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IT業界は「ブラック企業」が多い!?残業・労働時間制度から見分けるコツと方法

就活をはじめ、IT業界に興味を持ち始めたけれども、調べていくうちに「ITはブラックが多い」とか「激務だけど大丈夫?」だとか、いろんな話が耳に入ってきて不安に思っている方もいるのではないでしょうか。検索エンジンで「IT業界」と一緒に「ブラック」「評判」といった言葉で検索する人も少なくないようですね。そこで今回は、「IT業界におけるブラック企業の現状、見分けるコツと方法」について解説していきます。特に選考が本格化する前に是非確認しておいてほしい記事です。

必ずしも「IT業界=ブラック企業」ではない。【見分ける方法は3つ】

結論から言うと、特定の条件からこれはブラック企業だ、と完璧に判断する事は難しいです。そもそも、ブラック企業と言う言葉の定義が一つではないため、何をもってブラック企業と判断するのかについては議論の余地がある所なのです。元はといえば労働関連法を守らない企業に対して使われていた言葉ですが、劣悪な労働条件で働かざるをえない状況下でも使われるようになってきました。

ただし、あくまできっぱりと判断する事が難しいだけで、以下の3つのポイントを確認していく事である程度自己判断していく事は可能です。なお今回は、労働時間を中心に見ていきます。すなわち「従業員の意志に反した長時間労働が常態化していないかどうか」ですね。

<IT業界においてブラック企業を見分ける3つのポイント>
1.募集要項で「裁量労働制」「固定残業代」が適用されるかどうか確認
2.説明会や選考で労働条件に関する質問に答えてくれるか
3.自社でサービスを開発しているかどうか

順番に解説していきます。

1.募集要項で「裁量労働制」「固定残業代」が適用されるかどうか確認

募集要項はあくまで条件であり、それ単体でブラック企業かどうかを判別する事が最も難しい項目の一つです。
(例)10:00~18:00勤務と11:00~19:00勤務どちらがブラックか、あるいは残業時間が長い/短い、どちらがブラックか、というのは業務内容や個々人の適性や諸条件によって変わってくるため、一様に語る事はできない。

ただし、そんな募集要項の中でもあえて注意するとしたら、「裁量労働制」「固定残業代」のどちらかを適用しているかどうか、という事です。二つとも労働基準法に定められたれっきとした制度ではあるのですが、特にIT業界においては長時間労働の温床となりがちでもあります。これらの文字があるからブラック、と断定はできませんが、もしも選考を受けている企業がこれらの制度を導入している場合、注意深く確認する必要があります。

<裁量労働制かどうか>

クリエイター職や士業、研究職等をイメージするとわかりやすいと思いますが、

・労働時間とその成果が比例しない仕事
・調査や勉強なのか、業務なのかを明確に分けることが難しい仕事
・クリエイティブな仕事

について労務管理の観点から「1日〇時間働いたとみなす」という趣旨の制度が裁量労働制です。例えばとあるIT企業の新卒向け募集要項ではこのように記載があります。

■エンジニア職/裁量労働制 (みなし労働時間9時間)
■総合職/9:00~17:30

総合職の場合は9:00~17:30の8時間半が労働時間であるのに対して、
エンジニア職は「みなし労働時間が9時間」で、何時に業務を開始して何時に業務を終了しても9時間働いたとみなされます。裁量労働制の下で働く人に遅刻・早退という概念は本来存在しないのです。

このように書くと良い制度であるように見えますが、実際の現場では「裁量労働制なのに出勤時間が決まっている」「定例の会議に出なければならない」「みなし時間を超えた長時間労働が常態化している」という声も多くあります。そもそも、本来自身の裁量で労働時間をコントロールできるレベルの働き手に対して適用されるべき制度であり、適用要件も法律で厳格に決まっているのです。

