エンジニアとして就職するための準備をしている就活生が実際に就活を始める前に頭に入れておきたいことが3つあります。
それは「働き方」、「実務のイメージ」、「トレンド」の3つです。
就活とは例えるならば人生のゴールへ向かうために、あなたが乗り込むべき船を選ぶようなものだと思います。
最終的に自分が行きたいところ、目指したいところへ行くためにはどんな船に乗り込むべきなのでしょうか?
「働き方」、「実務のイメージ」、「トレンド」を知ることはすなはち船の種類や船の装備、乗組員の人数、それにこの船が航海する海の状況を知るということです。
この記事ではエンジニアの「働き方」、「実務のイメージ」、「トレンド」に関連する15個のキーワードから、それぞれどのようなことを知っておいた方が良いのかを解説していきます。
ぜひ本格的に就活を始める前に一度この記事を読んで自分なりの考えを整理するきっかけにしてみてください。
1.エンジニアの働き方
ITエンジニアとして働くということは、ITに関してあなたが持っている知識やスキルを生かして仕事をするということになりますが、エンジニアとしてやりがいを持って満足できる仕事をするためには自分にあった働き方を選ぶことが重要になってきます。
プログラミングなど専門的なスキルとは別に、一般的な仕事スキルであるコミニュケーションスキルや、マネジメントスキル、プレゼンテーションスキルなどの中からあなたの自信のあるスキルを選び、それを上手く組み合わせると結果も出しやすくなりモチベーションも上がるでしょう。
そこでまずエンジニアを募集している会社にはどんな業態の企業があるのかを知っておくことが働き方を選ぶ第一歩です。
キーワード1 自社開発企業
エンジニアのあいだでいわれる自社開発企業とはその名の通り、自社がもつサービスやシステム(Webサイト、アプリ、ゲーム、ECサイトなど)を開発・運用する企業のことを言います。
ビジネスの業態としては主にB2Cで消費者向けにサービスを開発することもあり、消費者のニーズを掴んだり世間のトレンドの変化に合わせサービスを運用することが求められます。
そのため自社開発企業に所属するエンジニアには高い技術力が求められることも多く、必要に応じて柔軟に対応するスキルがあることが望まれます。
自社開発企業のエンジニアは「自分の頭で考え、裁量権を持って仕事をしたい!」という人におすすめです。
会社の規模にもよりますが、自由な雰囲気の中で新しい技術にチャレンジできたりすることが仕事のやりがいにつながってくるでしょう。
また、似ている言葉として社内SEという言葉もありますが、こちらは自社で使用するシステムの管理・運用をするエンジニアです。
エンジニアとしてプログラミングなどのスキルを生かして働くことに代わりはありませんが、使用するのが自社の社員を対象としている点が違いになります。
キーワード2 SIer
SIerとはSI(システムインテグレーション)という単語に、〜する人という意味の「 -er 」を付け加えた和製英語で「エスアイアー」と読みます。
SI(システムインテグレーション)というのは顧客である企業の要望に沿って業務を分析するところからはじまり、じっさいに必要な機能を持ったシステムを企画設計をし開発・構築し、導入する。さらにはその後の保守・運用までを一貫して行うサービスのことを言います。
SIerは受託開発企業とも呼ばれることがあります。主に非IT企業や官公庁にむけてSI(システムインテグレーション)のサービスを提供している企業のことをいい、日本の代表的なSIer企業にはNTTデータ、日本IBM、日立製作所、日本オラクル、富士通などがあります。
依頼を受けると予算と納期から必要な人員とスケジュールを管理してチームで開発を行うなど、マネジメント能力やコミュニケーション能力が重要視されたりもします。
場合によっては入社2〜3年でプログラミングではなくプロジェクトの進行を管理する立場を任されることもあるので、最初に自分のやりたいことができるかチェックしておくと
「自分はプログラミングをし続けて行きたいのにやらせてもらえない…」
などの採用ミスマッチを防ぐことが出来るでしょう。
キーワード3 SES(客先常駐)
SESとはシステムエンジニアリングサービス(System Engineering Service)の頭文字をとった言葉で、システムエンジニアの労働を提供するサービスを指します。
どういうことかというと客先のオフィスにエンジニアを派遣し技術を提供する契約をすることで、客先常駐とも言われます。
