この記事のポイント
- 複数の内定で迷うのは、内定取得者の過半数が経験する「選べる立場」ならではの悩みです
- 迷いは、内定先を「見える化」し、自分の軸を見つめ直すことで整理できます
- 数字や条件で比べきれない最後の一押しは、これまでの経験が支える「直感」を信じてよい
IT・エンジニア就活を、内定のその先まで
就職活動中、内定を得るまでの間は、内定が取れないことを悩んでいたことと思います。自身は能力がないのではないか、内定をもらえないのではないかと将来を案じたことでしょう。
その悩みが解消され、複数の内定先を得た現在、また新たな悩みを抱えていることと思います。それは、複数の内定先から「入社する1社」をどうやって決めるかということです。実は、就職みらい研究所『就職プロセス調査(2026年卒)「2025年4月1日時点 内定状況」』によると、内定を得た学生のうち2社以上から内定を得ている人は55.7%にのぼります。複数の内定の間で迷うのは、決して特別なことではなく、むしろ多くの就活生が通る道なのです。
「どこにしよう」をひとりで抱えないで
複数の内定で迷うのは、なぜ?
複数内定で決められない原因は、大きく3つに整理できます。1つ目は、自分の軸がまだ定まっていないこと。2つ目は、企業の情報が足りず、内定先どうしをうまく比較できないこと。3つ目は、内定先とは別の第一志望への未練が残っていることです。
就職活動はみなさんが企業を選ぶという側面もありますが、実感としてはやはり企業から選ばれている感覚が強かったと思います。しかし、内定先を複数得ることで、その立場は「選ばれる側」から「選ぶ側」に変わります。迷うのは、まさにその「選べる立場」にいる証拠なのです。
※以降の章では、上記3つの原因それぞれに対応する解決策(企業研究のやり直し/見える化/自分を見つめ直す)を紹介します。自分が当てはまる章から読み進めてみてください。
改めて企業研究をやり直す
就職活動をはじめたときに、企業研究に時間を費やしたことと思います。その企業研究の結果、どのような強みを持っていて、どのような表情をもった企業であるのかを知ることができたのではないでしょうか。
その後も企業研究を繰り返し、幾度も面接に臨んできた結果、皆さんには就職活動をはじめた頃よりも、企業を見る目が養われているはずです。そこで、内定がでた企業について改めて企業研究することをおすすめします。就職活動をはじめた頃は対象企業が多く、それぞれの強みや特徴を重点的に見ていたと思いますが、現在の対象は数社程度に絞られています。「Aという企業は○○という強みを持っているが、この点はBという企業はどうだろう?」といった横比較ができるようになっているはずです。
ただし、公式サイトや採用ページの情報は、どうしてもポジティブな面に偏りがちです。それだけに頼らず、内定先の社員・内定者に直接話を聞く、OB・OG訪問を使う、口コミやIR情報・ニュースで実態を確かめるなど、一次情報を集め直すことが有効です。会社選びの軸そのものをもっと深掘りしたい方は、企業選びに関する記事もあわせて参考にしてください。
内定先を「見える化」する
世の中にはたくさんの企業がありますが、1つとして同じものはありません。それはまるで人間のように、様々な表情を持っているのです。ですが、その表情は言葉にしようとするとなかなか難しく、Aという企業とBという企業のどちらが良い表情をしているかを問われても、答えづらいものです。
そこで、内定先の企業を見える化してみましょう。就職活動を進めてきた中で確立してきた、企業を選ぶ際のいくつかの「軸」について、内定先の企業を評価してみるのです。各軸に対して5段階評価でもよいですし、10点満点でもかまいません。「自分がやりたい仕事ができそうか」「働いている先輩達は魅力があるか」「自分が働く姿が想像できるか」といったポイントが軸の例になります。形にこだわる必要はなく、パッと見て分かれば十分です。下記のような採点表を作ってみると、内定先を選択しやすくなるでしょう。
| 自分の軸(例) | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| やりたい仕事ができそうか | 4 | 5 | 3 |
| 先輩・社員に魅力を感じるか | 5 | 3 | 4 |
| 働く姿を想像できるか | 4 | 4 | 3 |
| 働き方・休日が合うか | 3 | 5 | 4 |
| 給与・待遇に納得できるか | 4 | 3 | 5 |
※点数化はあくまで思考を整理するための手段です。合計点だけで機械的に決めるのではなく、自分にとって特に重視したい軸があれば、その点数を重く見て判断しましょう。
自分を見つめ直す
就職活動は人を大きく成長させます。皆さんも就職活動を通じて、多くの出会いや経験を積み、成長してきたはずです。そして、その成長は皆さんが就職する企業に求めるものに影響を与えている可能性があります。そこで、内定先から1社を選ぶこのタイミングで、改めて自分を見つめ直してみましょう。
・あなたはどういった仕事をしたいですか?
・どういったキャリアパスを積みたいですか?
・どういった働き方をしたいですか?