<参考(厚労省サイト)>専門業務型裁量労働制が適用される職種

SE自体は確かに厚生労働省の要件に該当するとみる事もできますが「プログラムの設計又は作成を行うプログラマーは含まれない」ので、実は大半のエンジニアはそもそも裁量労働制を適用できないのです。エンジニアとしてプログラムの設計や作成を行っているのに裁量労働制の会社は基本的に法令違反ですね。新卒で入社してすぐに裁量労働制を適用される、という企業は要注意で、実際にそこで働いている人の話を聞いてみる必要はあるかと思います。労働者に払う残業代を極力抑えるために導入しているとしたら、それはまごうことなきブラック企業でしょう。

<固定残業代かどうか>

みなし残業、と表記する事もあります。こちらもよく見かける条件で、裁量労働制と同じく長時間労働の温床になっているケースが散見されます。
給料支払いの時に初めから時間外労働(残業)を〇時間した、とみなして支払いが行われる、というのが趣旨です。

裁量労働制と違う所として、固定残業代が40時間分ある場合、残業40時間未満で
仕事が終わっても40時間分はもらえます。また、40時間を超えて残業があった場合は超過分も支払われます。

世の中には悲しい事に「うちは固定残業(みなし残業)だからそれ以上残業代は出ないよ」という事を言う経営者が沢山いるのですが、これは間違いなく法令違反です。また、例えば企業側が固定残業代を40時間分に設定してる場合、基本的に毎月それに相当する業務量はある、と見た方がいいかもしれませんね。

もっとも、今は求人に関する法律も厳格になり、固定残業代を導入している場合は、「みなし労働時間を超えた分の残業代を支払う」旨を記載しなければほとんどの求人サイトに載せられないため、一昔前に比べるとこのあたりのトラブルは減ってきています。とはいえ、仕事を探す学生側にこのあたりの知識が不足している事が多いため、まだまだその穴をついて、なるべく安く長く働かせようとする本当の意味での「ブラック企業」も残念ながら存在しています。

「募集要項」でチェックすべきその他のポイント

時間外労働について、何時間からが「長時間労働」に相当するかについては人によって違います。50時間、60時間働くのが苦ではない人もいれば、20時間でもしんどい、という人もいるでしょう。また、実際は時間数よりも業務内容や社内の人間関係に大きく左右されます。ですから、労働時間で判断をするのは早計です。

健康に悪影響を与え命にかかわってくる、いわゆる過労死ラインである「月80時間の時間外労働」という基準は覚えておいて損は無いかと思います。エンジニアという職種やIT業界の成長性等を加味すると、完全に残業がゼロです、という企業はほとんど皆無だと思っていた方がいいでしょう。

しかしたとえば、真摯に労働時間削減に取り組んでいる企業は募集要項でも月の平均残業時間を公開している事があります。これは若者雇用促進法という法律の施行に伴い、新たに公開が義務付けられた内容です。正確には以下のアイウの中から各1項目ずつ公開をしましょう、という決まりになっています。つまり、必須ではないけれども残業時間について公表している企業というのは非常に誠実な企業であるといえるでしょう。

(ア)募集・採用に関する状況
・過去3年間の新卒採用者数・離職者数
・過去3年間の新卒採用者数の男女別人数
・平均勤続年数
※(ア)の参考値として、可能であれば平均年齢についても

(イ)職業能力の開発・向上に関する状況
・研修の有無及び内容(具体的な対象/内容必須)
・自己啓発支援の有無及び内容
・メンター制度の有無
・キャリアコンサルティング制度の有無及び内容
・社内検定等の制度の有無及び内容

(ウ)企業における雇用管理に関する状況
・前年度の月平均所定外労働時間の実績
・前年度の有給休暇の平均取得日数
・前年度の育児休業取得対象者数・取得者数(男女別)
・役員に占める女性の割合及び管理的地位にある者に占める女性の割合

