大学時代のことについてお聞かせください。
大学1年の秋から、大学の求人掲示で見つけたベンチャーの小さな会社でアルバイトを始めました。ここではC、C++を主に使用していました。C、C++はアルバイトを始める前にも個人の趣味の範疇では経験があったのですが、大学では文系でプログラミングは扱っていませんでしたから、きちんと自分の書いたコードに対してフィードバックを受けるということは初めて経験しました。
週に2〜3回程度働き、大学卒業後はその会社にそのまま新卒で入社、計6年間勤務しました。
プログラミングに触れたきっかけは?
プロミラミングは中学生の頃から触れていました。子どもの頃からPCゲームをしていて、ふと、「どうやって動いているんだろう」と思いました。ゲームのバイナリファイルを読んだりコードを少し勉強して理解できるようになると、おもしろいなと思いました。何かを作りだすということに魅了されたのではなく、コードの仕組みを理解することで自分の思ったように動くということに魅了されていました。
転職のきっかけは?
自分で明確にこの会社に入りたいというのはなかったのですが、結果的に転職をしました。自分からアプライしたのは大学時代のアルバイトくらいですね(笑)エンジニアのコミュニティは自分の働いている会社だけだったのですが、オープンソースソフトウェアの活動を初めてから職場以外のエンジニアにも出会い、視野が広がりました。PHPのコミュニティーに参加していたのですが、メーリングリストで発言したり、カンファレンスで人と会ったりするという経験が、これまで狭い世界にいた自分からするとすごくエキサイティングでした。
転職した先は売上もかなり意識する会社で、ただ受託開発するだけではなく技術コンサルの業務も多くこなしていました。楽天を顧客に抱えていて、私が担当を任せてもらい、そこで楽天のプロデューサーであった田中良和(グリー株式会社創業者)に出会い、彼が会社を立ち上げるということで誘いを受けました。
当時、そういうお誘いは何件かあったのでそのうちの1つという感じで、「一旗あげてやるぞ!」という強い気持ちがあった訳ではありませんが、気づいたらサービスはどんどん大きくなり、取締役になり、現在に至ります。
貴社のエンジニア採用についてお聞かせください。
新卒採用に関しては1次面接が人事で、2次面接あたりから私も参加しています。
技術的な素養はもちろん見ますが、例えば何かプロダクトを作ったという実績だけでは判断しません。プロダクトを作ることの敷居は低くなっていますから、とりあえずプロダクトを作ったというよりも、仕組みに興味を持って何のために作ったものなのかを自分の言葉できちんと話せる方を採用したいと思っています。そういう会話をしていると、本人の興味とうちの会社が合っているのか、その人のエンジニアとしてのタイプも分かってきますから、具体的に入社となったときにどこでどう働いているかがイメージが湧きやすい人は採用したくなります。
PC、モバイル、スマホの推移に対応してきた際の苦労をお聞かせください。
PCからモバイルへ
端末としてはPCと比べるとモバイルは画面も小さく、低スペックなものを作っていく方針になるというのはエンジニアとしては悩ましいことでした。技術的に大きくシフトチェンジするということではないですから、チャレンジすることが少なくなることへのモチベーションの面での苦労が多かったと思います。
また、当時はモバイル向けのサービスは女子高生や若者に向けたものが多く、エンジニアとのギャップはありました。ただ、モバイル向けの開発は、今のネイティブアプリの開発と比べると、言ってしまえば「簡単」なもので一人で出来ることが大半でしたから、一人でガツガツ開発を進めるタイプのエンジニアにとっては楽しかったと思います。
モバイルからスマホへ
今でもモバイルでも遊んでくれるお客さまは多いですし、売り上げもありますから完全にスマホだけにシフトするわけではありませんでした。どれだけのお金と人を投資するとかというビジネス的な選択も必要でした。グリーとしてはモバイルである程度成功していましたから、そのプレッシャーは感じていました。
ネイティブのアプリは奥は深いですが2〜3ヶ月でキャッチアップできる人はしていましたから、そこは時間と力のかけ方、勉強できる環境を整備することなど、時間と力のかけ方について改めて考えるきっかけにはなりました。
「作る」立場として意識していることは何ですか?
移り変わりも早く、何がヒットするのか分からない世界なので、クリエイティビティに色々とチャレンジするということは非常に大切です。ただ、それでは一発屋になりかねないので、会社として「作る」ということに携わる以上はお客さま目線で「あったらいいよね」と自分たちが思うものを作るという経験を重ね、成功法則を導くしかないです。時間がかかることですが、少しずつ会社としても成熟していくと思います。自分たちが楽しいと思うこと、チャレンジの意欲、そして会社としてのバランスを保つことを意識しています。