業界研究・企業研究を怠ってはいけない
本格的に就職活動を始めようと思った時、まず行わなければならないのが業界研究です。就職活動のスタートラインに立っている皆さんは、3種類のグループに分けることができます。
それは「既になりたい職業がある人」「なんとなく志望する業界がある人」「やりたい仕事が分からない、または無い人」です。スタートラインのグループについては、どのグループが優れていて、どのグループがだめだということは全くありません。幼い頃からの夢に向かって一直線で頑張ってきた人もいれば、「仕事」や「会社」というものをリアルにとらえることができず、ただ焦っている人もいるでしょう。
ですが、どのような人にとっても、業界研究・企業研究は必ず行うべきアクションです。すでに業界研究・企業研究を進めている方が多いとは思いますが、適切な手順で進められているか、なんとなくHPを見て分かった気になっていないか、この記事を読んで改めて確認してほしいと思います。
なぜ業界研究を行うのか
正しい業界研究を行うためには、その目的を知っておく必要があります。業界研究はご存知の通り、業界について知識を得るために行います。これから働こうとする業界が、どのような仕事をしていて、どのような特徴を持っており、どのような課題があるのかを調べるのです。このような情報を把握していない場合、入社後に感じるギャップから数年で退職してしまうケースが多いのです。
また、万が一志望している業界の就職活動が芳しくなかった場合に、別の業界へと間口を広げることが難しくなってしまうということもあります。就職活動はいかに情報を得るかが非常に大きな要素を占めます。就職活動を有利に進めるためにも、これからいくつかのポイントをお伝えします。
世の中に存在するたくさんの業界を知ろう
もし、皆さんがIT業界への就職を心に決めていたとしたら、業界研究というステップがとても遠回りに感じるかもしれません。ですが、世の中にはたくさんの業界があります。そして、それぞれの業界にはたくさんの企業が存在しています。極端な話をしてしまえば、1つとして同じ企業はありませんし、同じ業界でも天と地ほど異なるものです。
そこで、業界という大きなグルーピングで見ることで、それぞれの業界がどのような仕事をしているのかといった事から、その業界の平均的な姿を知ることができます。また、各業界の市場規模や景況感といったところを把握することも、非常に重要なことです。なぜなら、その業界がこれから成長していくのか、あるいは衰退していくのかといった全体的な動向を把握しておく必要があるからです。
もし時間があるのであれば、よりたくさんの業界を研究しておいた方がよいでしょう。興味が無い業界であっても、様々な業界を理解しておくことは社会人になってからも役に立ちます。特にIT企業に入社する場合、そういった様々な業界の企業がお客様となる可能性があるのです。
この段階では、1つの業界を深掘りする必要はありません。あくまでも業界の大まかな姿を把握できれば十分でしょう。業界の動向は様々なサイトで知ることができますし、『「会社四季報」業界地図』や『日経業界地図』などの本を1冊買っておくと良いでしょう。
1つの業界を深掘りしよう
いくつかの業界について大まかな姿を把握できたら、次はもう少し1つの業界について深掘りしていきます。働きたいと思った業界について、じっくりと時間をかけて研究していき、自身の頭でその業界を理解することが重要です。
最近ではインターネット上にたくさんの情報が存在しており情報過多ともいえる状態となっています。ですが、全ての情報の信憑性が高いわけではありませんし、1つの事実に対しても人によって感じ方は全く異なるものです。可能であれば、複数の情報源から、あなた自身が総合的に判断しましょう。情報源には以下のようなものがあります。
インターネット
最も手軽でエネルギーを使わない情報収集方法です。好きな時に好きなだけ情報を得ることができます。例えばIT業界であれば「IT業界&特徴」あるいは「IT業界&課題」といったキーワードで検索するとよいでしょう。
ただ、結果には新旧様々な情報がヒットするので、さらに「2019」といったキーワードを加えたり、ブラウザの期間指定検索機能などを使い、より新しい情報をターゲットとしましょう。
業界の雑誌
もし、ある程度興味がある業界が絞られているのであれば、業界専門の雑誌も有力な情報源です。サイトによっては無責任な情報を発信しているインターネットとは異なり、企業が責任を持って発信している情報であるため情報の信頼度は桁違いです。IT業界であれば、『日経コンピュータ』などを読んでおくと、業界でホットな情報を得ることができますよ。
やや金銭的な負担はありますが、必ずしも定期購読をしなくてもよいでしょう。まずは、書店に行った際に財布に余裕があれば購入してみるところからはじめましょう。
「中の人」からリアルな話を聞く
こちらは少しハードルがあがりますが、その業界で実際に働く人から話を聞く事も重要です。ポジティブ、ネガティブの両面ともに、実際に働いている人ならではのリアルな話を聞けるのではないでしょうか。こちらは、大学のOB訪問や知人のツテを頼るといったアナログ的な方法もあります。さらには、SNSやブログなどでその業界の情報を発信している人とコンタクトをとってみても面白いかもしれません。あるいは業界の著名人、トップランナーのTwitterなどをフォローするのも役に立ちます。
業界研究のゴールを見失わないように
業界研究のゴールとは何でしょう?もちろん先述した「業界の特徴や課題を知ること」は1つのゴールといえそうです。ただ、就職活動の業界研究で大事な観点は「自身が納得して働いていけそうな業界であるか」を判断することです。概要を把握する中でも、特に自身が仕事に対して重視するポイントを事前にいくつか洗い出しておくと良いでしょう。
