今回は和洋女子大学で教授を務める佐瀬竜一先生に、「キャリアにおける意思決定と自己理解の重要性」についてお話を伺いました。心理学をベースにしたセルフコントロール、青年および社会人のキャリア支援について研究されている佐瀬先生に、キャリアの転機における考え方や効果的な意思決定のプロセスについてインタビューしました。
現在の研究されている分野・具体的なご活動内容について
私は臨床心理学、健康心理学、教育心理学を専門とし、心と体を自分でセルフコントロールする自律訓練法の研究と実践を続けてきました。大学教員となって以降は、大学生が日常的に活用できるセルフコントロールの方法に関心を持ち、自律訓練法に加えて、書くことや音楽を聴くことの心理的効果についても研究しています。
個人の学びや成長を保障しつつ集団でも協働的に学べる方法に関心を抱き、グループで成果を挙げるための心理学的方法の研究に取り組んでいます。さらに、スクールカウンセラーとしての経験も踏まえた青年期の時間的展望や、社会人基礎力を取り入れたキャリア教育プログラムや教材の開発、自分史を用いたキャリア支援に関する研究も進めています。
全てにおいて「心の成長」が基盤にあり、これらの知見を正しく広く伝えることで社会に貢献していきたいと考えています。
研究者としてのこれまでのご経歴・キャリアパス

大学入学後に最初に受けた心理学の授業が非常に面白く、「こんな世界があるのか」と衝撃を受けたことがきっかけで、心理学の学びにのめり込んでいきました。大学卒業後は心理学を専攻するため大学院に進学し、そこで出会った指導教員の先生の影響で研究者を志しました。
大学院で出会った指導教員の先生は、人を成長させる懐の深い教育者であり、「このような大学教員になりたい」と強く思いました。指導教員の先生は、論文執筆や国際学会発表など多くのチャンスを与えてくださいました。
大変かなと思っても、「今自分にこの話が来たことには意味があるのではないか」と考え、直感的にどうしても嫌な感じがするという時以外は縁を信じてやってみるようにしました。今もこのスタンスで日々取り組んでいます。
キャリア形成と意思決定に関する知見
転機に関する様々な理論があります。特にシュロスバーグの4つのリソース「4つのS」:Situation(状況)、Self(自分)、Support(支援)、Strategy(戦略)の考え方が参考になると考えています。
元々人は欠点やできていないことにより注目する傾向が誰でもあるのでリソースに気づくことは難しいです。そこで、冷蔵庫を見るように自分を見てみることを推奨します。
冷蔵庫の中を覗く時のように「何があるかな」、「何が入っているかな」という心持ちで自分や環境を見ることで、初めてリソースに気づくことができるようになると思います。
転職者・キャリア形成中の方へのアドバイス
現代社会では殊更、成長することが強調されていることから、つい既にあるリソースを軽視してしまうように感じています。
「〇〇なら自分」の〇〇には何が入るか、自分が人にどんな言葉で検索されたいか?自分が子どもの頃に好きだったこと・興味あったこと・得意だった・熱中したことは?自分がピンチもしくはハードだった時にどうやって乗り越えたのか?他人に頼まれたこと・ほめられたこと・感謝されたことは?など、様々な問いかけを自分にしてみるといいでしょう(ただし心が穏やかな時に静かな場所で時間を区切って行うことをオススメします)。
人間には弱さもありますが強さもあります。それはみんな共通です。
自分の中には必ず何かがあるとイメージし、それを急ぎ過ぎず、時には人の力を借りながら言語化していく努力を怠らなければ必ず何らかの道はひらけてくるのではないかと思います。
和洋女子大学の基本情報
今回インタビューにご協力いただいた先生は、和洋女子大学で教授を務められている佐瀬竜一先生です。
| 名称 | 和洋女子大学 |
|---|---|
| 所在地 | 〒272-8533 千葉県市川市国府台2-3-1 |
| 大学HP | https://www.wayo.ac.jp/ |


