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IT業界の悪しき慣習?多重下請け構造とは

はじめに

日本のIT業界には多重請負構造と呼ばれるものがありますがご存知でしょうか?おそらく会社説明会などでは、どこの会社であっても説明をしてくれないのではないかと思います。

多重請負構造とは業界の悪しき慣習である一面、必要悪だとも言われます。今回は多重請負構造についてご紹介いたします。

多重請負構造とは?

建設業界の仕事の流れをご存知でしょうか?大手ゼネコンが大型案件を受注すると、受注した仕事を分割していくつかの中堅企業にその仕事を振り分けます。仕事を貰った中堅企業は、さらに仕事を分割して中小企業へ、そこからさらに零細企業へというように下請けへ、下請けへ、といった階層構造になっています。

いわば、大手ゼネコンを頂点とするピラミッド型構造といえます。この構造を多重請負構造と言いますが、これがIT業界にも存在するのです。

多重請負構造のメリット・デメリット

多重請負構造にはメリットとデメリットの両面があります。

メリット

ピラミッド構造の裾野に近い3次請けや4次請け(場合によっては5,6,7…)の企業としては、1社で大きい案件をこなせる体力も人員もいません。また営業力も弱いことが多いため、下請けであっても仕事があればそれを請けるのです。

またピラミッドの頂点側にいる会社にとっても、大型案件にかかる人員を常に自社の人員として抱えておくのは効率が悪いですし、仕事がなくなった場合の事を考えるとリスクも高いのです。このように頂点側と裾野側の利害が一致するため、このような構造が現在もなお続いているのです。

デメリット

一見いいことばかりに見えますが、デメリットは計り知れないものがあります。まずは頂点側と裾野側の待遇格差が激しいことです。中間にいる会社も利益が必要なため、自社が請けた金額よりも安い金額で下請けに発注しないといけません。

例えば一次請けで1人150万円で請けた仕事であっても末端の会社では1人30万円の売上にしかならないといった事も現実的に存在するのです。また、多重構造の場合、多くはピラミッドの頂点側が「上流工程」と呼ばれる部分を担当します。これはお客様と仕様について調整したり、設計をしたりといった作業になります。

一方ピラミッドの裾野側は「下流工程」を担当します。これは実装やテストなどの作業です。一般的に「上流工程」は「下流工程」よりも待遇がよく、より難易度が高いと言われています。そのため、ピラミッドの裾野側はいつまでたっても「下流工程」から抜け出せず、会社としての競争力も弱体化していくという負のスパイラルに陥るのです。

その他のデメリットとしては責任の所在が非常に曖昧になることです。多重度が増えるにつれて現場の指示系統は混乱し、管理にも多大なるコストがかかります。一次請けの会社は末端の会社の進捗を直接把握することは困難になり、上がってくる報告の内容で判断せざるを得なくなりますが、なぜか上がってくる報告内容だけは「万事順調!問題なし!」というものが多いです。

なぜなら下請けの仕事の責任を持つのは本来1つ上の会社なのですが、ここで非を認めると会社の問題になってしまうため、報告だけは問題ないものをあげておくのです。そしていざ問題が発生すると「仕事をやってないのは下請けが悪い」ということにする会社も事実として存在します。このように責任範囲の線引きが非常に曖昧であることはデメリットの1つといえるでしょう。

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なぜ多重請負構造がなくならないのか

日本のIT業界はアメリカの手法を取り入れて成長してきました。そのためアメリカにもかつて多重請負構造が流行していた時期があり、日本独自のものではないといわれています。

ただし、日本は多重請負構造が定着しやすい環境だったのです。なぜでしょうか?それは雇用の流動性が他国に比較して極端に低いためだと思います。要は正社員の首を簡単に切れないので、雇用することのハードル自体があがってしまっているのです。

もし、簡単に雇用契約を終了させることができるのであれば、大型の案件が受注できた時に大量雇用し、終了した時点で退職をしてもらえばよいでしょう。しかし日本ではこれが許されません。多重請負構造は、自社で雇う正社員を最小限にし、外部の会社を使うことで、この問題をクリアできるためいまも変わることなく存在しているのです。

会社選びの大切さ

さて、今回のテーマである多重請負構造ですが、なぜ皆さんに敢えて業界の負ともいえる部分をお話ししているのでしょう。

理由は2つあります。1つはこれからSEになる可能性がある皆さんには、ぜひ知識として知っておいていただきたいと思ったためです。

2つめはこういった多重請負構造といった慣習があるからこそ、皆さんには会社選びを慎重に行っていただきたいためです。もちろんIT業界全てがこの多重請負構造ではありません。お客様とSIerなどが1対1で仕事をしているケースもたくさんあります。

ただ、銀行合併によるシステム統合などの大型案件は間違いなく多重請負構造になっているでしょう。こういった知識がないと自身がやりたかったことと入社後のギャップが生まれ、自身の仕事に価値を見い出せなくなります。ピラミッドの頂点側の仕事は下請けの管理や上流工程がメインとなるので、プログラミングをやりたい人にはあまり向いていないでしょう。

これは逆も然りです。もちろん会社に入ると仕事の中にはやりたくないこともありますが、会社が強みとするところや下請けの仕事がメインなのか(その場合は何次請けの仕事が多いのか)というところは意識しておく必要があるでしょう。

また先にも触れた通り、待遇面にも大きな違いがあります。働くことのモチベーションはいろいろあるとおもいますが、やはり待遇というのは大事な要素です。末端の会社の場合は給料も安く、ブラックといわれる会社も多くなるため十分に注意が必要です。

どうやって会社を見分ける?

会社を見分ける方法ですが、少し聞きにくいかもしれませんがストレートにどういったポジションで仕事をすることが多いか聞いてみるのもよいでしょう。1次〜2次請けであれば、会社側も胸を張って教えてくれるでしょう。

とはいえ、少し聞きにくい場合は、売上高と社員数から1人当たりの売上を出すことで、ある程度の仕事内容が推察できます。売上高÷社員数が1500万円以下ですと、仕事の大半は下流工程が多いと予想できます。

厳密には、年齢構成や地理(関東なのか地方なのか)などでも変わってきますので、一概にはいえませんが1つの指標としてみてみるのもよいでしょう。

まとめ

今回は多重請負構造についてご紹介しました。

IT業界に関わるものであれば周知の事実なのですが、就職活動などで公に語る企業も少ないので皆さんもあまり知らない部分かもしれません。少し刺激が強い内容になりましたが、先にも述べましたが多重請負構造の枠に入らずとも、利益をあげ続けている会社もたくさんあります。

また、昨今はクラウド、IoT、AIなど高付加価値の技術に特化することで大手以外にも独自の存在感を放つ会社も増えてきています。多重請負構造からの脱却は日本のIT業界の喫緊の課題です。1人1人のエンジニアが、よりよい業界にするために各人が多重請負構造に対する強い問題意識を持ち、少しずつでも現状を変えていければと考えてます。

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