・給料はどれくらいがよいですか?
・転勤を受け入れることができますか?
様々なポイントについて、改めてじっくりと考えてみましょう。その際、企業の知名度や規模などは、いったん切り離して考えることをおすすめします。そういったポイントで選んでしまうと、入社直後にギャップを感じやすくなるためです。皆さんが内定を貰った企業はそれらをどれくらい満たしているでしょうか?自分を見つめ直すことで、本当にあなた自身が入社したい企業がはっきりと見えてくるはずです。
出てきた軸に優先順位をつけておくと、前章の「見える化」の採点結果とあわせて、判断がぶれにくくなります。「全部を満たす完璧な1社はない」という前提のもと、譲れない軸は何かを考えてみましょう。
自分の向き・軸を整理したい人へ
最後は直感を信じる
最後にお伝えしたいポイントは、あなた自身の直感を信じるということです。就職活動はお見合いに似ているという言葉をよく聞きます。これは相互の相性が大事で、相思相愛にならなければうまくいかないということでしょう。
お見合いでは様々な条件を見ながら、望んでいる相手がどうかを見極めていきますが、最後には直感で決めることも少なくないのです。内定先についても、どんなに内定先を研究しても、最後の一押しはあなた自身が感じる直感を信じることが大事だと思います。
少し非科学的な話に聞こえるかもしれませんが、直感とは皆さんがこれまで様々な経験を積み重ねてきた上で感じている何かがあるのです。上手く言葉にはできないけども、この会社は何か自分に合う気がするという思いも、内定先を選ぶ上で大切な1つの条件となるでしょう。ただし、これはあくまで「見える化」や「自分を見つめ直す」で整理を尽くしたあとの、最後の一押しとして使うのがおすすめです。整理を飛ばして直感だけに頼ると、判断がぶれやすくなってしまいます。
1社に決めたあとにすること
入社する1社を決めたら、他の内定先へはできるだけ早めに辞退の連絡を入れましょう。無断で放置するのは避けるべきです。返事の期限を相談したい場合や、辞退の進め方・法的な扱いが気になる場合は、内定通知書、入社承諾書の締結後辞退は可能か?取消、法的効力はどの程度あるのか?の記事もあわせてご覧ください。
厚生労働省の調査では、大学を卒業して就職した人のおよそ3割が3年以内に離職しています(新規大卒の3年以内離職率33.8%/厚生労働省『新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)』)。入社後のミスマッチは現実に起きているからこそ、今この段階で軸を整理し、自分が納得して1社を選ぶことに意味があります。
それでも決めきれないとき
よくある質問
Q. 何社くらいで迷う人が多い?
2社での迷いが最も多いパターンです。実際、内定を得た学生のうち55.7%が2社以上の内定を保有しているというデータもあり、複数内定で迷うのはむしろ多数派だといえます。
Q. 内定が1社でも「ここでいいのか」と迷います。
1社の内定で迷う場合の考え方は、内定したけど本当にこの企業でいいのか迷ったらで詳しく解説しています。ケース別の整理方法もあわせて参考にしてください。
Q. 決め手に欠けるときはどうすればいい?
「内定先を見える化する」で紹介した採点表を使い、自分の軸ごとに各内定先を比較してみましょう。そのうえで、出てきた軸に優先順位をつけると、決め手となる論点が見えやすくなります。
Q. 親や周囲の意見はどこまで聞くべき?
周囲の意見は判断材料の一つとして参考にしつつ、最終的な決定権は自分自身に置いておきましょう。他人に決めてもらった選択は、うまくいかなかったときに後悔につながりやすくなります。
Q. 内定の返事はいつまで?保留できる?
多くの企業では回答期限が設定されていますが、事情を伝えれば相談に応じてもらえるケースも少なくありません。無断で期限を過ぎるのは避け、迷っている場合は早めに正直な事情を伝えましょう。詳しい手続きは、内定通知書、入社承諾書の締結後辞退は可能か?や【早期内定とオワハラ】内々定をもらった後に取るべき行動と就活継続・辞退の判断もあわせてご覧ください。
まとめ
今回は、複数の内定先から入社する1社の決め方をご紹介しました。内定先を複数得ることで、その立場は選ばれる側から選ぶ側に変わります。じっくりと本質を見極め、本当に自分自身が働きたい企業はどの会社か、自分自身が働いている姿が想像できる会社はどの会社かをよく考えてください。
はじめて働く会社は、長い社会人生活においても特別な1社となります。あなたの仕事観、仕事のスタイルなどに大きな影響を与えることとなるためです。あなた自身が選択した1社が、後悔のない最高の1社となることを心から祈っています。
内定の、その先まで。エンジニア就活で
編集後記
編集者
エンジニア就活
ITエンジニアを目指す就活生に向けて、求人情報・選考ノウハウ・業界研究など実践的なコンテンツを届けています。
就活生の疑問や不安に寄り添いながら、日々コンテンツを更新しています。