企業研究の進め方
次に企業研究の方法について解説します。
日本には数百万という企業が存在します。少し古い情報になりますが、総務省によるとIT企業に絞っても約5,500社ということです。皆さんがもしIT企業で働きたいと考えているのであれば、その中から1社を選択する必要があるのです。
どの業界にも言えることですが、業界をリードする優れた企業、業界でも独自の技術で目立つ企業もあれば、いわゆる「ブラック」な企業も存在します。そのため、どのような企業があるのかを把握し、その中でも自身が働きたい企業を見つける必要があるのです。
ただ、どのように企業研究を進めればよいのか分からない方、自信がない方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、ここからは企業研究の進め方についてご紹介します。
企業研究で見るべきポイント
私は企業研究を進めるにあたって、大きく分けて2つの視点が必要だと感じています。1つは企業そのものを知るという視点、もう1つは自身が働きたい企業であるかという視点です。
企業そのものを知るという視点では、企業の従業員数、業種、資本金、売上に加えて、ビジネスモデルや顧客層などを調べます。これらは、企業の安定性や規模などを知る上で非常に大事な情報となります。
もう1つの自身が働きたい企業であるかという視点については、就職に何を重視するかで一人ひとり異なってきます。待遇や働き方を重視する人もいれば、仕事内容を重視する人もいるはずです。
企業研究は少なくとも十数社〜数十社を対象とすべきです。たとえ目当ての1社があっても比較対象を知ることは大事なことですし、お気に入りの1社があっても、その企業から内定を貰うのはかなり難しいことだからです。
可能であれば、いくつかの重視するポイントをピックアップし、各項目について5点満点で採点していくことをお勧めします。項目が5つあれば五角形のチャートができあがるはずです。これを何らかの媒体に記録していきましょう。ノートでもエクセルなどでも構いません。大事なのは後から見た時に、その企業の特徴が視覚的に理解できることです。
企業研究で活用すべき情報源
何かを調査する時に大事なのは、情報を集めること、その中から重要な情報を見極めること、そしてその情報から自身で考えることです。企業の情報を得るためにはいくつかの方法があります。可能であれば全ての情報を確認すべきですが、なかなか時間がないのも現実でしょう。企業研究は1回で終わりではありません。まずは一通りの企業を調べた後に、気になる企業や志望企業があれば、時間をかけて隅々まで調査しましょう。
企業の公式サイト
まずは企業の公式HPを確認しましょう。企業の概要はここを見ればほぼ把握できるといっても過言ではありません。
たとえばこちらは、NTTデータの企業情報です。
たいていの企業サイトには、このように社長メッセージや企業案内、企業理念などが紹介されています。隅々まで何度も読み込んでみましょう。また、採用サイトなどは皆さんに分かりやすい表現で会社を紹介しています。こちらもくまなく確認していきましょう。ただ、これらはあまりネガティブな情報が記載されていることはありません。極端な話ですが、採用サイトで「新規事業が上手くいっていません」とは記載しないでしょう。企業サイトや採用サイトは、基本的に会社の良いところをアピールするものだということは理解しておくべきです。
IR情報・投資家情報
企業のポジティブな姿を把握するだけでは、良い企業研究とはいえません。良い面・悪い面を含めて企業のありのままの姿を知ることが大事なのです。
上場している企業のサイトにはIR情報というページがあることをご存知でしょうか。IR情報とは投資家向けに公開される情報であり、決算情報や決算説明会などの情報が記載されています。これらには、企業の経営状況や今後の予測などが詳細に記載されています。全てを理解するのは少し難しいと思いますが、理解できる部分も少なくないはずです。IR情報は、企業サイトなどからは得られない情報を発見する可能性が高い情報源です。気になる企業があれば、ぜひ確認してみましょう。
ニュース
企業研究を行うにあたって、情報の鮮度は重要視すべきポイントです。鮮度が新しい情報を得たい場合は、インターネットなどでニュースサイトなどを確認してみましょう。新製品の発表や提携といった情報はもちろん、業績情報など最新の情報を得る事ができます。
また、社長のインタビューなどからは、その人となりなどを感じることもできるでしょう。企業の姿は常に変わります。皆さんが知っている大企業であっても、実際の姿は皆さんが思っている姿とは別であることも少なくありません。ニュースのちょっとした内容からも、様々なことを感じ取ることができますので、必ずチェックするようにしましょう。
良い企業研究にするために
就職活動の目的は、一般的に良いとされる企業から内定をもらうことではありません。自身が心から働きたいと思う企業から内定をもらうことです。そのためには、企業を調べ、その業界の中でどのようなポジションにいるのか、強みは何なのかを知ることが重要です。
先述したようにたくさんの企業があるために、ゼロとイチのように分かりやすいものではありません。初めは辛いと感じる方もいるかもしれませんが、企業研究を進め、気になる企業を見つけた時には、よりその企業の事を知りたいと感じるはずです。良い企業研究にするためには、その「より知りたい」と思う気持ちが大切なのです。時間が許す限り、悔いが残らない企業研究にしましょう。
業界研究・企業研究を深めるには就活エージェントの力を借りるのも手
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