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IT業界研究のやり方|企業研究で押さえる4つの視点と業種の違い

この記事のポイント

  • 業界研究と企業研究は別物——「業界研究で地図を描き、企業研究で1社にズームする」という二段の流れが説得力ある志望動機につながる
  • IT業界は4業種(SIer・Web・ソフトウェア・ハードウェア)に大別でき、業種の違いを把握することが企業選びの基本地図になる
  • 企業研究の4視点は「経営理念・IR情報・サービス体験・経営層の考え」——この4点を押さえれば面接で「なぜこの会社か」を3分以上話せる状態になれる
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なぜIT業界では「業界研究」と「企業研究」の両方が必要なのか

就職活動を行う上で必ず行うべきものの1つに「企業研究」があります。では、なぜ企業研究を行うかご存知でしょうか?企業研究とは言葉の通り、どのような企業であるかを研究し、その特性や他との違いを把握することです。

まず整理しておきたいのが、「業界研究」と「企業研究」は別物であるという点です。業界研究とはIT業界全体の構造・業種・動向を把握すること。企業研究とは、その中の特定の1社を深く調べることです。多くの就活生が両者を混同して手が止まりがちですが、関係性はシンプルです——

「業界研究で地図を描き、企業研究で1社にズームする」

たとえば面接を行う時、必ずと言ってよいほど「志望動機」について問われます。「志望動機」とは「なぜこの企業に入りたいのか」「他の企業ではだめなのか」というポイントを念頭に置いて答える必要があります。これに答えるためには、しっかりとした企業研究を行い準備しておく必要があります。

さらに、IT業界研究が他業界以上に重要な背景として、IT人材が量・質ともに不足している現状があります。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の『DX動向2025』によると、日本企業の85.1%がDXを担う人材の不足を感じていると報告されています。IT人材へのニーズが高まっているからこそ、業界・企業を正しく研究して自分に合う会社を選べた就活生のメリットは大きいといえます。

出典:DX動向2025(IPA)

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IT業界研究の第一歩:4つの業種(SIer・Web・ソフトウェア・ハードウェア)を押さえる

IT業界の企業研究を進める前に、まずIT業界全体の業種構造を理解しておくことが重要です。大きく分けると以下の4種類に分類されます。

業種 主なビジネス 働き方の傾向 代表的な職種
SIer系 企業向けシステムの受託開発・保守 客先常駐の場合あり/チーム開発 SE・PM・インフラエンジニア
Web・サービス系 自社Webサービス・アプリ運営 自社内開発/内製志向 Webエンジニア・データエンジニア
ソフトウェア系 パッケージ・製品ソフト開発 製品単位の開発サイクル プログラマ・製品開発エンジニア
ハードウェア系 機器・組込み開発 製造業に近い開発体制 組込みエンジニア・回路設計

この4分類は「自分がどんな働き方・環境を望むか」を考える上での基本地図になります。たとえば「自社サービスを自分たちで作りたい」ならWeb・サービス系、「幅広い業界の課題に関わりたい」ならSIer系が合う傾向があります。

また、IT企業特有のポイントとして、「ユーザー系・メーカー系・独立系であるか」「SIer業界か、Web業界か、それ以外か」「SIerであれば元請けか、一次請けか、それ以下か」といったところもぜひチェックしてみましょう。

多重下請け構造とは、ゼネコンの元請け・下請けの関係に似ています。SIerの場合、元請け企業が案件を受注し、その一部を一次請け企業に発注し、さらに二次請け・三次請けへと流れていくことがあります。この階層が自分のキャリア形成や技術習得にどう影響するかを意識しておくことが重要です。

関連記事:IT業界の悪しき慣習?多重下請け構造とは

ポイント1:会社の「基本情報」をおさえる(経営理念・沿革・事業内容)

まずは会社の基本情報を押さえましょう。企業のホームページや採用ページは隅々までチェックするべきです。これはIT企業以外の会社にもいえることですが、以下の3点は必ず目を通しておきましょう。

・経営理念
・沿革
・事業内容

「経営理念」とはその会社の理想を示した姿であり、企業の考えを言葉にまとめたものです。社会人は常にこの「経営理念」に沿った行動を求められるため、入社後においても非常に重要なものになるのです。

