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山形県立米沢女子短期大学の後藤和也先生にインタビューさせていただきました!

米沢女子短期大学

今回は山形県立米沢女子短期大学で教授を務める後藤和也先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。キャリアカウンセラーとして、幅広い層のキャリアカウンセリングやキャリア教育に携わる後藤先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてお伺いしていきます。

現在の研究されている分野・具体的なご活動内容について

インタビュアー
インタビュアー
改めて、今回のインタビューをお受けいただき誠にありがとうございます。はじめに、現在のご研究内容や教育活動について、とくに力を入れていらっしゃる分野をお伺いできますでしょうか?

私は、教育学(キャリア教育・大学教育・初年次教育)という分野での、ヒト(主に大学生)の学びや成長について研究しています。

具体的には、まず第一に「実社会が求める能力(コンピテンシー)」とはどのようなもので、次にどのような教育や活動がそれらの伸長に関連しているのか、という点に着目しています。

インタビュアー
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大学での授業やゼミで教えられている内容はどのようなものがありますでしょうか?

本務校(山形県立米沢女子短期大学)ではキャリア支援科目を担当しています。現代社会を見つめ、その中で「生きること」や「働くこと」をテーマにして考える、非常に学際的な内容を扱います。

また、看護系の大学や公務員試験予備校で非常勤講師を務めており、適切な日本語表現や面接試験等における自己表現について教えています。

インタビュアー
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幅広くご活躍をされていますが、これまでの研究活動で特に印象に残っている成果や発見はありますでしょうか?

これまでの研究活動で、大学生が学び、成長するためには「心身の健康を保持すること」が大切であると再認識しました。それを踏まえ、現在は「心身健康科学的な視点」を取り入れた研究も行っています。

インタビュアー
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「心身健康科学的な視点」を取り入れたご研究内容について、もう少し詳しく教えていただけますか?

大学生が勉学で向上していくには、心身の健康を保持することが大変重要であることから、心身健康科学的な視点からの実証研究を進めています

その結果から、現在は就職活動への不安や、それに対して様々な人からソーシャルサポートを受けることによって生じる変数に関心を寄せています。

インタビュアー
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現在の研究を通じた社会貢献についてのお考えを聞かせていただけますか?

現在の研究を通して、より多くの学生さんのキャリア支援を行っています。とくに、現代社会で「生きること」や「働くこと」をテーマとして深く考える授業や、看護師や公務員を目指す学生さんへのキャリア支援は、働くことへの考え方、実用的なスキルの基礎となっているため、社会貢献の一つと言えるのではないでしょうか。

研究者としてのこれまでのご経歴・キャリアパス

米沢女子短期大学

インタビュアー
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現在の研究職に就かれるまでの経緯や重要な転機にはどのようなものがありましたか?

私は国家公務員(行政職)として、国立大学法人東北大学で人事・採用・人材育成の担当者として15年勤務(うち、2年間人事院東北事務局に出向)していました。人事という業務の性質上、メンタルヘルス不調に陥る教職員の姿を目の当たりにしたり、自身も上司からのパワー・ハラスメントにあったりと、自然と人間の「こころ」に興味を持ったことが転機となりました。

インタビュアー
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研究者を志したきっかけや影響を受けた出来事・人物はありますでしょうか?

15年間人事として働く中で、自然と「こころ」をはぐくむ教育活動に携わりたいという気持ちが強くなり、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの資格を取得するきっかけとなりました。そのあと、もっと本格的に「こころ」を学びたいという思いから、通信制の大学院修士課程に入学。2018年に米沢女子短期大学(本務校)に採用され、現在の研究へと繋がっています。

インタビュアー
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キャリアにおいて最も難しかった決断とその乗り越え方について教えてください。

私の場合は、採用時がちょうど就職氷河期真っ只中であったため、国家公務員になれたことは家族や親戚も喜ぶ出来事であったように思います。しかし、行政での仕事は細分化されており自分が何のために仕事をしているのか、自分の仕事が何の役に立っているのかがわからないという状態に陥ってしまいました。