派遣される側のエンジニアの働き方としては普段は派遣された会社に出勤し、そこでエンジニアとしての業務を行うことになります。
自分が所属している会社にはほとんど行くことはないため、牧場から市場へ売られていくかわいそうな仔牛を歌った『ドナドナ』という曲からSESで派遣されることを「ドナドナされる」という言い方もありますが、けっしてSESで派遣されることはデメリットだけではありません。
例えばSESのルール上、派遣先の会社から直接、指揮命令が来ることはありません。そのため常駐先の人間関係に縛られることがなかったり、自社からも監視されないため比較的自由に働くことができます。
また常駐先が変わるごとに新たな分野にたずさわるチャンスもあるためスキルアップにも繋がります。
エンジニアの実務に出てくる用語
最近では学生のうちからインターンとして会社に入り、エンジニアとして働く経験をする人も増えています。
就活の際にも実務経験があるかどうか問われる場面もあるかもしれませんが、会社ごとに開発の環境も使われる言語も仕事の進め方もそれぞれ違うため、その実務経験がそのままその会社での仕事に当てはまるとは限りません。
しかし、自分の進もうとしている業界での実際の仕事を事前に調べ、イメージしておくことはとても重要になります。
なぜならそのイメージを持っておくことは自分が詳しくわからないことを想像する力に繋がっているからです。
就活でエントリーをして面接を受けたりしているとつい「会社が就活生を選んでいる」、「会社に選ばれるために努力をする」という感覚になりがちですが就活する側も「会社を選んでいる」という感覚を強く持つべきだと思います。
納得のいく会社を選ぶためには自分が疑問に思うことを面接の時などに積極的に聞くのが一番確実です。
そのときにその会社や仕事に対して想像することができないと何を聞けば良いのかもわかりません。
ここではエンジニアの実務で出てくる用語をいくつか紹介していきます。
実務ではこのような用語が出てくるのだな、という1つの基準にして他にも調べてみると実際にエンジニアとして働いているイメージができるのでおすすめです。
キーワード4 プロトコル
プロトコルとはコンピューター同士が通信をする際の手順や規約などの約束事のことで、コンピューターが使う言語のようなものです。
またIP(インターネットプロトコル)という複数の通信ネットワークを相互に接続し、データを中継・伝送して1つの大きなネットワークにすることができるプロトコルを用いて接続された世界規模の巨大なコンピュータネットワークをインターネットといいます。
例:A「教えてもらったサイトにアクセスできません」
B「IPアドレスが間違えてるね、IPコンフィグで確認してみて」
キーワード5 コンパイル
コンパイルとは人間が理解しやすい言語や数式で記述されたプログラム(ソースコード)を、コンピューターが実行可能な機械語の形式(オブジェクトコード)に翻訳することをいいます。
コンピュータが理解できるオブジェクトコードは全ての情報を0と1の2進数に変換したもの(バイナリ)であり、これらに変換するためのプログラムをコンパイラーと呼びます。
例:「このソースのこの行でコンパイルエラー起きてるよ。型指定が間違えてる」
キーワード6 フレームワーク
フレームワークはアプリケーションを開発するときに、その土台として機能させるソフトウェアのことでアプリケーションフレームワークとも呼ばれます。
目的のアプリケーションを開発する際にフレームワークを用いることでアプリケーションをゼロから開発する必要がなくなるという利点があります。そのため開発工程を大幅に短縮することもできます。
例:A「今度〜(javaとかC+とかphp)で開発したいんだけど、フレームワーク何にしよう?」
B「おすすめは最近流行の〜かな」
キーワード7 カーネル
カーネルとはコンピューターを作動させるためのプログラムであるOS(オペレーティングシステム)の核となるプログラムのことです。
CPUやメモリーをはじめとするハードウェアを制御し、アプリケーションプログラムの実行やメモリーへのアクセス管理、コンピューターに接続された周辺機器のデバイス管理を行なっています。
例:A「(有償のLinuxディストリビューション見て)Linuxって無償で公開されてるんじゃないですか?」
B「Linuxが無償公開されてるのはカーネルだけだよ。」
キーワード8 ミドルウェア
ミドルウェアとはOSとアプリケーションソフトの中間に入るソフトウェアのことを指します。
