SESから転職するのに適したタイミングを知りたい
本記事では「SESからの転職は何年目がベスト?」という問いに答えながら、転職を検討すべきケースや注意点も解説しています。
SESからの転職先候補も紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
- 経験年数よりも持っているスキルが重要
- すぐさま転職を検討したほうが良いケースもある
- SESからの転職は年代にも注意すべし
結論:SESからの転職は経験年数よりもスキル面が重視される
「SESからの転職は何年目がベスト?」という問いは、「どれくらいSESの経験を積めば転職できるか」という問いにほかなりません。
ゆえに結論は「経験年数はあまり気にする必要はなく、スキルの習得内容で判断すべし」となります。次からその理由について解説していきましょう。
理由①IT業界は人材不足
経験年数に注目してしまうのは、転職のしやすさに関係しているからだと言えます。ですがIT業界においては、それが必ずしも当てはまるとは言えません。
なぜならIT業界は将来に渡って人材不足を予見されているからです。そのため期待値の高い人材を採用し、自社でエンジニアを育てようという考えが広まっています。
経験年数が少ないことだけを理由に、転職先候補がまったく見つからないといった事態は少ないと言えるのが現状です。
理由②転職成功は応募先とのマッチ率によるから
転職を成功させるポイントは応募先とのマッチ率にあります。自分のスキルが企業の求めている条件に合致していれば、転職成功率も上昇する傾向です。
SESで働くメリットは、さまざまなプロジェクトに参加し幅広いスキルを得られる点にあります。
そのため習得できるスキルの内容や熟練度は、SESそのものの就業年数とイコールではありません。
特定の業界知識・スキルを求める求人であれば、経験年数が短くとも企業の要望とマッチする可能性は十分あります。
SESからの転職を検討すべきケース5選
SESからの転職について「経験年数はあまり気にする必要はなく、スキルの習得内容で判断すべし」と解説しました。
ですがスキルの習得内容にかかわらず、なるべく早く転職を検討したい以下のようなケースも存在します。
それぞれのケースについて詳しく解説していきます。
研修が存在しない
SES企業はさまざまな案件を取り扱っていることもあり、未経験者でも就職しやすい点がメリットです。
実務未経験は企業が実施している研修を通して、プロジェクト参加を可能とするスキルを習得していくことになります。
ですが研修が存在しない、または研修がエンジニアのスキルとは関係のない内容ばかり、といった事例もあるので注意が必要です。
このような場合はスキルの習得に期待が持てないため、なるべく早く転職を検討したほうが良いケースとなります。
コールセンターやヘルプデスクなどが多い
SES企業が取り扱う案件には、エンジニアの実務経験をあまり必要としないコールセンターやヘルプデスクに含まれます。
キッティング(デバイスの設定やソフトのインストール作業)や電気店のスタッフなどもあり、これらはすべて未経験者向けの案件という位置づけです。
ところが数年経ってもこういった案件ばかりをアサインされる事例があります。未経験者向けの案件を数多くこなしても、エンジニアとしてのスキルは身に付きません。
なるべく早く転職を検討すべき状況だと言えます
運用保守・テスト・監視業務が多い
運用保守・テスト・監視業務は、経験の浅いインフラエンジニアが担う業務内容です。
このような業務をこなしながら、より上位の設計・構築へ進んでいくのが通例となります。
運用保守・テスト・監視業務は開発業務への前段階として必要な経験ですが、ここでストップしていては有用なエンジニアにはなれません。
案件の変更を相談し聞き入れてもらえないようなら、近いうちの転職を視野に入れるべきです。
給料が見合っていない
SES企業での就業年数が増えていけば、こなせる案件も増えていくため給与額も増加していく傾向です。
ですが所属する会社の状況・方針・下請け構造における立ち位置によっては、働き続けても給料が上がらない事例もあります。
同じ会社で3年経験を積んでも年収300万を超えないようなら、すぐさま転職を検討してみましょう。
案件が選択できない
近年のSES企業で採用されているのが案件選択制度と呼ばれるシステムです。
案件選択制度とは、エンジニアが希望するプロジェクトの条件を営業に伝え、紹介された案件の中から自分で参画するものを選ぶといったものになります。
