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IT企業で終身雇用は成り立つ?エンジニアのキャリアパスと働き方を考える

2019年ごろ、経団連の前会長である中西宏明氏が「終身雇用制度について見直す時期にきている」という話を出し、日本各地で議論が巻き起こりました。日本では「新卒で一括採用をし、定年まで働き続ける」というキャリアがいよいよ転換期を迎えました。

終身雇用については、「何をいまさら」という人と「これからどうしよう」という人に二分されている印象ですが、皆さんはいかがでしょうか。もちろんどちらにしても将来が不安なことに変わりはないですよね。就職活動の中で、これから先の長い社会人生活すべてを見通すのは難しいです。

これからの時代は「どこの会社にいるか」よりも「自分はどんなことができるのか」が重要になってきます。幸い、皆さんが多少なりとも興味を持っているであろうエンジニアという職業は、この考え方をうまく取り入れた働き方ができます。

今回は幾つかの事例を参考に、エンジニアという職業の将来やキャリアパスについてまとめてみました。これからIT企業の選考を受けようと思っている方必見です。

エンジニアのキャリアパスは十人十色

エンジニアという職業は他の職種と比べて大きく以下のような特徴を持っています。

・平均勤続年数がそれほど長くない

・転職や独立によるキャリアアップも他職種に比べて一般的である

・需要は今後も伸び続けていく

ITエンジニアと一言で言っても働き方は十人十色ですが、多くの会社ではまず研修を受け、文字通りプログラミングを行う技術者として働くことになります。このあとは、会社の中でより上位の職種に進んでいくのが一般的なパターンです。

PG(プログラマー)⇨SE(システムエンジニア)⇨PL(プロジェクトリーダー)⇨PM(プロジェクトマネージャー)

現場の仕事から始め徐々にプロジェクト全体の管理を担っていくという流れはまさに総合職における役職付昇進と同じですね。IT産業自体は比較的新しいですが、会社に所属する上でのキャリアの流れは営業職などとあまり変わりません。それぞれどんなことを行うか、というのは以下の通りです。

・PG(プログラマー)
クライアントからの依頼された設計書を元にしてプログラムをおこなっていく技術者。
後に使用言語やプロダクトが増えるにつれて、種類も多様化していきました。

・SE(システムエンジニア)
クライアントからの要望に則って、ソフトウェア開発をおこなう技術者。

・PL(プロジェクトリーダー)
プロジェクトの管理やプロジェクトのリーダーをおこなう技術者。
現場責任者のイメージです。

・PM(プロジェクトマネージャー)
プロジェクトの実行責任者で、全体をみる職種。現場よりもさらに一つ上のレイヤーで、行程全体の管理をしていきます。

そして、エンジニアの特徴はそのキャリアの多様性であるともいえます。具体的にみていきましょう。

エンジニアそのものの多様化

・システム全体を設計する「システムエンジニア」
・web上で提供されるサービスの構築をする「webエンジニア」
・企業内のネットワークの設計と構築を行う「ネットワークエンジニア」
・顧客データや商品データなどの膨大なデータを管理するシステムに携わる「データベースエンジニア」
などなど……

その他、インフラ、アプリケーションなど言語やプロダクトの進化に合わせてエンジニア自体がそれぞれの技能を特化させていくようになりました。また、キャリアパスという視点で観ると以下のような要素も影響を与えます。

・自社開発か請負契約か
・IT企業におけるSEと大企業に紐づく子会社IT部門のSEの差
・使用言語の市場感
(例)比較的歴史のあるCOBOLと注目度の高いPythonではキャリアも大きく異なる

特に新卒未経験で入社を目指す場合、自分がどこを目指したいのかは中々想像しづらい所ではありますが、最初の働き方として一通りどういったものがあるのか、志望する企業ではどんなエンジニアとしてのキャリアが積めるのかは事前に確認しておきましょう。

エンジニアから派生する職種の多様化

いわゆる技術屋さんとして専門的なことだけわかっていればいい、という従来の状況から、非エンジニアにとってもIT活用が身近なものとなり、この橋渡しをしてくれる職種の重要性が高まりました。また、各専門分野をさらにとがらせた上位職種としてのエンジニアも増えています。さらにはマーケティングや人事労務など、他職種とエンジニアのハイブリッドも注目されています。以下その一部を紹介します。

【ITコンサルタント】
クライアントからのITに関する戦略的立案や経営改善をおこなう技術者。必ずしも現場でプログラムを書くという訳ではなく、技術に関して詳しいセールス寄りの職種のイメージです。もちろんITコンサルがどこまで業務知識を持っているかは会社によっても千差万別です。

【ITスペシャリスト】
ソフトウェア技術のスペシャリストであり、技術的な課題を扱っています。製品の導入から設計・構築・テスト・保守・運用、とあらゆるフェーズに対応します。セキュリティに関するスペシャリスト、データベースに関するスペシャリストというようにそれぞれの専門分野ごとに詳しい人という位置づけです。