アプリケーションを動作させるには、ネットワーク上のサーバーやデータベースとのやり取りなどを行う必要がありますが、OSに直接命令すると非常に面倒な手続きをミドルウェアという1つのソフトウェアとしてまとめています。
例:「このOSで使うミドルウェアならApacheかな」
キーワード9 作業工数
作業量を「 人数 × 時間 」で表したものを作業工数といいます。
その単位は「人日」(MD=man day)や「人月」(MM=man month)で表され、例えば完成までに1人で5日間かかる作業の工数は「5人日」になります。また、5人が1日作業し完成させる場合も同じように「5人日」となります。
例:A「これ工数どのくらいかかりますか?」
B「ええと、これなら10人日ってところかな」
キーワード10 デプロイ
デプロイとは開発した情報システム、ウェブサービス、ネットワーク対応のソフトウェアやサービスなどを実際の運用環境に配置して利用可能な状態にすることをいいます。
また開発環境から本番環境におく前にステージング環境と呼ばれる動作や表示を確認するためのサーバーやサイトに反映させることも「デプロイする」と言ったりします。
例:「やっと本番デプロイできた!」
キーワード11 デスマーチ
デスマーチとはソフトウェア開発などで長時間の残業や徹夜の業務を連日強いられ、開発チームが過度のオーバーワークのため疲労に陥った状態をいいます。
その多くはタスクに対して与えられた期間が短かったり、予算や人員が確保されていないことが原因で起こります。
例:「あのプロジェクトは完全にデスマーチでしたね」
2019年のトレンド
もう1つ、エンジニアを目指す就活生にぜひ知っておいて欲しいのが時代の「トレンド」です。
どんなことが人々の関心を集めているのか。どんな技術が研究され、実用化されているのか。
そしてそれが世の中の問題をどう解決することになるのかを知ることが仕事の目的につながってきます。
仕事の目的を感じられるかどうかはモチベーションにも大きく関わってきますので、知っておいて損はないでしょう。
特にIT業界の発展するスピードは他の業界とは比べられない速さで進んでいるため、次々と新しいテクノロジーが出てきたり、革新的なサービスがリリースされたりもします。
そんな中で米国に本拠地を置く業界最大規模のITCアドバイザリ企業であり、IT分野の調査・助言を行う企業であるガートナー社が「企業や組織が2019年に調査する必要がある」と認定した戦略的テクノロジートレンドのトップ10を発表しました。
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1810/17/news096.html
今回は2019年に注目のキーワードとしてその中の4つを紹介していきます。
キーワード12 スマートスペース
スマートスペースを簡単にいうと、IoT(Internet of Things)がさらに広がりインターネットに接続されたモノ同士が情報をやり取りすることで無駄を無くしたスマートな生活環境を作ることができるということ(スマートシティ・スマートホーム)や、
今ままでは個々に管理されていた事業所、工場での技術、技能に関する電子データをつなげ有効活用することで技術革新、生産性向上、技能伝承がされること(コネクテッド工場・デジタルワークスペース)という概念があります。
スマートスペースとは、人間とテクノロジー対応システムがますますオープンで、連携し、調整され、インテリジェントなエコシステムで相互作用する物理的またはデジタル的な環境です。
テクノロジーが日常生活のより統合された部分になるにつれて、スマートスペースは加速されたデリバリーの期間に入ります。さらに、個々のソリューションがスマートスペースになるにつれて、AI駆動テクノロジ、エッジコンピューティング、ブロックチェーン、デジタル双子などの他のトレンドがこのトレンドに向かって進んでいます。
スマートスペースは、オープン性、コネクティビティ、コーディネーション、インテリジェンス、そしてスコープという5つの重要な側面だけで進化しています。
本質的には、スマートスペースは、個々のテクノロジがサイロから生まれ、共同作業および対話型の環境を構築するために連携して開発されています。
スマートスペースの最も広範な例はスマートシティです。そこでは、ビジネス、住宅、および産業のコミュニティを結合する領域がインテリジェントな都市エコシステムフレームワークを使用して設計されています。
キーワード13 没入型エクスペリエンス