皆さんが選考を受けている企業、興味のある企業の求人にはいくつ公開されていましたか?基本的にナビサイト等ではアイウ一項目ずつは載せていないと掲載が出来ない仕様なので、全く載っていない事は無いと思いますが、皆さんの知りたい「前年度の月平均所定外労働時間の実績」や「前年度の有給休暇の平均取得日数」を掲載している企業は意外と少ないかもしれません。

 

2.説明会や選考で労働条件に関する質問に答えてくれるか

冒頭にもお伝えした通り、募集要項を眺めるだけで全ての判断をする事は難しいです。要項と実態がかけ離れている、というケースもない事はないため、実際に会社やそこで働く人達と接する上で判断するほうがより建設的でしょう。こちらも採用という業務の性質上、そこで全てを判断する事はできないのですが、明らかに判断が容易なポイントがあります。それが「労働条件(環境)に関する質問に答えてくれるかどうか」です。

就職活動において、「労働条件に関する質問をする事は印象面から避けた方がいい」という言説はまだまだ根強いです。ここには一つの誤解があり、労働条件で疑問に思った事を確認する事は全く問題ありません。勿論「この学生は労働条件しか見ていないんだな」と思われることは選考に悪影響を与える可能性もあるので、直接的にならないよう聞き方に工夫は必要です。

例えば、度を越えた長時間労働を避けたい、と思っている場合「月の残業時間は何時間ですか?」というのは比較的直接的な表現です。この情報であれば求人情報に記載されている場合もありますし「なるべく働きたくないのかな」とマイナスな印象を与えてしまう事もあります。「仕事が終わった後はどのように過ごす事が多いですか」「忙しい時期とそうではない時期はありますか」などとワンクッション挟んだ聞き方をすると良いでしょう。

そしてここがポイントなのですが、これらの質問に対し曖昧な回答(〇時間と答えない、という事ではない)をする会社は普段から労働環境があまり良くない可能性があります。なぜなら、募集要項の部分でもお伝えした通り、IT業界において「残業が完全にゼロ」という企業はかなり小数であるため、何時間、という具体的な数値は難しくとも、可能な限り学生の疑問を解決していく事を意識する人事担当者はここ数年でかなり増えてきています。

募集要項に載っている部分について「本当ですか?」と聞き直す事はあまり印象がよくないですが、開示されていない部分で疑問に思った箇所はさりげなく確認してみましょう。また、説明会や採用面接に来ている社員の方がどんな表情か、という部分も注目ポイントですね。端的に、彼ら彼女らが疲労困憊といった様子であれば、普段から激務である事がうかがえるでしょう。

3.自社でサービスを開発しているかどうか

そもそもIT業界がなぜブラックだという話があがりやすいのか、それは業界の構造にあります。IT企業は年々数を増やしている他、技術力のある個人でも受注を行うケースがあります。こうなった場合、独自サービスの無い企業ではいかに安値で受注するかという競り合いになってしまいます。結果として「どんな仕事でも請けます」というスタンスで無茶なスケジュール、予算の仕事が降ってくるなんて事もあるわけです。

基本的に不動産と同様に階層構造になっており、依頼する側とその作業を請け負う側では業務負担がかなり異なってきます。つまりこの多重請負構造の中で、下部に位置してしまう会社では労働環境が相対的にあまりよくない可能性が高くなってしまうのです。

いわゆる客先に常駐するタイプの働き方は特にこれに該当する場合が多いです。全ての客先常駐が悪、という訳ではありませんが、労働に絡んだ問題は発生しやすいです。募集時も「未経験歓迎!丁寧な研修がウリです!」などと打ち出している事が多く、特にプログラミング未経験の学生のとっては回避しづらいのも難しい所です。

