銀行系(金融系)SEってどんなイメージ?
銀行系の業務システムを開発するSE(システムエンジニア)。あなたは彼らにどんなイメージを抱きますか?難しそう、大変そう、しかし高収入。銀行系SEと聞くと、こんな印象が浮かぶのではないでしょうか。
一昔前の相次ぐ銀行の統合や、ここ数年のゼロ金利政策による銀行カードローンビジネスの急拡大。また、一昔前は9時から15時までしかお金の出し入れが出来なかったのに対し、今ではネットバンクやコンビニ、ATMで24時間お金を自由に出し入れできる時代になりました。システム化の進行と伴い、銀行のサービスは私達の日常から一層切り離せないものになりました。
難しそう、大変そうというイメージの通り、銀行系システムの開発は、常に大変な正確さが求められる、社会的に責任の重い仕事です。もし、銀行のATMや、ネットバンクの動作に不具合があったらどう思われますか。一遍にその銀行への信用を失ってしまいますよね。同じエンジニアでも、web系でホームページを制作したり、ゲームを制作したりするよりも、ずっと責任の重い仕事だと言えます(もし不具合がありシステムが止まったら、桁違いの損害が出るからです)。
銀行系SEに向いている人とは
銀行系のSEに向いている方はどんな方かと言えば、
①責任感が強い
②正確さのある仕事が出来る
こんなタイプの方になるでしょう。
銀行系業務の仕事量は、一時大きく落ちた時があるのですが、そこから奇跡の回復を遂げたといえる状態です。ガクッと落ち込んだのは、2008年のリーマンショック以降に金融業界が大打撃を受けた時です。それまでの銀行系の業界は、常に人材不足だといわれる右肩上がりの状態でした。SE達は、納期に間に合わせるためにいつも残業、いつも終電といった状態で、優秀なエンジニア達は引き合いにあい、引っ張りだこでした。
リーマンショックで大きな打撃を受けた後、銀行はシステムに投資する予算を引き締めました。そんな仕事量の激減のあおりで、多くの技術者がIT業界から去った時期があったのです。
しかし、アベノミクスがもたらした景気回復によって、銀行系業務の仕事量は回復を見せておりリーマン前の基準にまで戻ったと言われるほどです。現在、あらゆる業界でシステム化が進んでいるため、SEの業種そのものが増えているのですが、銀行はもともとシステム依存度の高いサービスを提供していますから、これからも案件(仕事)は減らないと思われます。
銀行系SEのメリット
その他に銀行系SEのメリットを挙げると
①年収が高い
金融・保険系SEの年収は、業種別で1位です。たとえばTech総研の調査によると、ソフト系エンジニアの30代前半(30~35歳)の平均年収が525万円であるなかで、業種別にみると「金融・保険系」が平均744万円と最も高い結果となっています。
(出典)30代エンジニア2180人に聞いた平均年収の実態と満足度|【Tech総研】
②確実なスキルが身につく
高い技術力、セキュリティー対策が求められる現場なのでスキルアップできます。銀行系業務にたずさわる若くて優秀な人材が、いま再び求められる時代となりました。もしあなたがプログラミング初心者でも、興味があるならば挑戦できる時代です。
銀行系SEの担当業務
もしあなたが銀行系業務SEになったとしたら、次のいずれかを担当するでしょう。
①勘定系システム
入出金処理(預金、貸出、為替)。利息計算システム。
②情報系システム
勘定系システムによるデータから、業務サポート機能システムを開発。
③支援系システム
窓口の事務処理、企業の事務作業などの集中システム。
銀行系SEのプログラミング言語
ところで、コンピューター言語で、何か聞いたことがあるものはありますか?本屋のプログラミング書コーナーには、Java、Ruby、PHP、C、C#、Cobol…実に様々な言語の解説書がありますね。
銀行系業務で現在使われている言語は、次のようになります。
汎用系:COBOL
オープン系:C#、.Net、JAVAなど
JAVAは耳にしたことがあるのではないでしょうか?現在新卒が学校で学んでくるのは大抵JAVAだそうです。対して、汎用系で使用されるCOBOLは聞いたことがありますか?
これはとても古い言語です。金融系の旧システムは、このCOBOLで作られているのでCOBOLの求人は半永久的に無くならないと言われています。「レガシーシステム」と呼ばれるCOBOLのシステムをJAVAに書き換えてみたり、中に眠っているビッグデータを取り出そうと試みたりする仕事。それらが半永久的にあるというのです。COBOLのプロフェッショナル(コボラーと呼ばれる)は一握りしかいないようなので、SEになったらこういう言語に向き合うこともあるかもしれません。
このように、言語もたくさんあります。 IT業界は変化が早いので、エンジニアは常に新しい言語を学んでいます。これはエンジニアの宿命です。新しい言語を前にしては、全員素人です。理系新卒も文系新卒も、現役エンジニアも等しく初心者だと言えます。(JAVAがCの流れを汲んでいるように、言語にはつながりがありますから、キャリアがあるほうが習得が早いのは確かですが。)このように初心者にもチャンスの多い現場なのです。
また、エンジニアがスキルアップする環境は年々豊かになっています。プログラミングスクールも増えていますし、今やネット学習も可能です。プログラミング学習サイトや、プログラマーコミュニティーもあり、会社外でもスキルアップを図れる時代になってきています。
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このように学習環境が充実していることが、文系・理系出身を問わず新卒者が、SEへの道を選びやすい大きな足掛かりになっています。
銀行系の現場の実態とは
最後に、銀行系の現場の実態について触れたいと思います。
労働時間:
リーマンショック前のSE苦役時代には、「残業100時間」「毎日終電」はデフォルトでした。しかし、これらは過去の遺産になりつつあります。
世の中が残業なしの方向へ向かっているのと相まって、SEも残業は極力しない方向に進んでいます。かつては、低コスト、短納期の激しい要求にさらされ、SE達が無茶苦茶なスケジュールで働かされていましたが、それは必ずしも効率的ではなかったという見直しがあったのです。今では十分な人員と納期で案件に取り組もうという流れが主流になってきています。
労働環境:
感情ではなくて論理で全てが推し進められる世界です。他業界よりも能力主義、男女平等です。ですから全員遅くまで残業になった場合は、男女平等に基づき女性SEも一緒に残業になります。
しかし女性のライフイベント(結婚、出産、子育て)がキャリアの妨げにならない、女性に理解のある会社が増えていますので、女性SEが長く働けるようになってきています。
勤務地:
SEは、自社で開発が2割、常駐(クライアントに出向いて就業)が8割と言われます。在宅は微々たるものです。常駐が多い理由ですが、システムが扱うデータが企業秘密なので社外に持ち出せないため、セキュリティーの問題からということが多いです。
銀行系SEは業務的にはタフです。しかし、案件には基本的にチームで取り組むため、新卒は保護育成される業界です。安心して飛びこんでみましょう。
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