【フルスタックエンジニア】
複数の技術分野について知識や技能が精通しているエンジニアで、有り体にいえば「なんでもできる技術者」です。アメリカ発祥の職種で、どこからどこまでを把握して業務を行なうという定義はありませんが、特にベンチャー企業の立ち上げ期や新規事業開発なのでフルスタックエンジニアは非常に重宝されます。

【グロースハッカー】
かなり新しい職種で、こちらはシリコンバレー発祥。日本のIT業界でも近年需要が急速に拡大しています。グロースは直訳すると「成長」となり、IT技術を駆使して会社(または製品・サービス)の成長を加速させるという仕事です。

グロースハックとはマーケティング手法の1つであり、従来の職種で言うとマーケター×エンジニアという所でしょうか。アイデア出しをしながらサービス開発に自ら関わっていくことも求められます。近い職種としてビジネスデベロッパーというものもありますが、エンジニア経験を活かすという意味ではグロースハッカーとしてポジションが用意されていることが多いです。

【エンジニア採用担当】
職種名は会社により異なりますが、エンジニアそのものの需要が急速に増加したことで、特に中途採用でのエンジニアの価値は非常に高くなっています。エンジニアは働き方や文化など従来の日本式雇用と折り合いがつきにくい部分もあるため、人事としての知見があまり通用しないことも多いです。そこで、エンジニア経験者が人事部でエンジニア専任の担当者として採用に携わり現場との橋渡しをする、という方式が非常に注目されています。

【プログラミング講師】
厳密には派生形ではなく一つの働き方で、既にエンジニアとして働く前からアルバイトで務めている人も多いのではないでしょうか。プログラミング学習市場は需要増加の一途をたどる一方、そのプログラミングを教える側の人材の供給が中々おいついていません。とっつきにくさを感じることの多いプログラミングという分野に対してわかりやすい伝え方ができる人材はより必要とされていくでしょう。

【フリーランスエンジニア】
厳密な職種とは少し違いますが、正社員としてではなくここのプロジェクトごとに業務委託契約を結びそれぞれの案件で仕事を行うという働き方はエンジニア界隈では一般的です。一般的には業務経験を経て独立する場合も多いですが、近年は就職する前にプログラミングに触れることのできる機会も増えてきており、会社員としての業務未経験でもフリーのエンジニアとして活動している方もいます。

正社員とのメリットデメリット比較は一長一短といった形です。会社員ではなく個人事業主という肩書となるので、経費の計算などの作業も全て自己責任で行います。

総じて、最初のキャリアをエンジニアとしてスタートさせるにあたって比較的多種多様な次のステップを考えることができるようになってきました。仮にプログラマーとしての業務内容が肌に合わない場合、他の職種との掛け合わせでプログラミングの知識を活かす(IT×セールス=ITコンサル、など)という方法もあります。

志望企業内ではどんなキャリアパスを歩めるのか、という情報と同時に、一社の枠組みにとらわれず自分の歩みたい方向性を整理しておくことが大切です。

需要は高まる一方!人手不足が予測されている業界

それでは、実際にエンジニアの需要や市場動向を詳しく見ていきましょう。2000年以降から新たに起業する会社の多くは、どれもインターネットなしではサービスを提供しにくくなってきました。現在は主に、経営者とエンジニアがタッグを組んで、経営者が思い描くサービスを形にしていきます。また、エンジニアがそのまま創業者となるケースも増えています。

いずれにせよ、創業期の会社や新規事業を考えている会社はエンジニアを必要としているのです。前者がそれほど多いわけではありませんが、後者はほぼ全ての事業会社に当てはまります。そのため、エンジニアの数はかなり不足しています。エンジニアの数を確保するために、これまでは中途採用がメインでしたが、現在では新卒採用(更に未経験可の求人)も増えてきています。

やはりこれだけの伸びを見せている背景はインターネット・web業界の隆盛でしょう。この業界が誕生してからまだ数十年しか経っていませんが、市場規模は既に莫大。日本の自動車産業と同等の規模(50兆円クラス)になるという試算も出ています。これに伴い新たに数百万人単位で技術者が不足するという予想もあり、現在政府が対応に追われています。

確実に人手不足が予測されている、ということで、IT技術を身に付けておくことの有用性は一目瞭然ですが、一方でこれは日本だけの話ではありません。世界ではインド・中国・東南アジアなどの目覚ましい発展により。発注側(日本やアメリカ)と受注側(インドや中国)でのスキルレベル逆転は現実となりつつあります。見方を変えれば、国内で技術者が不足するだけではなく、世界各国で、市場が拡大し、優秀な技術者は世界で大きく活躍できるとみることもできます。

35歳という節目、そしていずれおこる身体能力の低下と向き合う

前向きな話題ばかりではなく、エンジニアのキャリアとして考えなければならないのが年齢限界説です。これには二つの意味があり、一つは身体的、もう一つは社会的なものになります。

