今回は、国際工科専門職大学(名古屋キャンパス)で学科長・教授を務める山本修一郎先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてインタビューをさせていただきました。情報工学概論、社会と倫理、情報セキュリティなどを担当される山本先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてお伺いしていきます。
研究背景・専門領域について
現在の研究テーマは、デジタル変革、知識変革、エンタープライズアーキテクチャ、AIガバナンス、要求工学などへの生成AI活用法です。自身のnote(https://note.com/re_blogroom)で日々の関心事を紹介しています。
授業では、生成AI時代で変化する情報工学、デザインエンジニアリング、社会と倫理、情報技術者倫理、システムデザイン、ソリューション開発を説明しています。
AI時代では、知識そのものではなく、AIを触媒として、変化するビジネスやシステム開発に即応できる新たな知識を創造する能力が必要です。人間とAI、AIとAIが融合する新たな社会技術システムのあるべき姿を統制するAIガバナンスの本質を理解してAI社会を制作する力へと変化していくと考えています。
キャリアの転機・意思決定
私が55歳で、企業の研究所長から名古屋大学へ転身した理由は、65歳を定年とすると、残された時間が10年しかなかったからです。ちょうど、大学の先輩教授から声をかけていただくことができ、教員の募集に応募しました。
企業の研究現場では継続的に研究論文を発表して学会から業績賞をいただいていたので評価していただけたと思います。
これまで、ソフトウェア開発支援環境、Web-DB連携ミドルウェア、ICカード運用システム、RFIDミドルウェア、要求工学、エンタープライズアーキテクチャ、システム安全性保証技術、DXなど、その時代の先端研究を通じてキャリアを築くことができました。これは、命じられた職務に主体的に取り組んだ結果です。
変化の速い技術領域でキャリアを築くには社会や事業という外部からの要請に対して柔軟な姿勢が必要だと思います。それによって、幅広い分野で通用する能力を獲得できたのだと思います。
職業選択・キャリア形成について

「幅を広げる」ことと「一つを極める」ことの2者択一ではなく、この2極を滑らかに往還する連続体思考を意識してほしいと思います。一つを極めるためにはその外部を知る必要があり、幅を広げるためには一つを深く知る必要があるのではないでしょうか?
拙著「デザインエンジニアリング入門」で、品質・アーキテクチャ・プロセス(QAP)の整合性がデザインでは重要だと指摘しました。個人のキャリアデザインも同じです。「何のためのキャリアか」(品質)、「キャリアをどのように活用するのか」(プロセス)を具体化することでバランスの取れたキャリア構造をデザインできると思います。
先生の専門的視点からのメッセージ
生成AI時代には、専門家としての責任を遂行できる人材が求められます。人間とAIが共生するAI社会では、AIに責任を問うことができないからです。
また、AIによって代替されにくい労働は「何を実現すべきか」を定義する能力です。研究者が問いを設定すること、経営者が戦略を構想すること、教師が学習の意味を伝えること、デザイナーが価値を表現することなどは、単なる知識処理ではなく、目的や意味を創造する活動です。
生成AIが提示する選択肢の中から何を選ぶべきかを決定する価値判断が必要です。みなさんには、AIに代行される能力ではなく、問いを生み出す能力や意味を創造する能力を期待しています。
国際工科専門職大学(名古屋キャンパス)の基本情報
| 名称 | 国際工科専門職大学(名古屋キャンパス) |
|---|---|
| 所在地 | 〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅4-27-1 総合校舎スパイラルタワーズ |
| 大学ホームページ | https://www.iput.ac.jp/nagoya/ |
| 今回インタビューにご協力いただいた先生 | 国際工科専門職大学(名古屋キャンパス) 山本修一郎先生 学科長/教授 |


