エンジニアの需要が高まってくる中で、未経験でも入社しやすいSES企業も人気が高くなってきています。
しかし、気になるのがSES企業は実際はどうなのか、将来性はあるのかではないでしょうか。
このような疑問にお答えをします。
実際にSES企業は当たりはずれもあるのは事実。
しかし、ポイントを抑えれば優良なSES企業に入社することも可能です。
SES企業が気になっている方は参考にしてください。
- SES業界は今後も需要は増えていく
- ITエンジニアの人手不足は加速している
- 未経験歓迎で入社もほとんど研修がないSES企業がある
- 完全未経験からITエンジニアへの転職を希望する人はSES企業はおすすめ
【結論】SES業界は今後も必要とされるサービスである
SES業界は今後も必要とされるサービスであることは間違いないでしょう。
必要とされる理由は以下です。
それぞれの項目について詳しく解説をします。
ITエンジニアの人手不足は加速している
SES(System Engineering Service)業界は、ITエンジニアの人手不足が深刻化する中で、ますます重要性を増しています。
国の調査によると日本では約80万人のエンジニアが不足しており、今後もIT人材不足は広がる傾向です。
IT業界が拡大する一方で、プログラマーだけでなくプロジェクトマネージャー、ITコンサルタント、セールスエンジニア、データサイエンティストなど多岐にわたるエンジニアが必要とされています。
2024年現在のエンジニアの人材数は2030年においても大きな変化は見られませんが、IT業界の拡大と日本の少子化が絡み合い、IT人材の不足は加速するでしょう。
つまり、この状況は、SES業界にますます高い需要を生み出しています。
今後は中小企業もDX化が進みIT需要が拡大する
IT技術の普及により、中小企業も積極的にITツールやアプリケーションを導入しています。
在庫管理、勤怠管理、顧客名簿管理など、業務の効率向上を考えている企は増加傾向です。
経済産業省が進めるDX政策も企業のデジタル化を後押しし、これに伴いSES業界への需要も拡大しています。
SESエンジニアはこれらの変革に欠かせない存在であり、企業のDX化や新技術の導入において不可欠になることは間違いありません。
そのため、SES業界は今後も成長が期待され、安定した需要が続くでしょう。
SES(システムエンジニアリングサービス)業界の基本情報
SES業界の基本情報を紹介します。
SES・請負・派遣などそれぞれの形態がありますが、どれも微妙に違う部分があります。
それぞれの違いを理解しておかないと、いざ仕事をしたときに思っていたのと違うなんてことになりかねません。
SES業界の違いの解説をします。
SES・請負・派遣それぞれの違い
SES業界において、SES契約、請負契約、派遣契約の違いを理解することが重要です。
それぞれの契約内容は以下です。
・SES契約について
SES契約は主に客先に常駐し、時間単価で報酬が支払われます。
SESエンジニアは成果物に対する責任を負いませんが、指揮命令権はSES企業側にあります。
SES業界はクライアントの要望に柔軟に対応し、プロフェッショナリズムを発揮することが求められています。
・請負契約について
請負契約では、成果物に基づいて報酬が支払われ、SESエンジニアはその成果物に責任を持ちます。指揮命令権は発注者にあり、プロジェクト全体に対するリーダーシップと責任が求められます。
SES業界は請負契約を通じて高度な技術力と信頼性をアピールし、新たなプロジェクトを獲得することが期待されています。
・派遣契約について
派遣契約は常駐が一般的で、時間単価で報酬が支払われます。SESエンジニアは作業の成果物に対する責任を負いませんが、常駐先企業が指揮命令権を持つため、円滑なプロジェクト進行が期待されます。
SES業界は派遣契約を通じて柔軟性と専門性を結びつけ、多岐にわたるプロジェクトに対応することで将来的な需要を拡大していくでしょう。
これらの内容の違いを理解しながら自分の契約形態を選ぶといいでしょう。
SESに対してネガティブな意見が多い理由
SESに対してネガティブな意見が多い理由を紹介します。
SESに対しての主なネガティブな意見は以下です。
それぞれの理由を詳しく解説をします。
未経験歓迎で入社もほとんど研修がない企業がある
SES企業において、未経験者歓迎であるが故に入社後の研修がほとんど行われないという意見があります。
事実、個々の成長やスキル向上は自己努力次第であり、現場で得られる知識は一部の企業では社会通用のマナーや基本的な知識に限られることが多いです。
