今回は拓殖大学の商学部で助教を務める丸山博之先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。数学を社会で応用する「マネジメントサイエンス」や証券取引所の制度設計について研究されている丸山先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてお伺いしていきます。
現在研究されている分野・具体的なご活動内容について
研究内容としては、証券取引所の制度設計に関する研究をしており、大学ではマネジメントサイエンスという数学の社会での応用を教えています。
これまでの研究活動では、投資家が株式売買を行う際の注文価格の単位であるティックサイズの変更について検証してきましたが、予想に反して「制度の変更が望ましくない」という結果が出たことが印象的で、制度設計の難しさを感じました。
近年、証券取引所では取引時間の延長や上場区分の見直しなど、さまざまな制度の変更があると思うのですが、これらの変更の影響を調査できることが社会貢献につながると思います。
現在注目しているのは、「プロスペクト理論」という意思決定の理論です。人々の意思決定がどのように行われているのかを明らかにする理論です。
研究者としてのこれまでのご経歴・キャリアパス

もともと何かを評価するという行為について興味があったので、そのような研究を行いたいと考えるようになりました。きっかけは、学部時代の恩師に勧められたことです。それが研究者を志した大きな要因になっていると思います。
就職の窓口が狭くなってしまうので、博士課程進学の決断が最も難しかったです。ですが、自分の意思決定を振り返ってみた際に、自分の譲れない価値観と照らし合わせて考えると、「これしかない」という決断になったと思います。
現在のキャリア上では、統計学をはじめとしたデータサイエンスの知識が最も役立っています。
早稲田大学の博士課程では、研究指導を年間1〜2回程度しか受けられませんでした。今振り返ると、「もっと情報収集に時間をかければよかったな」と、事前に情報収集することの重要性を感じています。
キャリア形成と意思決定に関する知見
属性と代替案とその評価を、簡単な表にまとめてみるのも効果的かもしれません。そして、自分にとって何が譲れないポイントなのかを明らかにすることが、意思決定を行う上では重要なのではないでしょうか。
人間の意思決定には、バイアスといった非合理的な部分もあると思いますので、それを認識して情報収集し意思決定を行うとより望ましいキャリアがひらけてくると思います。
トレードオフをどう評価、判断するかが重要になってきます。ある代替案が優越している、つまり全てにおいて望ましい場合にはその代替案を選べばいいのですが、そうではない場合にはトレードオフに対する判断が重要になってきます。
近年では、1つの企業に勤め続けるのが難しい時代になっています。その中で、自身のキャリアをどのようにして形成するかが問われる時代になってきています。
転職者・キャリア形成中の方へのアドバイス
転職が必ずしも望ましいとは限りませんが、利益よりも損失の方を重く受け止めてしまう損失回避性が働き、なかなか転職に慎重になってしまうものです。この性質を認識して意思決定を行うことも重要になってくると思います。
目先の小さな利益を優先する現在志向バイアスに陥ることなく、将来のことまで考えたキャリア形成を行ってほしいと思います。
不合理に変化を恐れ現状を維持しようとする性質を「現状維持バイアス」と言います。対策としては、まず現状をきちんと把握することから始めてみると良いかもしれません。
キャリアに限らず、不確実性の多い時代においては、なかなか将来のことが予測できないかもしれません。だからこそ、自分が納得して受け入れられる意思決定をしてほしいと思います。
拓殖大学の基本情報
| 名称 | 拓殖大学 |
|---|---|
| 所在地 | 〒112-8585 東京都文京区小日向3丁目4−14 |
| 大学HP | https://www.takushoku-u.ac.jp/ | 今回インタビューにご協力いただいた先生 | 拓殖大学 丸山博之先生(助教) |


