未経験でITエンジニアになれるのか
この記事をお読みいただいている皆さんはITエンジニアに興味がある、もしくは目指している方が多いのではないかと思います。そして、それと同時に「プログラミングをしたことがないけどITエンジニアになれるのか?」という悩みや不安を抱えている人も多いと思います。
IPAが調査・発表した「IT人材白書 2017」によれば、「大学等にて「実践的な教育」を受けた新卒IT人材を意識して採用しているか」という質問に対して、約70%の企業が「特にこだわらない」という回答をしています。
この回答からは、企業側としては「開発経験があるか」という要素を重要視していないことがお分かりいただけるかと思います。とはいっても、調査では「こだわらない」という回答をしているものの、現実はそんな甘くないんじゃないの?と疑念を持つ方もいるでしょう。
そこで突然ですが、今回は古くからの知人であるTさんの話をしたいと思います。Tさんは未経験からITエンジニアとなり、3年目にはプロジェクトマネージャとなった経歴を持っています。きっと皆さんが悩んでいることに対する1つの答えになるかと思います。
法人営業として働いていた知人Tさんの転機
Tさんが就職活動をしていたのは数年前のことです。
当時もITエンジニアを目指して就職活動をしていたのですが思うような結果が得られず、主に通信機器の開発・販売を行っている会社に入社し、法人営業部門で働いていました。
仕事自体は非常に面白く会社の人間関係も円滑であったため、自分でもそのまま働き続けるものと考えていたそうです。ですが、仕事を深く知れば知るほど、ITが会社にとって無くてはならないものだということも深く知るようになっていったということです。
その会社は実店舗とオンラインショップで商品を販売していましたが、オンラインショップは世界に向けて展開しており、売上も相当な割合を占めていました。
さらに社内の在庫管理システムや受発注システム、さらには財務系、給与系といったあらゆるシステムが稼働しており、1つのシステムが止まると会社が立ち行かなくなるくらいの重要なものとなっていることを、社会人として働いて初めて知ることになります。
そうこうしているうちに時が過ぎ、入社して3年目に差し掛かったころ、学生時代の友人でありITエンジニアとしてWEB系のベンチャー企業に入社していたYさんと会う機会があったそうです。
Yさんの話を聞くうちに、自身が就職活動中に考えていた「ITで世の中に貢献したい」という思いが再燃することになります。その後、上司と同僚にその思いを伝え、転職活動に踏み切り、なんとか志望していたWEB系の独自サービスを展開するIT企業へ転職することとなったそうです。
1年目にTさんがやったこと
さて、晴れてITエンジニアとなったTさんですが、当然ながら未経験であるため何もできません。
時期が4月入社であったことと第二新卒枠として入社したことなどから、新卒向けの開発研修に参加することになります。Tさんは周囲の新人と比べ社会人としては3年ほど先輩であるという経験については誇りに思っていましたが、それと同時に周囲の新人と同じスピードで成長していたのでは、いつまでたってもその3年という差は埋めることはできないと危機感をもって開発研修に臨んでいたそうです。
そのため、研修の中で分からない事や疑問に思った事は必ず自身で調べたり、講師に納得がいくまで教えてもらうことで少しずつ研修を消化していきます。
その後3カ月の研修期間がすぎ、自社の新機能追加プロジェクトという4名程度のチームへ配属されます。
OJTで先輩エンジニアから知識を吸収すると同時に、休みの日などには積極的にIT系の資格や、プログラミングの勉強などを行い、幅広い知識をつけるという事を目標として過ごしたそうです。
2年目にTさんがやったこと
プロジェクトに参加して1年が経過した頃にはプログラミング言語に対する知識もつき、大抵の事は一人で実装できるようになっていました。
また、少し難易度が高いプログラミングなどはPL(プロジェクトリーダー)として同じプロジェクトへ参画していた先輩エンジニアから教えてもらうことで対応していました。
1年目に比べると少し心の余裕も出始める頃に、その先輩エンジニアの仕事ぶりも意識してみるようになります。先輩はPLとしての業務、例えば開発メンバーの進捗管理や営業、企画部門との調整など幅広い業務を担当していました。
