以前、ホワイトプラスという、インターネットを用いてクリーニングを簡単に行えるサービスを提供する会社が、先日ジャフコより3億円の資金調達を行ったことが注目されました。ITと関連しているとはいえ、今更クリーニング?そう思った方も多いかもしれません。
そもそも、クリーニング業界の市場規模は、必ずしも大きいわけではないからです。クリーニングオンラインによると、徐々に市場規模は縮小しており、2012年の段階では3,829億円にまで下がってきています。
地域密着型であり、かつ参入が難しいと言われる業界に、どのように切り込んで収益を確立していったのでしょうか?一つ一つのポイントごとに切り分けて考えてみます。
CDやDVDを借りるように、クリーニングを行う
どの地域には1店はあると言われているクリーニング店。地域密着型のビジネスとして、日本全国で事業が行われています。しかし、お店の応対時の態度が悪い、料金が高い、クリーニングの品質に納得いかないなど、2人に1人は現在利用しているクリーニング店に満足していないとも言われています。
そのような業界の中に飛び込んでいったのが、ホワイトプラスが行う「リネット」です。インターネット上で簡単にクリーニングの注文ができ、自宅にいながらクリーニングを行うことができるサービスです。
ネットからCDやDVDを借りるように簡単に、高品質なクリーニングを提供することをモットーに、2009年より事業がスタートして、現在に至ります。
どうやって収益をあげているの?
収益モデルはわかりやすく、顧客からのクリーニング代金が収益の大元となっています。
種別毎にわかりやすく価格が表示されています。料金帯は高級店に近い価格帯といえるかと思います。
決済後の対応ができるだけ簡単になるように、自宅・コンビニ両方から配送を受け付けられるようになっています。
プレミアム会員になると、料金が20-30%割引になる他、配送期間も2日に短縮されるそうです。金額的には一般店程度の値段になるので、お得感を出してリピーターの積極利用を促しています。
会員登録は比較的簡単で、この後は住所を入力して完了。クリーニングはクレジットカードを使って決済をしていくようです。
これだけを見ると、一般的なネットサービスと同様、そこまで複雑なビジネスモデル、というわけではなさそうです。
クリーニング工場との提携、配送ノウハウが他社の参入障壁に
それでは、「じゃあ私もやってみよう」と思うかもしれませんが、簡単に行くわけではありません。クリーニング業界は、とにかくクレームが多いことでも有名で、顧客対応が大変なだけではなく、大元のクリーニングについても専門の工場を設置して設備投資を行わなければならないなど、とにかく参入することが困難な業界と言われています。
そのような状態を逆に好機ととらえ、誰も手を付けてない内にクリーニング工場との業務提携や、配送ノウハウを確立し、事業として成立させたところがホワイトプラスの強みになっています。
他社にとっては、ビハインドがある中で地道にノウハウを貯めて、より大きな規模間で巻き返しを図っていかなければなりません。このまま順調に推移すれば、インターネットクリーニングの市場で、安定した収益を獲得することができるようになるものと推測できます。
事業シナジーがなされている
他社では真似しづらいビジネスモデルを確立することで、他の業界でも横展開を図っていっています。クリーニングの保管や、くつやふとんの洗浄サービス、保管をするビジネスと関連して、「HIROIE」という収納サービスを立ち上げるなど、独自のノウハウによるビジネスモデルの構築を進めていると言えます。
事業内容によっては縮小していると言われる業界であっても、業績を拡大していける面白い事例ではないでしょうか。
「UNIQLO」で有名な株式会社ファーストリテイリングも、衣料品という、昔からある、全体としては縮小傾向の市場に挑戦をして成功を収めました。ホワイトプラスがクリーニング界のUNIQLOと呼ばれる日もあるかもしれません。
以上となります。ノウハウの確立やサイト構成、内側の仕組みを徹底的に作り上げればどのような業界でも挑戦ができる、そのような面白い事例をこれからも出てくることを楽しみにしています。