理由として、SES企業は客先常駐が一般的であり、社内研修や常駐先の研修が難しい状況が生まれています。
一方で、すべてのSES企業がブラックというわけではなく、優良な企業も存在します。
スキルの伸ばしづらさからSESは避けるべきだとの声もあれば、良質な企業での経験がスキルアップに繋がるとの意見もあります。
SESにおいても企業の選択が重要であり、スキル向上が期待できる環境に転職することで成長することは可能です。
簡単な業務しかやらせてもらえずスキルが身に付かない
SESでは簡単な作業しか任されずにスキルが身につかない現場もあり、これが業界全体のイメージを損ねています。
未経験者にはSESを避ける声もあるが、逆に良質なSES企業もあり、企業選びが重要です。
案件ガチャのリスクもありつつ、良質なSES企業を選ぶことでスキルアップはできます。
優良なSES企業を見分けるには企業実績や社員の声、プロジェクト内容を総合的に評価する必要があります。
また、会社の評判サイトなどを確認して実際の口コミを確認するのもいいでしょう。
常駐先が無い期間は給料40%カット
SES業界では、アサインされる案件がない場合、給与が60%にカットされるケースがあります。
これは合法的に休業扱いとされ、平均賃金の60%以上の手当が支払われます。
しかし、待機中に休業扱いとされることはSESエンジニアにとっては厳しい現実です。
このような雇用条件が気になるようでしたら、転職を検討することをおすすめします。
常駐先は選ぶことが出来ず運要素が強い
SESや派遣を担当する会社の正社員は、常駐先を自ら選ぶことができません。
俗に「案件ガチャ」とも呼ばれ、好ましくない企業に派遣される可能性も十分考えられます。
これにより、外れの派遣先に当たれば、きつくて辞めるしかない状況となります。
将来的な安定を求めるなら、業界や企業選びが重要となります。
SESの将来性を見極めて優良な企業に入社するには、エージェントをりようするなど戦略的な転職活動が不可欠です。
SESへの転職がおすすめな人
次にSESへの転職がおすすめな人を紹介します。
それぞれの項目について詳しく解説をします。
完全未経験からITエンジニアへの転職を希望する人
SES企業は客先常駐の形態が多く、IT業界の人手不足から学歴などを問わないので、採用ハードルが低い傾向があります。
未経験や異業種出身者がITエンジニアへの転職を考えるならば、採用ハードルが低いSESは魅力的と言えます。
SES企業は未経験からエンジニアを育成する取り組みが進んでおり、安心して働ける環境が整っている現場も多いです。
ただし、中にはエンジニア以外の仕事を割り当てる企業もあります。
外れ企業に入社しないためにも希望や適性に合った求人を紹介してくれる転職エージェントの利用が重要です。
コミュニケーション能力があり環境変化に順応できる人
SES企業でのプロジェクトは客先常駐が一般的であり、多様な人々とのコミュニケーションが欠かせません。
クライアントやプロジェクトメンバーと円滑にコミュニケーションを取ることは信頼関係の構築に繋がり、プロジェクトを進める上で不可欠です。
そのため、コミュニケーション能力があり、環境の変化に柔軟に対応できる人材はSESの仕事に向いています。
SESでの活躍を考えるなら、コミュニケーションスキルの向上と変化への柔軟性を身につけることが重要です。
今後も将来性が高いSES企業の特徴
今後も将来性の高いSES企業の特徴を紹介します。
それぞれの項目について詳しく解説をします。
SES事業以外にもサービスを行っている
SES企業が将来性を高めるために重要なのは、SES事業だけでなく他の事業も展開しているかどうかです。
単一の事業に頼ることなく、受託開発、請負開発、自社サービスなど幅広い事業展開が企業成長の重要です。
拡大する受託や請負開発事業により、SES企業はSIerとして大手企業のプロジェクトに上流工程から参加できる可能性があります。
また、自社サービスは企画から運用まで一貫して担当でき、エンジニアはプロジェクト全体の経験を積むことができます。
SES事業と他の事業を組み合わせることで、社員は自身の希望やキャリアプランに合わせて柔軟に働き方を選択できます。
SESで多様なプロジェクトに携わりたいエンジニアも、自社サービスの新規開発に挑戦したい者も、または受託や請負開発でチームマネジメントの経験を積みたい方も、それぞれに適した環境が用意されています。
企業の将来性を見る時はSES事業以外の事業展開をしているのか見ておきましょう。
派遣先や経験したいスキルの希望が通る
SES企業がエンジニアの希望やスキルに応じた案件をアサインできるかどうかは重要です。
