今回は立教大学で教授を務める松下慶太先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。メディア・テクノロジーや働き方に関する研究をされている松下先生に、キャリアの転機における考え方や意思決定、これからの時代の働き方についてお伺いします。
研究背景・専門領域に関する質問
私の研究は、メディア論を軸として、場所や時間などの感覚・経験はどのように変容しているのか、デザインできるのかを探るものです。オフィスやコワーキングスペースなどの働く場所や、リモートワーク、デジタルノマドといった柔軟な働き方を取り上げて研究しています。
最近ではそれに関連して、地域や観光なども研究しています。そのほか、若い世代がリーダーシップをどのように身につけるのか、学習する環境をどのようにデザインするのかも研究の重要なテーマです。授業では、このようなリーダーシップ関連の内容をメインに担当しています。
若い世代の方は、どのような企業で仕事をするか、を重視しているかもしれません。あるいは、将来のビジョンや各種待遇なども気になるでしょう。
もちろんそれらも大事ですが、生活とのつながりを大事にしてほしいなと思います。自分がどのようなところに住んで、どのような地域や都市で生活するのか。何をしているとハッピーだと感じ、仕事への活力も生まれるのか。仕事だけではなく、働き方(とそれを含む生活)をどうしたいかも意識することが重要だと思います。
キャリアの意思決定・自分自身との向き合い方

今から振り返ればそういう地域、時代だったというのもありますが、通っていた公立中学校はとても校則や管理が厳しかった思い出があります。それ以来、高校や大学、職業選択で「自由さ」「柔軟さ」を重視しています。
人は自由をなぜ求めるのか?どのようにすれば、それが可能なのか?またそういう状況に置かれると、人はどのように振る舞うのか?は今の自分の研究テーマに通底しているかもしれません。
失敗や遠回りはたくさんあります。ただ失敗や遠回りは、進みたい方向からどれだけ離れているか、に過ぎないと思っています。
だから、失敗や遠回りをしないようにというよりも、進んでいくうちに目標から離れているなと思ったら方向を戻す。もしかしたら、進んでいくうちに当初の目標よりも面白い、ハッピーだと思えるものが出てきたらそれに乗り換えることもあるでしょう。
私自身は目先の方向よりも進む、動いているかを重視していますし、それを面白いと感じる性格です。
海外から見た日本のキャリア観
大学院でフィンランドに滞在していましたが、社会人の学生が多かったことに驚いた記憶があります。バンドを組んでいたり、会社以外の活動も活発にしている姿も多く見ました。
日本では大学に入って、転職はしつつも、会社で定年まで勤めて、といういわゆる直線的なキャリア観の人はまだまだ多いと思います。そういった意味で、フィンランドでは、良くも悪くも会社で働くことは人生の「一部」と考える姿は印象的でした。
デジタルとリアルの重なり合いは「ハレ」と「ケ」、言い換えれば永続性と瞬間性という一見矛盾する2つの要素を強めていると思いますし、それがキャリアや人間関係にも影響していると思います。例えば、リアルの友達とオンラインでもずっとコミュニケーションをしている、仕事からの帰宅後もリモートで繋がる、といったことが可能になりました。
一方で、普段オンラインでつながっている人と推しのライブに一緒に行く、日常的に接している友達の誕生日サプライズをInstagramやBeRealなどにアップする、といった「瞬間」がクローズアップされることもあります。今後は、「人間」関係だけではなくAIも含めた関係性もそこに入ってくるでしょう。
先生の専門的視点からのメッセージ
VUCAと呼ばれるようになり、変化が激しい時代と言われますが、実はおおよそどの時代も、変化が激しいと言われてきました。今、より確実なことは「少子化」です。
移民やAIによる代替も進むかもしれませんが、みなさんは今よりも少ない働き手になる時代です。それは、単に少ないと捉えるのではなく、「1人1人が今まで以上に活躍できる舞台がある時代」と捉えることができます。
そうした状況をうまく活用して、自分の可能性を見つけていってほしいと思います。
立教大学の基本情報
| 名称 | 立教大学 |
|---|---|
| 所在地 | 171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1 |
| 大学HP | https://www.rikkyo.ac.jp/ |
| 今回インタビューにご協力いただいた先生 | 立教大学 松下慶太先生(教授) |


