることだからです。月額315円の課金できる仕組みを日本のマーケットであれば使うことが可能だったのです。
モバイル大国日本で創業しようと決めてからは、パーム社での経験でハードウェアを販売していくようなビジネスは当然大きな初期投資も必要ですし、非常に難しいと思い、ソフトウェア、アプリを作る会社として創業することを決めました。2004年に創業したのですが、最初はコンサルティングの仕事も掛け持ちしながらパートナーのエンジニアを探して、アプリを開発していました。
日本で創業してから今も苦労することがあるのですが、アメリカとの営業上の違いでした。営業した結果、その結果がYesなのかNoなのかはっきり返ってこないところに私はとまどいを覚えました。今はそのような苦労も乗りかえて、Geolocationサービス(位置情報サービス)におけるBAAS(Back And As a Service)を提供するような会社として運営しています。
スマートフォンが登場してからはそれまでimode向けに作っていたようなコードをいったんすべて捨てて、再度スタートを切るような形になりました。
2.Craig様の考える日本とアメリカにおけるアントレプレナーシップ(起業家精神)の違いについてお話頂けますでしょうか?
メディアの報道の仕方に非常に偏りがあるせいで誤解されていますが、日本とアメリカも実は同じです。シリコンバレーに限ってはアントレプレナーシップに溢れる人達が集まっていますが、あれはあくまで少数の人達の話しであって、アメリカでも大抵の人は起業するときくと、リスクをとるんだね、勇敢だねといったことを言う人がほとんどです。私が創業するときもそうでした。なのでそういった意味では大差はないように思います。
3.エンジニアインターンをご覧になっている学生様に最後に一言お願い致します
Mapmotionでも半年前から本格的にエンジニアインターン制度をはじめていますが、大学2年,3年のときにしっかりエンジニアとしてのスキルをつくけておくのは非常に重要だと思います。情報系の学生でありながら、SQLを知らないという学生さんもいて、非常に驚きました。ぜひ貪欲にスキルを磨いてみてください!