エンジニアとしてプログラム(パソコン画面)に向き合うことが多いため、長期間この職につくことによる健康への影響も各地で懸念されています。代表的なのは眼精疲労、腰痛などでしょうか。また、働き方改革の最前線に立つ業界ではあるのもの、決して長時間労働と無縁というわけではありません。

新規事業や新規サービスを立ち上げた場合には、ほとんどの企業が準備段階ということで少人数によりスタートしていきます。人数がすくない故にプロジェクトメンバーが色々な業務をおこなうことになることも多々あります。あるいは中小企業のような社員数がすくない場合には常にフルスタックで業務を行なうことも要求されているということもあるでしょう。エンジニア全体の母数が不足している中で需要だけが高まっていくと、一人への負担は増大し、自分の職務を超えた範囲で働く必要性も出てきます。当然健康面での影響についても一人ひとりが自己管理していかなければなりません。

もう一つの社会的な限界値として、一般的には転職35歳限界説というものが唱えられています。これについては転職が珍しかった時代に出来た言葉であり、最近ではめねージャークラスで40歳前半での転職も当たり前のように成立するようになりましたが、30~35歳前後になると、転職市場では「ある一定の専門性を持っていないと見向きもされなくなる」という事実があります。

総合職でいえば30代後半でマネジメント経験が一切無いと書類の段階で弾かれたり、エンジニアでいえば開発環境をころころ変えていった結果それぞれの実務経験が全て2年未満で連続性に乏しかったり、といった状況が30代に入った段階で如実に表れてきます。終身雇用そのものは新興のIT業界にあまり馴染まない考え方ではありますが、まだまだ日本全体が「キャリアパスは会社が用意してくれるもの」という認識から抜け出せていないのが現状です。特に請負で他社に出向するタイプのエンジニアの場合、自身の裁量で関わる案件をコントロールすることが非常に難しいため、自走してキャリアについて考える姿勢がとても大切になります。

一つの職場に長くいるつもりはない、という意見は今でこそ一般的になりましたが、転職で採用側が求めているのはその道のプロフェッショナルです。前提となる業務経験やスキル無しにキャリアアップすることはこれからの時代難しくなっていくでしょう。

終身雇用の成り立ちと仕組み

終身雇用は日本固有の特殊な雇用慣行ですが、意外にも歴史は浅く、戦後の経済成長に合わせて設定された比較的新しい制度です。社員は企業に入社し滅私奉公で働く代わりに安定的な昇給と身分を保証されてきた、というものでした。今でこそ色々と言われていますが、新卒一括採用と紐づくこの制度は連続する経済成長を前提とした当時の日本にうまくかみ合っており、爆発的な広がりを見せます。

終身雇用制度のデメリットとしては以下の流れです。
・当該制度に合わせた労働関連法で解雇が強く規制される
・人材流動性が下がり、成果をあげる事のできない社員がのこりつづける
・転職市場の隆盛によりハイパフォーマーはどんどん流出していく
・企業全体の生産性が下がる

これまでは優秀な人材も会社にとどまり続けることで保たれてきたこの制度が徐々に崩れていき、実態として労働者がうすうす感じていた「継続は難しい」の発言につながっています。

とはいえこれはあくまで製造業中心で動いてきた戦後60~70年間での話。後発の産業であり外資系企業の影響も色濃いIT業界では比較的この制度とは離れた位置で独自の進化を遂げてきました。

そもそも新卒入社から定年まで継続してITに携わっている、という人がまだまだ少ない状況。さらに元々IT業界は平均勤続年数の少ない業界として知られています。つまり、一本道ではないキャリアという近年の日本のトレンドを一足先に押さえている最先端の業界がIT業界なのです。

何となくでは生きていけない時代、自分にスキルを蓄積していこう

何となくでは生きていけない時代だからこそ、自分がどうなっていきたいかというビジョンとそれを裏付けるスキルの存在がより重要になります。

例えば、エンジニアにとして自分の得意分野に特化していきたい場合、その分野(クラウドならクラウド、WEBならWEB)で経験を積んだ先にどのタイミングでマネジメントに回るのかなども考慮した上でキャリアを設計しましょう。あるいは複数の言語を習得して仕事の幅を広げることで新たな分野に挑戦するのも一つの方向性です。

何よりも大切なのは、これらを新卒入社のタイミングで「把握しつつも決めつけすぎない」ということです。実際に開発に携わっていく内に気持ちが変わる事もあるでしょう。また、かつてIT系エンジニアがそうだったように、これから新しい時代に新しいはたらき方が登場することもあるでしょう。エンジニアとして培った自学自習のスキルや論理的思考力はエンジニアとしてのキャリアだけではなく、これからの労働者としての人生全体で役に立つものです。

適宜修正をしていきながら、最終着地として自分の納得いく就職・キャリアを選んでいくのが、次の時代を生きていく皆さんにとって重要なことではないでしょうか。
まずは目の前の就職活動にしっかりと向き合いながらエンジニアとしてのキャリアを考えていきましょう。

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