今回は福岡県にてインターンシップを推進されているGFF事務局(以下、GFF)様、並びにインターンシップの受け入れを行っている企業の一つ、株式会社サイバーコネクトツー(以下、CC2)様にインタビューを行いました。
Q1. GFFの取り組みについて教えて下さい
GFF:GFFでは学生の夏と冬の2回の長期休暇期に合わせて、「FUKUOKAゲームインターンシップ」としてインターンを募集しています。開催実績としては2006年より実施しています。
福岡以外の遠方からインターンに参加される場合は、宿泊費に関して福岡市から助成金が出るという取り組みを行っています。その甲斐もあってかインターン希望者における県外からの応募が約7割を占めているのも特徴です。インターンは無償でのインターンになります。
GFF経由で行われているFUKUOKAゲームインターンシップへの参加希望者は年々増えており、近年は専門学校からの応募に加え、大学生の参加も非常に増えてきています。また参加企業8社に対して、インターンシップ希望は百数十人の応募があるという非常に狭き門となっております。(受け入れ企業は福岡でゲーム開発を行っている企業で、会社ごとにインターンの期間などは異なります。)
またインターンの実施以外にもゲーム制作のコンテストも運営しています。2012年度に行った「第6回福岡ゲームコンテスト」ではキャラクター部門とゲーム部門の2部門があります。ゲーム部門への出品作品については、Windowsで遊べるゲーム作品を募集しており、優勝チームには30万円の賞金も用意しています。
Q2. FUKUOKAゲームインターンシップの受け入れをなさっているサイバーコネクトツーのインターンの受け入れについてお話頂けますでしょうか?
CC2:弊社のインターンシップでは、1チーム4~8名ほどのチームを作り、そのチームに対してこちら側でお題を出してゲームを作ってもらう形でのインターンシップを実施しております。参加される学生の方は、専門学校生や大学生などまちまちです。
チームの編成は、アーティスト(イラストや3Dモデルなどグラフィック全般の制作担当者)、プログラマー、ゲームデザイン(ゲームのプランニングを行う担当者)といった役割が分担出来るような編成を行っております。チーム編成後は、1か月ほどかけてゲームを作ってもらいます。制作したゲームに関しては、ゲームを制作してもらった学生の制作・開発ポートフォリオとして頂くケースもございます。またインターンを通じて、弊社に就職される学生もいます。
制作したゲームは、基本的にWindows機で遊べるゲームを制作してもらい、ROMに焼いてお渡ししています。昨今人気を博しているソーシャルゲームに関しては、弊社のゲームインターンシップではまだ例がないので、今後実際にソーシャルゲームのインターンシップも検討したいと思っています。
Q3. GFFのインターンの取り組みから生まれた成功事例について教えて頂けないでしょうか?
GFF:これまでGFFのインターンを通じて、そのまま入社するケースもあります。現在の受け入れは8社ほどになりますが、インターン先の会社の受け入れ状況は様々で、実務にいきなり参加するような機会を提供されている会社もあれば、CC2のように学生メンバーでチームを作り、そのチームでゲーム開発に取り組むインターンの受け入れをしている会社もあります。
また、ゲームコンテストがきっかけでGFF加盟各社に入社されるケースもございます。過去にゲームコンテストで受賞された方の中には現在レベルファイブで活躍している方もいます。
CC2:弊社では、これまでにFUKUOKAゲームインターンシップを経て入社された方が11名おります。それ以外にも、弊社独自のインターンシップを経て入社された方も多くいるので、現在ではそういったインターンシップ経験者も新しいインターンシップ生の指導にあたることで、より学生の立場に立った指導を行っています。
また、ゲームクリエイターとして、技術力以外の必要なこと―プロとしての姿勢や考え方、社会人としてのマナーなど―も含めて、インターンシップ期間中に指導することで、入社後もよりスムーズに実際の開発現場で活躍しています。
Q4. それでは再びインターンの受け入れをなさっているサイバーコネクトツー様に質問させて頂きます。学校の授業を通じて学べること、企業でのインターンを通じて学べることにはどのような違いがあると思われますか?また昨今の開発において、スマートフォン対応など求められるスキルが次々と出てくるなかで、人材を育てるという点ではどのようなことが必要になると思われますか?
CC2:弊社のインターンに参加された学生から多く聞く声として、実践的なものづくりを学べることが非常に大きいとの意見が寄せられています。特にゲームを作る際に、プロの企画書の作り方などを学べるのは大きいようです。ゲームを実際に購入し、プレイするお客様をどれだけ意識してものづくりができているのかにプロとアマチュアの大きな差があるということを弊社のゲームインターンシップを通じて学ぶことができます。
ゲームインターンシップ参加前の学生には自己満足で終わってしまうものを作っているケースもありますが、ゲームインターンシップへの参加後はそのような状態から脱する学生も多くいます。またゲームを作る際に使う、ツールの高度な使い方についても紹介しております。専門学校や大学の授業で実践的なツールを使って授業をされているところは多いですが、Visual Studioや3ds Maxを実践でも使えるよう、弊社のゲームインターンシップで指導しております。
また単に技術的なことを伝えるだけではなく、今後のゲーム作りを考えた際にどのような技術が必要かについても指導しています。制作者・開発者である以上、やはり常に新しい技術に対してアンテナをはっておくという姿勢が重要だと考えております。
今回は 福岡においてゲームインターンシップを推進されているGFF様と実際に全国各地からインターンシップを受け入れられているサイバーコネクトツー様のお話を伺った。