序文
きっとITに興味をもっている人は、ベンチャーにいくか、大企業にいくか、そのちがいは何かと考えたことがあるはず。今回は、なんとなく違うイメージがあるけど、具体的にどのような違いがあるか、まだイマイチ知らない方に向けて、ITベンチャーとIT大企業のちがいをご紹介いたします。
私は、学生時代にITベンチャーでのアルバイト・インターンをした経験と、新卒で大手ITコンサルティング企業で働いた経験があります。退職した後の現在は、ベンチャー企業で仕事もしています。今回の内容は、これらの経験に基いているものです。
また、今回は、BtoCのベンチャーと、BtoBのIT系大企業を想定し、比較していきます。もちろん、BtoBのベンチャーも、BtoCのIT大企業も存在していますが、イメージを簡単にするため、BtoCのベンチャーと、BtoBのIT系大企業という比較で整理をしています。
(以下、”ベンチャー”と”大企業”と呼びます。)
開発スタイル
やはり、ベンチャーと大企業で、エンジニアとしてどのような働き方になるのかが気になる方は多いと思います。
まず、ベンチャー企業のエンジニアですが、コーディングが多いです。開発といえば、調べたり考えたり、試行錯誤しながらプログラミングをしていくイメージです。バグがでないようにスムーズにプログラミングしていくことよりも、バグがでたらすぐに直せばよい、というスピード感重視の文化をもっているところが多いです。その弊害として、設計書が後回しになっていたり、作った人以外の人が引き継ぐのに時間がかかることもあります。「ベータ版の公開」と耳にしたことがあると思いますが、これは「100点のシステムとはまだいえなくて、バグもあるかもしれません。使ってもらいながら、直していきますよ」という、常に改善していく考え方によるものだという解釈でよいでしょう。
一方、大企業では、丁寧に設計書を作り、プログラミングは設計書に基づいてコードに落とし込むだけ、という開発スタイルになります。ですので、エンジニアがゴリゴリプログラミングをするというイメージではありません。お客様企業の要件に定められたシステムを納品することが使命であり、資料もしっかり付属していく、というスタイルです。バージョン1の納品、バージョン2の納品…と未完成を納品することはあり得ません。
技術の鮮度
ITに興味のある方は、日頃からニュースや新技術をチェックしているかもしれません。「人工知能、IoT、ロボットなどを使って面白いモノを創りたい」とワクワクしているのでは。
しかし、意外に思われるかもしれませんが、実はシステム開発において、新しいものを取り入れるよりも、古いものを取り入れることが定石とされる場面があるのです。「枯れた技術」なんて言い方もするのですが、「十分にいろいろな使われ方がして、安定性が担保されている技術」の方が、安心して使えるのです。
たとえば、最新フレームワークを導入してみたものの、使っている人が少なく、調べてもバグのことがでてこないというのが代表例です。
特にこれが顕著であるのが大企業です。お客様企業に迷惑をかけることや、想定外の事象はできるだけ避けたいところです。また、そもそも現在大企業であるということは、10年以上前に創業されていたりして、扱っている技術はその時代のもの。今も当時の技術を応用してサービス提供しているパターンは容易に想像できます。
ただし、研究開発部門を有している大企業の場合、そこで最新技術で新しい挑戦をしていることもあります。なので、「お客様の要求に答えていきたい」のか、「新しい技術で新しいサービスを考えたい」のかで、志望部署は異なるはずです。
ベンチャーでは、全体的に大企業よりチャレンジングな文化が醸成されやすいので、新しい技術に積極的です。
利用ツール
前項の続きにもなりますが、使っている社内ツールも大企業とベンチャーでは異なることがあります。大企業だと、前から使い続けているツールがあること、新しいツールに移行するにも人数が多く普及させるのに時間がかかることなどの壁があることによります。
たとえば、社内のコミュニケーションにおいて、前職の大企業ではマイクロソフトのOutlookを使っていました。現在、働いているベンチャーでは、Slackを基本としています。大企業のソース管理ツールでは、Gitの導入が遅れているプロジェクトが多かったです。
もし、こういった面も気にするのであれば、先輩社員の方にどのようなツールを使っているのか、聞いてみるのがお薦めです。
もちろん「ツールはあくまでツール。大事なのは誰にどんなサービスを提供しているかだ。」という考え方も間違いではないので、これを機に考えてみていただければと思います。
ビジネスモデル
ここは、ベンチャー対大企業というよりも、BtoCとBtoBのちがいになってきますが、ビジネスモデルが異なることを再確認したいと思います。
BtoCは、一般ユーザーにお金をもらい、サービス提供をするものです。その特長として、人気サービスが生まれれば、利益が青天井に上がることです。その利益から、また新たなサービスを企画・開発していくことの繰り返しがよくあるパターンです。
こちらのデメリットは、人気サービス以外で伸びないサービスのメンバーになるとやりがいを感じにくかったり、給料をもらうことに自信をもてなかったりすることだと、経験者から聞きました。
BtoBは、お客様企業からお金をもらってシステム提供するため、売上は契約時点で決まっています。そこからいかに効率よく完成させるかで利益率が変わるのです。
その特長は、作ったものが売れずに失敗するということがほぼあり得ず、提案フェーズでうまくいけば仕事がちゃんと売上につながることが約束されることです。
こちらのデメリットは、決まったことを作るため、ユーザーの使いやすさを追求するなど、追求することがなく、やりがいが見えにくいことが挙げられます。
まとめ
今回は、荒削りで大まかにですが、私自身がみてきた、ベンチャー企業と大企業におけるエンジニアのちがいをご紹介しました。たくさんある企業の中のわずかな事例ではありますので、あくまで参考程度にして、想像を膨らませてくださればと思います。その後で、OB訪問であったり、面談・面接で、直接テクノロジーの採用に対する考え方を聞いてみていただく必要があります。
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