ですが案件が選択できると言われて入社したSES企業でも、結果的に案件が選択できない事例もあるので注意が必要です。
希望条件を伝える機会がなかったり、そもそも選べるほど案件が多くなかったりといったことが原因ですが、このようなSES企業は転職を検討すべきと言えます。
SESからの転職で注意したいポイント
ここからは転職を決断した後のことに焦点を当てて解説していきます。まずはSESからの転職で注意したいポイントについてです。
転職を実行に移す際は、以下の点を意識しておきましょう。
退職の意志を伝える相手は自社の上司
SESエンジニアの職場は常駐先の企業となりますが、退職の意志を伝えるのは自分が所属する会社の上司です。
常駐先へは会社を通して伝わるため、自分で話す必要はありません。伝える相手は間違わないようにしましょう。
退職の意志を伝えるタイミング
SESエンジニアの転職で気にしておきたいのが退職するタイミングです。
SES企業と正社員の雇用契約を結んでいれば、退職の申し出自体はいつでも問題ありません。意志を伝えてから2週間で退職が可能(民法627条)です。
ですが急に退職を申し出ると参画しているプロジェクトのメンバーに迷惑をかける恐れもあり、雇用元と常駐先の関係にも影響を与えかねません。
ゆえにプロジェクトの終了時、次の契約更新前で退職するのがベストです。先に契約更新されないためにも、1か月前には退職の意志を伝えておきましょう。
退職代行を利用してもOK
SESエンジニアは常駐先で勤務しているため、自社に出社する機会が少ない傾向です。
退職の意志を伝えることが難しいと感じる場合は、退職代行サービスの利用を検討してみましょう。
おすすめは弁護士による退職代行サービスです。非弁行為に該当する心配がなく、有給消化・残業代未払いなどにも対応可能してくれます。
【状況別】SESからの転職先候補
続いてSESからの転職先候補についてです。一般的なITエンジニアの就業年数を基準として、以下のような状況別による選択肢を紹介していきます。
実際に選択可能な転職先候補は、転職を決断したときのスキル内容によって変わります。年数で紹介していますが、スキルに重点を置いて判断しましょう。
【未経験・スキルなし】
SES企業に入社して間もない状態での転職先候補です。極端に短い時間で判断するのは間違っていますので、1年弱ぐらいの在籍期間が対象となります。
案件が豊富なSES企業
未経験もしくはスキルに自信がない場合、やはりSES企業が転職先候補のひとつとなります。
大切なのは企業選択で、開発経験もしっかりと積める、案件が豊富なSES企業に狙いを絞るのがポイントです。
幅広いスキルが磨けるため、次の転職を有利に進めることができます。
小規模SIer
小規模SIerも未経験からのチャンスはあるため、SESからの転職先として候補に挙がります。
開発技術を中心としたスキルが、重点的に習得できる点でおすすめです。さらにスキルアップするためには、より規模の大きなSIerに転職する必要があります。
【エンジニア経験1年】
次にエンジニア経験1年を基準とした転職先候補です。
すでに解説とおりマッチ率の高い企業に対して自身の将来性をアピールすれば、以下のような業種・職種に対しても転職成功率は上げられます。
中堅SIer
中堅SIerになるとプロジェクトの内容によっては、開発スキル以外にマネジメントスキルが必要になってきます。
開発スキルに自信がなくても、マネジメントやコミュニケーションスキルをアピールできれば転職成功への突破口になるということです。
社内SE
社内SEの業務内容は募集している企業により多岐に渡るため、経験年数が少なくとも転職実現は可能です。
IT業界以外でも社内SEを募集している企業は存在するため、開発スキルがなくとも特定の業界知識を求めて採用される事例が見られます。
専門性の高いITスキルを条件としていない求人であれば、採用のチャンスは十分あります。
【エンジニア経験1年~2年】
続いてエンジニア経験が1~2年に当たるスキルレベルの場合です。さらなるキャリアアップが可能な位置であり、以下のような選択肢も選べるようになります。
上流工程を扱うSES企業
エンジニア経験が1~2年もあれば、下流工程の経験は問題ないレベルだと推測できます。
上流工程に携わることを目標とした学習や取り組みを提示して、期待値での採用を狙いましょう。