さらには、人事の仕事でメンタルヘルスの不調に陥る職員を目の当たりにしたり、自身も上司からのパワー・ハラスメントを受けたことから、自然と「こころ」に興味をもつようになり、長年続けてきた仕事からのキャリアチェンジを決断しました。

私の場合は、「こころ」を学びたいという強い気持ちと教育活動に携わりたいという意思から、資格取得や通信制の大学院修士課程への入学、大学教員公募への応募を重ね、試行錯誤を繰り返して現在に至っています。

インタビュアー
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これまでと違う分野とも言える「研究者」として新しいキャリアを築くうえで、役立ったスキルや経験にはどのようなものがありますか?

研究者としてのキャリアを築くうえで役に立ったのは、カウンセラーやコンサルタントの資格取得、通信制の大学院修士課程で「こころ」について学んだことです。また、15年間の人事としての経験も現在の仕事に繋がるとても大切なものとなっています。

インタビュアー
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学生時代から現在までのキャリアパスを振り返っての気づきがあれば教えてください。

学生時代から現在までのキャリアパスを振り返ると、キャリアの節目や転機は突然だったように思います。私は長期的な計画をゴールに向かって着実に進んできたわけではなく、その時その時に目の前に立ちはだかる壁を乗り越え、迷いながら回り道を繰り返した結果、現在につながる道(キャリア)となっていたというイメージです。

キャリア形成と意思決定に関する知見

山形県立米沢女子短期大学 

インタビュアー
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人生の転機における効率的な意思決定のプロセスを教えてください。

私の経験をもとに言えることは、先ほどもお伝えしたように、「キャリアの節目や転機は突然やってくる」ということです。

そのため、転機が訪れるその場その場で臨機応変に対応し、迷いながらも壁を乗り越えていくことが大切だと言えるでしょう。

効率的にキャリア形成ができるとは思いません。都度、迷い苦しみながら意思決定や選択を重ねることでキャリアは積み重なるものではないでしょうか。

インタビュアー
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キャリアの節目で自己分析を行う際に、重視するべきポイントはありますでしょうか?

これまでキャリアを重ねてきていることを前提とするのであれば、自分の向き・不向きというのは、すでにある程度理解されているかと思います。自己分析をするときには、現職・前職で見聞きしたことや考えてきたことをベースにして自分を見つめるというのが一般的です。

インタビュアー
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では、適性を考えるときの良い方法などはありますか?

適性を考える場合は、直接的に身につけたこと・やったことに加えて、間接的な側面も考えましょう。たとえば、どのような仕事においても、仲間や取引先の相手との日程調整などが発生します。このときにも自分なりにタイムマネジメントやストレスコントロールを行なったはずです。

また、もし役職に就いていた人であれば、部下のマネジメント経験もあるでしょう。これらの経験は、担当業務ではなかったとしても、どこの業界や会社に行っても応用できる「ジェネリックスキル」と呼ばれる類の能力になり得ます。

自己分析というと、自分自身のことにフォーカスをして考えてしまいがちですが、このように「他者との関係性」を軸にして幅広く考えてみることも良いと思います。

インタビュアー
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幅広い視点で自己分析をするほうがより深く理解ができるということですね

「やりたいこと」や「強みを発揮できること」が中心になりがちな新卒時の自己分析と比べて、転職者の自己分析はこれまでの経験をもとに、地に足がついていたほうが成功しやすいというのが実感です。

また、逆転の発想で「死んでもやりたくないこと」たとえば、給料が2倍、3倍になったとしてもやりたくないことは何か?という視点で考えてみるのはどうでしょう?案外少ないな、ということに気がつくかもしれません。

インタビュアー
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転職を考える際の重要な視点や判断基準について教えてください。

転職を考える際の重要な視点や判断基準として、厚生労働省は「個人のキャリア形成のステップ」があると言っています。

1. 自己理解

2. 仕事理解

3. 啓発的経験(意思決定を行う前の体験)

4. キャリア選択に係る意思決定

5. 方策の実行(意思決定したことの実行)

6. 仕事への適応

上記6ステップですが、必ずしもこの順番でキャリアが展開するわけではないですし、そこまで理性的にキャリア形成できるとも思いません。上記のキャリア形成のステップは参考程度にし、その都度迷い、悩み続けながら意思決定や選択を重ね、結果としてキャリアが積み重なっていくと考えてみると良いでしょう。

インタビュアー
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現代社会における個人のキャリア形成の変化や課題にはどのようなものがありますでしょうか?