希望スキルや分野に特化した案件にアサインできる企業は、エンジニアのスキルアップにつながります。
しかし、社外からは判断が難しいため、面談の際にSES企業の案件アサインの柔軟性や得意分野について質問することが重要です。
また、人材不足の分野に対して、真摯に考えて言うSES企業は、将来的な需要に対応できる準備ができています。
SES企業が人材に注力しているかどうかを確認することで、将来性を判断する材料となります。
上流工程の案件に参画できる
SESエンジニアにとって上流工程の経験は、スキルアップと単価向上に繋がる重要な経験です。
企画、要件定義、設計などの上流工程を経験することで、エンジニアはプロジェクト全体の流れを理解し、クライアントとの信頼関係を築きやすくなります。
SES企業が上流工程を経験できるか環境を要できるかは、エンジニアの将来的なキャリアパスに影響を与えます。
SES企業が受託開発や自社サービス事業を展開している場合、上流工程へのアサインできるチャンスが高まります。
SES企業が多岐にわたるプロジェクトを手がけ、エンジニアに成長の機会を作っているのかがで将来性の高い企業なのかわかります。
スキルレベルが高い40代以降のエンジニアが在籍している
SES案件では若手エンジニア向けの案件が多い中、40代以降のエンジニアが在籍している企業は将来性が高いと言えます。
この年齢層のエンジニアは、プログラミングスキルに留まらず、上流工程やリーダーシップの経験が求められるため、高いスキルが期待されています。
そのため、単価が高く、経験豊富なエンジニアが多く所属するのが特徴です。
企業が40代以降のエンジニアを多く採用・育成している場合、それは働きやすい環境やキャリアパスに力を入れている証拠です。
40代以降のエンジニアの在籍が多い企業は、SES企業の将来性を見る上で重要なポイントとなります。
将来性に期待できないSES企業の特徴
将来に期待できないSES企業の特徴を紹介します。
期待できない企業の特徴は以下です。
それぞれの項目について詳しく解説をします。
派遣免許やPマーク・ISMSを取得していない
SES企業が将来性を秘めるためには、派遣免許やPマーク(プライバシーマーク)、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)などの資格や免許を取得していることが不可欠です。
派遣免許がない企業は違法な派遣を行っている可能性があり、信頼性が低いです。
また、PマークやISMSを持っていない企業はセキュリティにおいて不安材料と見なされ、大手企業との取引が難しくなります。
このような企業に入社するとエンジニアのスキルアップや単価の向上も難しくなり、将来性が少なくなるでしょう。
未経験者歓迎を最もアピールしている
未経験者歓迎の姿勢が最も強調されている企業は、注意が必要です。
大半が急募で人手が足りない状況や納期の迫った案件ばかりのデスマーチの可能性があることを示しています。
未経験者が歓迎される一方で、余裕がない企業は適切なサポート体制が整っていない可能性があり、厳しい労働環境に置かれる可能性が高まります。
SES企業を選ぶ際は、未経験者歓迎だけでなく、企業の評判や労働条件、福利厚生などを総合的に考慮し、将来的なキャリアの展望も確認することが重要です。
現場のエンジニアの希望や要望が通らない
エンジニアの将来性を考える上で、自身の希望や要望が企業にきちんと伝えられるかが重要です。
しかし、現実には企業都合で案件がアサインされ、望んでいた業務と異なるプロジェクトに携わることがあります。
これにより、キャリアプランとは違った方向になりスキルアップもできない可能性が高くなります。
若手社員が技術的な業務ではなく、サポート業務や他の職種で長期間過ごすこともあります。
企業が利益最優先で社員を育成よりもプロジェクトアサインを優先する場合、エンジニアが不遇な待遇で働かさせられる場合が多いです。
社員を大切にしない企業は従業員の定着が難しく、将来性も見込めません。
エンジニアの成長と企業のバランスを考慮した環境が、将来性のあるSES企業の特徴と言えます。
【まとめ】SESの将来性は?
SESは今後も需要は高くなり、将来性は高いと言えるでしょう。
SES企業に対するネガティブな意見の背後には、未経験者歓迎であるが十分な研修がないとの批判や、希望や要望が通りにくい客先常駐の環境が悪いなどの声があります。
しかし、優良なSES企業も存在しているので、転職エージェントなどを利用して入社することができれば、未経験でもしっかりと経験を積むことができます。
まずはSES企業の募集内容などを見て、どのような企業があるのか見てみてはどうでしょうか。