今回は崇城大学で講師を務める西本彰文先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。教育工学や教科教育学、初等中等教育学を専門とし、情報教育を担当されている西本先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてお伺いしていきます。
現在の研究されている分野・具体的なご活動内容について

専門は教育工学で、これまでeラーニングを中心とした学習支援システムや技術教育の研究に取り組んできました。研究面では、次期学習指導要領改訂(国の教育カリキュラム改定)を見据え、技術科の在り方や将来像を探るとともに、小学校から大学までをつなぐ情報教育の構築に取り組んでいます。。
大学では1年生を対象とした情報処理基礎の授業を担当しています。ICTや生成AIが社会に不可欠となる現在、利点だけでなく、過度な依存による思考力の低下や情報の偏りといった課題も踏まえ、実践的なICT活用能力の育成を重視していきたいと考えています。
児童や不登校の子どもを対象としたプログラミング教育や木育活動を通じて研究成果を社会に還元し、学生と協働した実践により教員養成と地域社会への貢献を進めていきたいと考えています。
特に、教員養成に携わる中で、情報教育とものづくり教育に関心を持っています。
研究者としてのこれまでのご経歴・キャリアパス

前職の熊本大学では約30年にわたり技術職員として勤務し、木材加工、技術科教育、教材開発、教育工学の実践と研究に加え、学部のネットワークやPC管理にも携わってきました。こうした経験を通して、「教科横断的に教育課程を再設計する」という視点を持つようになりました。
大きな転機となったのは、社会人大学院への進学と教員公募への挑戦です。安定した立場から新しい環境へ踏み出す決断は容易ではありませんでしたが、学び続ける姿勢と好きなことに取り組む意欲が支えとなりました。現在は崇城大学で情報基盤の運用管理に携わりつつ、教育・研究・地域連携を支えるシステム構築に取り組んでいます。
キャリアを振り返ると、多様な経験を積極的に受け入れながら専門性を更新し続けてきた過程そのものが現在の基盤であり、アクティブに流されてきた歩みが今につながっていると感じています。
キャリア形成と意思決定に関する知見

私のキャリア形成は、計画的というより、できること・関心のあることに取り組み、それを形にしてきた結果としてキャリアの節目が生まれてきました。前職での大規模なeラーニングプロジェクト(現代GP)への参加は、大学院進学への大きな契機となり、それに加えて地域でのものづくりやプログラミング教育といったインフォーマルな活動も、結果として専門性を広げる重要な経験となりました。
これらの実践では、学生を巻き込み、教員養成の観点から学びの場そのものを設計することを重視してきました。こうした歩みは、課題ごとに人や活動が、一時的に結びつき学習が生まれるとするエンゲストロームのノットワーキングや、「偶然の機会を主体的に活かす」クランボルツの計画的偶発性理論とも重なります。
振り返ると、実践と学習を結び直しながら歩んできたこと自体が、現在のキャリアの形成につながっていると感じています。
転職者・キャリア形成中の方へのアドバイス

転職やキャリア形成を考える際は、将来を過度に設計するよりも、プロアクティブに行動しながら機会に応答していく姿勢が重要だと思います。ここでいうプロアクティブ行動とは、環境を待つのではなく、自ら働きかけて状況をつくる主体的な行動を指します。
生成AIをはじめとするテクノロジーによって社会が急速に変化する中、自ら問いを立てて「0→1」に挑戦する経験は重要である一方、容易ではありません。だからこそ、生成AIや身近な環境を壁打ち相手として活用し、小さな試行や挑戦を重ねながら失敗から学ぶ姿勢が求められます。
不安や迷いの中でも自己決定に基づく自分の気持ちを尊重し、経験を通して判断軸を育てることが、結果として「アクティブに流される」柔軟で持続的なキャリア形成につながると実感しています。
崇城大学の基本情報
| 名称 | 崇城大学 |
|---|---|
| 所在地 | 〒860-0082 熊本市西区池田 4-22-1 |
| 大学HP | https://www.sojo-u.ac.jp/ | 今回インタビューにご協力いただいた先生 | 崇城大学 西本彰文先生(講師) |