現代は人生100年時代とも言われており、定年まで1つの会社に勤め続けることが難しくなっていきます。そのため、転職を何度も経験する人や独立する人も増えるのではと思います

時代の遷移が著しいため、諦めたくなることもあるかもしれません。一つだけ言えることがあるとすれば「諦めたら、そこで試合終了だよ」(スラムダンク安西監督)ということくらいです。

インタビュアー
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専門領域の知見からキャリア選択への活かし方について教えていただきたいです。

私は国家公務員から大学教授に転身しました。長年計画的かつ着実にゴールに向かってキャリアを紡いできたわけではなく、気付いたらそれなりのキャリアができていたというイメージです。

私から言えることは、人生どんな転機が訪れるかわからないので、その時その時にしっかり自分と向き合い、より良い未来のために行動していってくださいということでしょうか。

転職者・キャリア形成中の方へのアドバイス

インタビュアー
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転職を検討している方々へアドバイスをお願いします。

一般的には、現職が不満だなどの「後ろ向きな転職」はよくない、と言われます。しかしながら、現職に何ら不満がないとしたら、誰もわざわざ転職なんかしないのではないでしょうか。

私自身も、前職では「この職場で力が発揮できるのだろうか」「正当な評価を受けていないのではないか」などと、中二病的な不満を常に抱えながら働いていました。

このように、仕事に対して不満を抱えることが問題なわけではありません。大切なことはその負のエネルギーを自分自身の起爆剤として利用できるかどうかです。

インタビュアー
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変化の激しい現代社会での長期的なキャリア構築の考え方について教えてください。

こんなに変化の激しい現代社会で長期的なキャリア構築をするのは難しいかもしれません。現職が天職になりうる可能性は著しく低いことから、自分の力が発揮できる場所に転職をすることもひとつの手段です。

インタビュアー
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自身に合った仕事や職場を見つけるためのアプローチにはどのようなものがありますでしょうか?

人生100年時代と言われているうえに、若年層の労働力は不足している世の中です。転職を経験してみて自身に合った仕事を見つけていくというのも良いのではないでしょうか。もちろん、仕事に不満があるからと言って、すぐに投げ出したり手を抜いたりすることはよくありませんが。

インタビュアー
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キャリアの転機における不安や迷いへの対処法について教えてください。

キャリアの転機には不安や迷いはつきものです。相談できる人を探しておくことはもちろん、選択肢を広げ、自身を見つめ直すことが大切です。

インタビュアー
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これからの時代を生きる若い世代へのメッセージはありますでしょうか?

現代は人生100年時代。しかも、業界や業種にもよりますが、基本的には若年層を中心に労働力不足な世の中です。もし、現職に何かしらの違和感があるのであれば、より力が発揮できそうな仕事に転職を検討してみるのも一つです。現職が「運命の仕事である」ことは、統計的にみると無いに等しい。

私は、東日本大震災の被災者でもあるのですが、あの震災で志半ばで亡くなった方はたくさんいました。自分の死の瞬間に、「ああ、あれをやっておけばよかった…」と後悔したくないという思いで今日も生きています。皆さんも後悔のない人生を歩んでください。

インタビュアー
インタビュアー
今回はとてもためになるお話を聞かせていただきありがとうございました。転職には不安や迷いはつきものですが、誰かに相談したりサポートを受けながら、後悔しないキャリア選択をしていくことが大切だということがわかりました。

山形県立米沢女子短期大学の基本情報

名称 山形県立米沢女子短期大学
所在地 〒992-0025 山形県米沢市通町6-15-1
大学HP https://www.yone.ac.jp/
今回インタビューにご協力いただいた先生 山形県立米沢女子短期大学 後藤和也先生(教授)
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