はじめに
「ITコンサルタント」というキャリアに対して、様々なイメージを持たれていると思います。「かっこいい」「優秀」「高給取り」「激務」。コンサルタントではなくても、IT系の仕事に関わることを考えているのであれば、将来なれたらいいかもな、となんとなく思っている人もいるでしょう。
そこで、今回は、新卒でITコンサルタントになった私の体験談をベースに、ITコンサルタントという職業の実態をご紹介いたします。特に1年目の新人ITコンサルタントの具体的な経験を取り上げますので、既にITに馴染みのある方にも、そうでない方にもご参考にしていただけるかと思います。
そもそもITコンサルタントとは
そもそもITコンサルタントとは、なんでしょうか。直訳すれば、「ITの相談役」です。しかし、これでは曖昧なので具体例から考えてみましょう。
たとえば、「社内からインターネットができない→ITコンサルに相談。
「売上データがおかしい」→ITコンサルに相談。
「業務に役立つシステムがほしい」→ITコンサルに相談。
これらのことが考えられます。
要するに、ITシステムに関わること全般にITコンサルティングの仕事は発生するということです。ですので、一概にどんな業務なのかを一言でいうことは難しいです。
それでは、ITコンサルに、お客様は何を求めているのか。ITコンサルとして、何を身につけていればいいのか。1年目の研修や配属先での取り組みを振り返りながらご紹介していきます。
研修で行ったこと
基本的にどこの会社でもそうですが、就職したら新人には、研修期間が与えられます。私の就職先は、IT経験者が少なかったこともあり、丁寧なIT技術研修もありました。
1.仕事の進め方に関する研修
ビジネスパーソンとして、基本的なスキルを実習を通して学びます。報連相を意識した日報や、自分のタスク管理という、セルフマネジメントはもちろん、新人研修のプロセス自体に対する改善策の提案も求められました。議事録の書き方、Windows Officeのスキルは嫌でも身につきます。
研修を通して、コンサルタントらしさを得られたとすれば、業務をこなすための知識、ではなく、常に改善を意識するというワークスタイルだったと思います。
実際に私が現場に出たあと、直属の先輩は業務を効率化するプログラムを自作して使ったり共有したりしていました。いわれたことだけをするのが仕事ではない、ということです。
また、ITエンジニアにも共通する、システム化志向の姿勢が伺えます。
2.技術研修
IT面では、研修期間3ヶ月を通して、javaをつかってwebサービスを作れるようになるのがゴールでした。javaで、print文、if文から始まり、MVCモデルというフレームワークまで学びました。ハードウェアの知識も必要ということで、秋葉原までパーツを購入しにいき、0から組み立てる実習も経験させていただきました。目で見て、手で触って体感的にITを理解することができました。
必要あればハードウェアさえつくるという気概のある会社だったので、ここまでやりましたが、多くのITコンサルタントは、ソフトウェアを重視されていると思います。
プログラミングの試験が2度あり、javaで与えられたアルゴリズムを実装する問題がいくつかだされる形式で、ちゃんと実装されるかを計られました。場合によっては不合格、再試験となりました。
IT技術研修、最後の課題は、システムの企画から実装、プレゼンまでを5人程度のチームで完遂するものでした。
一言で言えば、ITコンサルタントが関わりうる全体像にふれることができる3ヶ月間です。「こんなに短期間でできるのか」と心配されている方もいるでしょう。それはそのとおりで、いまいち理解が及んでいない人もたしかにいました。このとき、技術側に進むか、業務側に進むかのイメージをつけた人も多かったでしょう。
3.配属の決め方
研修を終えると、現場にアサイン(配属)されることになります。いろいろなプロジェクトがある中で、人手を求めているプロジェクトのリーダーやマネージャが新人を採用するイメージです。
研修では、成績と順位がでましたので、本人の希望も踏まえ、人員枠との適性を判断する形でした。「技術が学べるところ」と志望した人は、テクノロジー部隊にアサインされました。
この時点で「既に序列が…」と恐れおののく人もいるかもしれませんが、スキルの伸び方は人それぞれです。プログラミング経験者の私は社内業務改善のチームにいきました。先述のテクノロジー部隊にいった人は、実はIT未経験の文系出身者です。しかし、1年後には同期で1番の技術屋に成長しています。
アサイン後の働き次第で大きく変わります。ただし、たとえば、ITの成績が最下位でテクノロジー部隊を希望しても、通しにくかったり、心配される状況はあるはずですので、希望するキャリアパスがあるようでしたら、研修担当の先輩に相談した上で研修に取り組むとよいでしょう。
4.研修卒業後の1年目たち
ITコンサルタント1年目の働きについて、いくつか同期入社の同僚たちの例からご紹介します。
まず、アサイン直後はOJT(On the Job Training)の期間にて、先輩社員とマンツーマンで業務を習いながら実施していきました。テクノロジー部隊であれば、社内で先端の開発ツールをいじったり、プロジェクト管理ツールの技術に関する問い合わせ対応だったり。小規模チーム(2〜3名)にアサインされた人は、お客様との打ち合わせで議事録を作成するところから始まり、ソースコードともにらめっこ。システムと業務全体に携わっていました。大規模チーム(20〜30名)に配属された人は、社内SE的な立場で、開発メンバーが使う社内システムを改善したり、トラブル対応をしたりしていました。
他にも、1年目から客先にでて、先方の社員としてシステム部門で働く人もいます。お客様の売上データを扱うチームでは、SQL文を開発したり改善したりも。地道な資料の調整を1日中やっている人もいました。議事録に3時間かけてる人もいます。
Shellを書いている人、javaを書く人、Ruby on Raills、javascript…プロジェクトごとに異なるさまざまな言語をそれぞれ書いている人たちもいました。
まとめ
まとめますと、ITコンサルタント、特に新人ITコンサルタントは何でも屋さんです。お客様に「システムを提供する」という命題に対して、なんでも必要なことはやります。
1年目は、特殊スキルがない状態なので、希望すればやらせてくれる可能性はあります。ただ、やるべき仕事は上司・マネージャがもっているので、必ずしもそれにマッチするとも限りません。
徐々にスキルが身についてくると、それに関する仕事が与えられやすくなります。一層、パフォーマンスを発揮することができるようになる一方で、新しいチャレンジの機会は減ってきます。なので、もっと多様な経験を積みたいと考えている人は、自己研鑽の習慣とアピールが必要になってきます。
就職した後、その環境で与えられたことをひたすらがんばればよいという考えの人もいますし、自分がやりたいことをやっていくために努力は欠かせないという考えの人もいます。
ITコンサルタントになった後も、選択と努力の余地は多分にあります。今のうちに、興味のある分野は積極的に勉強したり、開発してみたりするのがおすすめです。
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