また、「沿革」は企業の歴史を表しています。一文字一句を記憶する必要はないですが、どのようなサービスをリリースしたり、どのような会社と合併したりというものが把握できます。

例えば以下はNTTデータの企業情報です。
https://www.nttdata.com/jp/ja/about-us/

この足跡を把握しておくことで、企業がその時々にどういったサービス重点を置いていたか、どのように拡大してきたかが把握できるのです。

同じように「事業内容」についても目を通しておきましょう。一見、競合他社と同じような事業に見えても、各社違いがあります。得意とする技術領域、対象とするお客様の業界、ビジネスの規模などは会社の基本といえるものです。

加えて、前章で解説した業種分類(SIer系/Web・サービス系/ソフトウェア系/ハードウェア系)と照らし合わせながら、事業内容を読み解く習慣をつけましょう。

関連記事:SEの仕事内容は?プログラマーとの違いや種類・年収ややりがい

ポイント2:会社の「業績の数字」をIR情報で読み解く

どんなに好印象の会社でも、営利企業の目的は「利益を上げること」であり、これができない会社は存続が危ぶまれます。とは言うものの、国税庁の統計によると、2023年度(令和5年度)の申告法人における黒字申告割合は約36.0%です。

出典:令和5事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要(国税庁)

もちろん黒字に越したことはないのですが、赤字の会社が全て悪い会社かというとそうとは言い切れないものです。こういった業績に関する数字については、企業の「IR情報」をチェックしましょう。IR情報とは、その企業に投資をしている人たちなどを対象に決算の結果を説明するものです。赤字を計上したのであれば、当然その理由を説明する必要があります。

IT企業でよくある赤字の理由としては「不採算案件」といわれるものがあります。想定以上に開発費が膨らんでしまい当初見越していた利益が吹き飛んでしまうというものです。これが何期も続くと注意が必要ですが、プロジェクトの数や会社の規模によっては赤字となることもあります。

さらには企業規模を拡大するためにあえて先行投資を行うこともあります。たとえば新製品を開発する時期などは多額の開発費が発生しますが、翌年以降に新製品が販売されることにより黒字に転換するといったケースもあります。

例えば皆さんもご存知のメルカリですが、2015年6月期には約11億円の赤字を計上しています。これはメルカリというサービスをより大きく使い勝手が良いサービスにするための先行投資を行っていた時期といえるでしょう。その後、2016年6月期には32億円の黒字に転換し、それ以降の目覚ましい活躍は皆さんがご存知の通りです。

このように、数字そのものを見るのでなく、その数字の背景にあるものを意識するようにしましょう。

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ポイント3:会社のサービスを実際に使ってみる

もし、あなたが志望している企業がWebサービスやスマホアプリを提供しているのであれば、必ず使ってみましょう。どんなに企業を研究しても、その企業のサービス、アプリを体験しているといないとでは雲泥の差が出ます。

どのようなサービスで、どういうところがメリットなのか。あるいはこうした方がよいのではないか?なぜこういった仕様になってるのか?という実体験から出る意見というのは何よりも説得力がありますし、その行動から事前と熱意も伝わるものです。

さらに現役エンジニア視点から一歩踏み込むなら、以下の観点でサービスを体験してみましょう。

・UI/UXの工夫:「なぜこのボタンはここに配置されているのか」「どんなユーザーを想定した設計か」
・技術選定の推測:「このサービスはどんな技術で作られているか」を考えてみる
・改善案を考える:「自分ならどう作るか」という前向きな思考実験

「批判」ではなく「自分ならどう作るか」という前向きな視点で考えることが、面接での差別化ポイントになります。

ポイント4:経営層の「考え」を追う

こちらはIT企業特有といえるかもしれません。IT企業の経営陣の多くは、インターネットメディアへの露出も非常に高いです。生成AI(文章・画像・コードなどを自動生成するAI技術)の活用やDX(デジタルトランスフォーメーション:業務や事業をデジタル技術で変革すること)推進に関する発言が増えており、経営層の考えを読み解く上で欠かせない情報源となっています。