管理・コミュニケーション・ヒアリング、そういった能力をアピールできる事例があれば、転職成功確率はさらに上昇します。
フリーランス
企業に所属する以上に稼げるかは別ですが、このレベルに達するとフリーランスでの活動も視野に入ります。
ただし安定的に稼ぐには、効率的な案件獲得の技術が必要です。自己研鑽を欠かさず、つねに学習を続ける姿勢も求められます。
収入が途絶えるリスクも考慮しながら、慎重に選択すべき転職先候補です。
【エンジニア経験3年以上】
エンジニア経験3年以上は、求人の要項として記載されることの多い条件です。ゆえにキャリアアップ・キャリアチェンジの最適なタイミングだと言えます。
SES企業におけるエンジニア経験3年以上で見えてくるのは、以下のような選択肢です。
大手SIer
大手SIerの中心となる業務は、開発ではなく管理となります。プロジェクトの管理スキルや実績があるほど、大手SIerへの転職は有利になる傾向です。
キャリアプランの先にITコンサルタントがあるなら、大手SIerがもっともメリットのある選択肢と言えるでしょう。
年齢が20代ならポテンシャル採用にも期待できるため、挑戦する価値はさらに大きくなります。
自社開発企業
自社開発企業は自社のシステムを中心に設計・構築を行う企業です。
自分たちで使うシステムを社内で開発するため、スケジュール調整がしやすくコミュニケーションが取りやすいという利点があります。
企画段階から携わることができ開発に集中できる点も、エンジニアにとって魅力的に感じる条件です。
3年以上の経験に裏打ちされた確かな開発スキルがあれば、高い難易度をはねのけて転職できる可能性が生まれてきます。
SESからの転職は年代にも注意
SESからの転職は持っているスキルの内容を基準にする必要がありますが、転職実行時の年代にも注意しなければなりません。
転職成功率にも関係しているため、以下のポイントを押さえておきましょう。
20代はポテンシャル採用に期待できる
20代前半まではポテンシャル採用に期待できるため、スキルに自信がなくても転職成功への期待値は高いです。
20代後半からは年齢に応じたスキルを求められる傾向で、SESで参画したプロジェクトの内容次第では転職の難易度も上がってしまいます。
SESからの転職は30代までに
SES企業で30代まで働いた場合、すでにある程度のスキルと経験を積んでいる状態だと言えます。
20代のようなポテンシャル採用はありませんが、これからの伸びしろは十分あるというのがエンジニア市場における30代の認識です。
以上の理由によりSESからの転職は30代までに実現させるのがおすすめとなります。
40代は経験とリーダーシップをアピール
40代のSESエンジニアにとってアピールとなる部分は、これまでの経験で培った課題に対する対処能力です。
加えてリーダーシップも発揮できるエンジニアであれば、企業側にとって魅力のある人材となります。
エンジニアの転職は年齢を重ねるほど難易度も増していきますが、40代からの転職が無理だという結論にはなりません。
40代という年齢に応じたスキルで貢献できることを応募先にしっかりと伝えることができれば、転職を実現できる可能性も高まります。
SESから転職におすすめのエージェントサービス
SESから転職を成功させるためには、転職エージェントの利用が欠かせません。応募企業の詳細な情報を入手して、間違いのない選択を選びましょう。
以下はSESから転職におすすめのエージェントサービスとなります。どの転職エージェントを利用するべきか分からないという方は、ここから選んでみてください。
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専門性の高さに定評のあるトップレベルのキャリアアドバイザーが在籍している点も、サービスの見逃せない魅力と言えます。
SESからの転職は何年目がベスト?まとめ
SESからの転職において、何年目がベストと明確に答えることはできません。SESの経験年数よりも取得しているスキルの内容が重要視されるからです。
IT業界の優秀なエンジニア不足は続いており、企業の要望とマッチすれば1年以内の転職でもOKというのが結論となります。
ただし転職先候補の選択は現在のスキルレベルに合わせたものでないと、転職成功の確率は下がってしまう傾向です。
SESからの転職は難しいという声もありますが、しっかりと検討することで成功率は上昇します。年齢にも注意しつつ適切なタイミングでSESからの転職を実現しましょう。