1.石井さんがどのようにしてiPhoneアプリ開発のスキルを身につけていかれたのか、その学習方法を教えて頂けますか?
主に独学です。本を買ったり、Webを見たりしていろいろ覚えました。アプリ開発を始めたキッカケは、友達に本をもらったことです。はじめに、友だちが「Mac持ってるし、iPhoneアプリ作ってみよう!」と本を買ったのですが、どうやら途中で飽きたらしく、やるなら貸すよ、と言われたので、それでiPhoneアプリ開発の本を手にとったのが僕がアプリ開発を始めたキッカケです。
iPhoneアプリ開発を行うにあたって、いくつか実際に良かった本をいくつか紹介させて頂きたいと思います。
iPhoneでゲームを作る際には、OpenGLで作るiPhone SDKゲームプログラミング の書籍がおすすめです。OpenGLをいじった後には、cocos2dをいじってゲームを作るのがいいと思います。
画像の表示の際に、OpenGLだと何行もコードを書くことになりますが、cocos2dであれば一行で書くことができるので、最初にOpenGLに簡単に触れてみてから、cocos2dを使ってみることをおすすめ致します。
また 基礎からのiOS SDK の書籍は、アクションシートの使い方などiPhoneアプリを作るときに必要となるパーツの作り方、他言語対応の仕方まで書いてあるので、初級者から中級者に進みたいときに使うといいかと思います。
中級者向けというところで言えば、 改訂3版 基礎から学ぶ iPhoneアプリ開発 がいいかと思います。この書籍では、Storyboardの使い方やiPhoneアプリ開発におけるデータベースの使い方(CoreData)について非常にわかりやすく説明してくれています。
実際にiPhoneアプリを作っていく際には、レファレンス(辞書)代わりに iPhoneアプリ開発の虎の巻 を見ながら作業をすることが多いですね。iPhoneアプリ開発を進めながら、エラーが表示されたときには、そのエラー表示でGoogleで検索をかけると大抵の場合、stackoverflow のサイトがひっかかってくるので、英語と格闘しています。
またUIを作るときには、cocoacontrols のサイトから自分が作りたいアプリのUIを検索してきて、実装するようにしています。例えば、FacebookのiPhoneアプリで実現されているUIを作りたいと思ったときに、このサイトで検索して、 MMDrawerController for iOS のページに行き着き、ここにあるソースコードを参考にして、iPhoneアプリの実装に生かしました。
MITライセンスのコードが多いので、自作のアプリの設定でコードを引用したということを明示するようにしています。
本当に初心者の方が基礎の基礎から始める場合には、少し情報が古くなってしまいますが、iPhone SDKの教科書―Cocoa Touchプログラミング、最初の一歩 の書籍がおすすめです。できるだけコードを書くことなく、iPhoneアプリを作る方法を学ぶのに適しているかと思います。
2.iPhoneアプリの開発における苦労についてそれぞれ教えて頂けますか?
iPhoneアプリは主にAppleの審査時間です。最短で3日程度、長いと二週間くらいアプリの審査に時間を取られます。僕は時事ネタが好きで、よくそれをネタにしたアプリを作ったりするのですが、Appleの審査が長引くと、時事ネタなのでネタの鮮度が落ちてしまうんですよね…。例えば、去年安倍総理が「3500円のカツカレー」を食べて話題になり、これをネタにしたアプリをリリースしたのですが、Appleの審査に時間がかかり、リリースできた頃にはもう世間は忘れかけていました。
Androidアプリは主にマーケティングです。iPhoneアプリの場合はストアがAppStoreしかなく、ここに登録すればiPhoneユーザーのすべての人の目に触れることになります。また、iPhoneアプリの場合はアプリ紹介サイトが一強で、そこにレビューされれば基本的にはヒットします。
しかしながら、Androidの場合は、ストアはPlayストア以外にも様々なストアがあり、アプリの管理や登録が面倒です。また、アプリ紹介サイトも乱立しており、また、ここ!!というサイトが無いので、iPhoneの時よりも多くのサイトに紹介文を書く必要があり、これも手間だったりします。
またiPhoneアプリを作るときには、広告を入れていったのですが、Admob と iAd と AppBank Network を使ってみたのですが、iAdは広告挿入が非常に簡単にできますし、AppBank Networkは無料アプリであれば、App Bankで取り上げられるのでいいと思います。Admobは自分の好きなタイミングで広告収入を引き出すことが出来るので、その点ではiAdよりも優れていると言えるかもしれません。
3.石井さんはすでにたくさんのアプリを開発し、公開されているかと思います。どのようにアプリの企画の構想を得ているのですか?
基本的には、時事ネタだったり(3500円のカツカレー)、今ハマってるものだったり(音ゲーにハマってる時は音ゲーを作ってみた)、友達にこういうの作って!と言われたものなどです。Twitterのタイムラインが一番情報源ですね。あとは、OSのバージョンが上がって新しいAPIが追加されたら、それを使ってみよう!ということでアプリを企画することがあります。例えば、iOS 5.0で顔検出機能が備わり、またそのAPIが公開されました。その顔検出機能を使ってみたかったので、「目線モザイク」や「顔面センターチェック」などのアプリを作りました。
4.最後にエンジニアインターンを見ていらっしゃる学生の皆様に一言お願い致します。
アプリの世界はとにかく手軽で楽しい。そして、誰もが世界に挑戦出来ます。パソコンとアイデア、そして多少勉強する熱意さえあれば、誰でも作れます。リリースもAppStoreやPlayストアなど環境が整っているので、ブラウザからアップロードさえすれば、それだけで全世界に公開されます。英語や中国語、そしてもちろん日本語でレビューという形でユーザーから素早い反応があり、楽しいです。時には凹むこともありますけど。そして、誰もが平等に挑戦出来ます。
大企業のアプリをおさえ、ランキング上位に入ることもできます(ちなみに私の過去最高はAppStore無料アプリ総合ランキングで3位。いつか1位を取るのが夢)。アプリの世界はこんなにもエキサイティングで、そしてお手軽です。飽き症な僕でも続けることができるくらい、お手軽です!アプリ作ってみたいけど、なんか面倒くさそう…と思ってる人はぜひとも挑戦してみてください!想像以上に簡単で、想像以上に楽しい世界が広がっています。