例えばLINEヤフーの出澤CEOを検索すると、AIエージェント戦略やサービス統合に関する最新インタビューなど多数の記事がヒットします。

このようなニュースサイトなどは企業のホームページよりも一歩突っ込んだ情報や今後の展開、経営層の考えなどをより理解することができます。企業のTOPがどのような将来を見据えており、どのような道を進もうとしているのかは企業研究の中でも重要なポイントといえます。

経営層の発信を深く読み込んでおくことで、面接で「なぜこの会社か」を問われた際に、より踏み込んだ回答ができるようになります。業界全体の地図(業界研究)を持ち、その上で1社を深く見る(企業研究)という二段構えが実現します。

番外編:「業界研究」と「企業研究」を混同しない——よくあるつまずき

多くの就活生が陥りがちなつまずきが2つあります。

✗ つまずきパターン①:業界研究だけで満足して企業研究に進めない

「IT業界全体は分かったけど、どの会社を受ければいいか分からない」という状態。業界研究は地図であり、目的地(企業)を決めるためのツールです。地図を描いたら次は1社にズームする段階に進みましょう。

✗ つまずきパターン②:1社だけ深掘りして業界全体の地図を持っていない

「第一志望のA社だけ調べて、似たような会社との違いが言えない」という状態。「なぜこの会社か」は、他社との比較なしに語れません。競合他社・同業種の企業も並行して調べましょう。

大切なのは「地図(業界研究)とズーム(企業研究)を行き来すること」。以下の簡易チェックリストで自分の進捗を確認してみましょう。

【業界研究チェックリスト】
☑ IT業界の4業種(SIer・Web・ソフトウェア・ハードウェア)の違いを説明できる
☑ SIerの元請け・一次請け・多重下請け構造を理解している
☑ IT人材の需給動向(DX推進・人材不足の背景)を把握している
【企業研究チェックリスト】
☑ 志望企業の経営理念・沿革・事業内容を自分の言葉で説明できる
☑ IR情報で直近の業績とその背景を把握している
☑ サービスを実際に使い、感じたことを言語化している
☑ 経営層の発言・インタビュー記事を最低1本以上読んでいる

よくある疑問Q&A

Q. 業界研究と企業研究は、どちらを先にやるべき?

業界研究が先です。IT業界全体の構造・業種を把握してから個別企業を調べることで、「なぜこの会社か」という比較軸が生まれます。ただし、気になる企業が先に見つかった場合は、その企業を軸に業界研究へ広げる逆引きアプローチも有効です。

Q. 文系・未経験でもIT業界研究はできる?何から始める?

もちろんできます。エンジニア就活では、スキルレベルをS0(未経験=ITの知識・経験ゼロ)からS4(1年以上常用)で分類しています。S0・S1でも応募できる企業は多数あります。まずは本記事で解説した4業種の違いを把握し、自分が「どんな働き方をしたいか」から企業を絞り込みましょう。

Q. 企業研究はどのくらいの社数・深さでやればいい?

応募する企業はすべて「経営理念・沿革・事業内容・IR情報・サービス体験」の5点セットを押さえることをおすすめします。深さの目安は「面接で『なぜこの会社か』を、競合他社との違いを踏まえて3分以上話せる状態」です。社数に正解はありませんが、本命企業は特に深く調べましょう。

Q. IT企業の「やばい会社/合わない会社」はどう見分ける?

IR情報で赤字が何期も続いていないか、離職率が極端に高くないかを確認しましょう。また、エンジニア就活のクチコミ機能で実際に働いている人の声を参考にするのも有効です。

まとめ

今回はIT業界研究と企業研究の進め方について、4つのポイントを中心に解説しました。

まず「業界研究で地図を描く」こと——IT業界の4業種と業種特有の構造を把握する。そして「企業研究で1社にズームする」こと——経営理念・IR情報・サービス体験・経営層の考えという4視点で深掘りする。この二段の流れが、説得力ある志望動機につながります。

企業研究は就職活動の基本ですが、「ここまでやったから終わり」といったゴールがありません。皆さんが気になる企業については、日頃からニュースや企業サイトなどを細かくチェックするようにしましょう。業界・企業研究を「就活の負担」ではなく「自分に合う会社を見つける手段」として前向きに活用してください。

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