システムのプロフェッショナルとして、システムに詳しくない人達に対し、伝えるべきことは分かりやすく伝え、開発メンバーに対しては、1人1人の力量を見極め、より成長をするようなアドバイスを送っていました。
そのような姿を間近でみていたTさんは、PLという職種に対して憧れを持つようになります。Tさん曰く、それまではがむしゃらに働いていただけでしたが、自身のキャリアパスを初めてはっきりと意識した瞬間だったとのことです。
その後、上司との面談で将来的にはPLになりたいといったキャリアパスを伝えたのですが、その思いは理解してくれたものの、経験も浅いため1ステップずつ昇っていこうということになりました。Tさんは自身に不足しているものを痛感し、IPAが主催しているプロジェクトマネージャ試験の勉強を始めます。
3年目にTさんがやったこと
その後3年目の4月にプロジェクトマネージャ試験を受験します。結果は見事合格!といきたいところでしたが、残念ながらもう一歩というところで不合格となってしまったそうです。ですが、Tさんはそれで諦めることなく次年度合格を目指して勉強を続けることとしたそうです。
その年の冬、社内で大規模なプロジェクトが発足します。最先端技術を駆使したプロジェクトであるため、社内の優秀なエンジニアが部署の枠を超えてアサインされたそうです。そのプロジェクトに、同じプロジェクトのPLであった先輩エンジニアもアーキテクトとして携わることになったそうです。
そこで問題になるのがTさんのチームです。PLを担当していた先輩エンジニアが引き抜かれてしまい、PLが不在の状態となってしまいます。
通常であれば先に参画していた他の先輩エンジニアの方がPLとなるところですが、彼らは技術志向でありチーム運営や他部署との渉外といったところは、あまり積極的ではなかったそうです。
Tさん自身もまだ知識が不足していると自認していましたが、これはチャンスだととらえ当時の上司に自身がPLとしてプロジェクトを運営していきたいという思いを上司に伝えたそうです。
その結果、新プロジェクトに移籍したPLの先輩エンジニアのフォロー付きという条件ではありますが、PLを任されることになったそうです。
後になって聞いたそうですが、その上司は先輩エンジニアと相談し、Tさんがプロジェクトマネージャ試験合格に向けて真剣に勉強していることや、普段の業務の取り組み、他メンバー、他部署とのコミュニケーションなどを考えた結果、異例ではありますが、ITエンジニアとして3年目のTさんを抜擢したとのことでした。
Tさんは失敗することもまだまだ多いですが、非常に大きいやりがいを感じながら日々の業務に取り組んでいるそうです。
未経験としてITエンジニアになるために必要なもの
さて、Tさんの話を聞いて皆さんはどう思いましたか?私はこの話を聞いたとき、Tさんはとても運が強い人だなと思いました。入社する会社の体制や文化、そして上司の理解が無ければ、3年目でPLを担当するまでにはなっていなかったはずです。
ただし、それ以上にTさん自身の「自身に足りない知識や技術を強化する姿勢」や、「チャンスにしっかりと手を挙げる面」は素晴らしいと感じました。
1つ断っておきたいのはTさん自身はいわゆる飛び抜けて優秀な学生ではなく、どこにでもいる極めて平凡な学生だということです。
新卒入社の周囲と比較して、自分自身が一歩で遅れているという危機感や、ユーザー部門としてのシステムに対する知識などが好結果に作用したのはあるにせよ、彼はITエンジニア未経験から3年目にPLを担当するまでに至ったことは事実以外のなにものでもありません。
このTさんのような例をみると、私は未経験でもITエンジニアになることは十分に可能ですし、その後のITエンジニアとしての成長曲線は「入社当時に開発を経験していたか、未経験であったか」というポイントは一切関係がないと考えています。
未経験という現状をお悩みの皆さん。まずは1歩でよいので少しずつ進んでみることをお勧めします。それが自分自身に対する自信となり、就職活動に良い結果をもたらすはずです。
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