「3ヵ月の研修の後、2年間の実務経験がある事にされていきなり現場に放り込まれた」

「具体的な指示が飛んでこない割に完成物への修正依頼と納期が厳しすぎる」

「とにかく雑務が多く、実際にプログラムをいじっている時間は半分もない」

などなど、まっとうな企業が割をくってしまうほど様々な口コミが存在します。

この諸問題は企業規模が大きければ回避できる、という事でもありません。たとえば、企業規模が大きくなるにつれて、プログラミングに関する理解の浅い上司にあたってしまい神経をすりへらしてしまう、という問題も顕在化してきます。(むしろこれはいわゆる大手と呼ばれる企業において発生するといわれているのです)

この点でいうと、自社のサービスを所持している企業と言うのは一線を画した強みを持っているとも言えます。「ブラック企業か否か」という文脈において、それだけで全てを判断できない事は重々承知の上で、働き方がブラック化してしまう懸念点の一つをクリアできているのです。先ほども説明した通り、プログラミング未経験の学生というのはどうしても「研修が充実しているのか」「未経験でもやっていけるのかどうか」という要因が気になってしまうのですが、入社して技術を身に付けたらそこで終わりではありません。その後どんな働き方をするのか、という点も大切なポイントです。

エンジニアになる、というだけではなく、その技術を使ってどんな働き方をしていきたいのかも一緒に考えていくようにしましょう。

さらに確認すると安心!ブラックIT企業を見分けるポイント:補足編

ここまで、主に「長時間労働の有無」という視点での判断軸で話を展開してきましたが、年間休日数も少し意識してみましょう。法律では「年間休日が●日以下は違法」といった決まりはありません。ただし、会社は労働者に対して、週1日以上、または4週で4日以上の休日を与える決まりになっています。最低で53日間の休日はある事になりますが、現実的には年間休日欄には115~123日辺りが並ぶケースが多いです。これはほぼ確実に募集要項に記載があるので一度確認してみてください。

もちろん「ブラック企業」という言葉はこれ以外の要素も含んでいます。その一つがハラスメントですね。セクハラ、パワハラなど、いわゆる一方的で理不尽な力の行使が日常的に行われるのは間違いなくブラック企業の特徴です。これは中々就職活動中に判断する事が難しい事案なのですが、OBOG訪問でも説明会でもよいので、なるべくその会社で働いている人に話を聞いて、可能な限りその会社の空気感を知っておく、というのが大切です。

また、一概には言えないのですが、例えば社員数50人の会社が新卒を30人雇用します、という場合その大量採用の裏に大量離職といった背景を隠していることがあります。会社自体が成長フェーズ、という事もあるのですが、離職率に関する確認はしてみてもいいかもしれません。使い捨てを前提に大量に採用し、過酷なノルマと長時間労働で社員を使いつぶすというのは、ブラック企業がよく取る手口です。

人によっては、会社のオフィスまで行って夜遅くまで電気がついていないかを確認する、という人もいるようです。終電近くまで会社の電気がついているようであれば、それはその時間まで残って仕事をしている人がいる、という事ですね。ただ、繁忙期などやむ終えない場合もありますし、入社してあなたが必ず遅くまで残業をするかどうかは不確定です。これだけでブラック企業だと考えるのは早とちりとなってしまうので注意しましょう。

ポイントとして、再三の説明になりますが「何をもってブラック企業と判断するか」の軸は人によって違います。友人にとってブラックだと思う企業が自分にとってはブラックではなかったり、その逆も考えられます。就職はあなた自身の選択ですから、まわりの意見に流されるのではなく、しっかりと自分の判断軸に沿って選んでいきたいですね。

まとめ

ブラック企業かどうかを見分ける事は難しく、文字通り白黒はっきりとつくものではありません。

しかし、下記3点は一つの参考になる事でしょう。
1.募集要項で「裁量労働制」「固定残業代」が適用されるかどうか確認
2.説明会や選考で労働条件に関する質問に答えてくれるか
3.自社でサービスを開発しているかどうか

ネット上の情報や公開されている文字情報よりも、実際にそこで働いている人から生の情報を得て判断する事を心がけてみてください。

【参考記事】
幸せなエンジニアになるための企業の選び方

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