没入型ということはすなはちその世界に入り込むということです。つまりデジタルの世界とのつながりがより一層身体化していき、その体験が今後の鍵になって行くでしょう。
2028年まで、ユーザーが世界とどのようにやり取りするかを変える会話型プラットフォーム、および拡張現実(MR)、複合現実感(MR)、仮想現実(VR)のようなユーザーの世界観を変えるテクノロジーが新たな分野につながります。
没入型の経験。AR、MR、VR は生産性を向上させる可能性を示し、次世代のVRは形状を感知し、ユーザーの位置を追跡し、MRが人々が自分の世界を見たり対話したりできるようにします。
2022年までに、企業の70%が消費者向けおよび企業向けの没入型テクノロジを試し、25%が運用環境に展開する予定です。仮想パーソナルアシスタントからチャットボットまでの会話プラットフォームの未来には、プラットフォームが表情に基づいて感情を検出することを可能にする拡張された感覚チャネルが組み込まれ、それらは対話においてより会話型になるでしょう。
最終的には、テクノロジと考え方が、コンピュータから自動車まで、何百というエッジデバイスを持つ人々と経験を結びつけるようになるでしょう。
キーワード14 エンパワードエッジ
スマートフォンをはじめ様々な端末がネットワークにつながり、クラウドサーバーとの間でやり取りされるデータ量がこれからさらに増えていく中で、ネットワークやクラウドに負荷が集中し通信の遅延が生じる恐れがあります。
それを防ぐためにデータの処理をクラウド側で行うのではなくネットワークの周縁部(エッジ)で行おうという仕組みをエッジコンピューティングと呼び、エッジコンピューティングの拡大と第五世代移動通信(5G)の成熟化に伴った堅牢なネットワーク通信環境をあわせてエンパワードエッジといいます。
エッジコンピューティングは、トラフィックをローカルに保つことで待ち時間を短縮するという考えのもと、情報処理およびコンテンツの収集と配信を情報の発信元の近くに配置するトポロジです。
現在、このテクノロジの焦点の多くは、IoTシステムが組み込みのIoTの世界に切断された機能または分散された機能を提供する必要性の結果です。
このタイプのトポロジは、WANの高コストや許容できないレベルの待ち時間など、さまざまな課題に対処します。さらに、それはデジタルビジネスおよびITソリューションの詳細を可能にします。
キーワード15 デジタルツイン
デジタルツインとは名前の通り現実世界の物体の動きや状態をIoTなどを利用してほぼリアルタイムにサイバー空間に送り、サイバー空間にフィジカルな環境を再現したもう一つの世界(ツイン=双子)を作ろうという概念をいいます。
デジタルツインは現実のオブジェクト、プロセスやシステムのミラーデジタル表現です。デジタルツインをリンクさせて、発電所や都市など、より大きなシステムの双子を作成することもできます。デジタルツインのアイデアは新しいものではありません。それは物事のコンピュータ支援設計表現または顧客のオンラインプロファイルに戻りますが、2019年のデジタルツインは4つの点で異なります。
・モデルが特定のビジネス成果をどのようにサポートするかに焦点を当てた、モデルの堅牢性
・監視と制御のために潜在的に実時間で、実世界へのリンク
・新しいビジネスチャンスを推進するための高度なビッグデータ分析とAIの適用
・それらと対話し、「仮定」シナリオを評価する機能
2019年の焦点はIoTのデジタルツインです。これは、メンテナンスと信頼性に関する情報、製品のより効果的な実行方法に関する洞察、新製品に関するデータと効率の向上に関する情報を提供することで、企業の意思決定を改善できます。リアルタイムの監視を可能にし、プロセス効率の向上を推進するための組織プロセスのモデルを作成するために、組織のデジタルツインが出現しています。
まとめ
今回はエンジニアを目指し就活する前に知っておきたいことを15個のキーワードからお伝えしてきました。
この記事をきっかけに、変化の激しいIT業界において企業や人々がこれからのエンジニアに求めていることが何なのかを自分なりに考えてみてください。
エンジニアの「働き方」、「実務のイメージ」、「トレンド」を頭に入れ、働く上での軸をもつことが特に重要です。
また一人ではなかなか難しくて考えがまとまらないという方はぜひ積極的にエージェントなどを頼ってみてはいかがでしょうか?
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