この記事のポイント
- 内定承諾書(入社承諾書・就職承諾書)は「入社の意思を示す書類」で、書面そのものに辞退を罰する強い法的効力はない
- 提出前に「損害賠償の記述の有無」と「労働条件が面接時の説明と一致しているか」を必ず確認しよう
- その場での即決を迫られても持ち帰って検討できる。期限の相談も可能なケースは多い
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全ての選考を突破して内定を得たあと、最後に渡される見慣れない書類が「内定承諾書」です。これは何のための書類なのか、サインしたら後戻りできないのか、辞退はできるのか——初めて目にすると不安になります。
この記事では、内定承諾書とは何かを、意味・法的効力・提出時の確認点・出し方まで、就活生の目線でわかりやすく解説します。
「この承諾書、サインして大丈夫?」と迷ったら
内定承諾書とは?まず押さえたい2つの意味
企業から内定が出た場合に渡される書類の正体が、内定承諾書と呼ばれるものです。ある程度、字から意味は想像できると思いますが、内定承諾書は2つの意味を持ちます。
1つは内定を出しましたよという証明の意味。ただしこちらはあまりメインではありません。重要なのは2つ目の意味です。2つ目の意味は、内定を出すので正当な理由以外は入社してください、という意味です。この2つ目の意味こそが、内定承諾書の本質だと考えてください。
また、就活の場では書類の呼び方がいくつも存在し、混乱しやすいポイントでもあります。呼び方は違っても、中身はほぼ同じものを指しているケースが多いため、まずは対応関係を整理しておきましょう。
| 呼び方 | 中身 |
|---|---|
| 内定承諾書 | 入社の意思を示す書類(本記事の主役) |
| 入社承諾書/就職承諾書 | 呼び方が違うだけで内定承諾書とほぼ同じ |
| 内定誓約書 | 遵守事項を誓約する形式。実質的な役割は同じことが多い |
| 内定通知書 | 企業が「内定を出した」ことを知らせる書類(承諾書とは別物・後述) |
なぜ企業は内定承諾書を書かせるのか(採用のホンネ)
なぜ企業はこのような書類を用意するのでしょうか。答えは単純で、学生に他の企業へ行かれると困るからです。
採用にはかなりお金がかかります。単純に就活サイトへ割くコストやイベントを開催するためのコスト以外にも、会社とのマッチングを上げるために人事部ではない社員に、就活生のために時間を割いてもらうこともあり、そういった意味でもかなりコストがかかっています。そこまでかけてやっと内定を出した学生に入社してもらわないと、ただの無駄金になってしまいます。
また、単純にその学生分の損失になるだけではありません。企業では毎年目標とする内定者数が決まっていて、人事はその目標を達成することが任務です。内定を辞退されれば、またコストをかけて採用活動を行わなければなりません。
実際、就職みらい研究所『就職プロセス調査(2025年卒)「2024年9月1日時点 内定状況」』によると、内定を得た学生は平均で1.59社の内定を辞退しているというデータがあります(内定保有企業数は平均1.05社)。企業にとって「内定を出しても辞退される」ことは決して珍しくないのです。だからこそ、書面で入社の約束を取り付けようとするのです。
そう考えると、内定をけられることは企業にとってかなりの損失です。これは「企業が悪い」という話ではなく、採用コストという構造から見れば合理的な行動だといえます。相手の事情を理解したうえで、こちらも冷静に判断すればよいのです。
内定後の悩みも、相談先があります
内定承諾書に法的効力はある?辞退できるのか
結論から言うと、内定承諾書という書面そのものに、辞退を罰する強い法的拘束力はありません。あくまで内定承諾書は、企業と学生とが交わす入社の約束を示すものであり、それを破ったからといって法的に罰則が発生することはありません。
ただし、いくつか押さえておきたいポイントがあります。まず、内定承諾書を提出した時点で、企業と学生のあいだに労働契約が成立したとみなされます。しかし労働者側には、民法第627条により、申し出から2週間で契約を解約する権利が保障されています。つまり、承諾書を出したあとでも、入社日の2週間以上前であれば、内定辞退そのものは可能だということです。
一方で、内定辞退によって企業側から損害賠償を求められる可能性はあります。労働基準法第16条には「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」とありますが、あらかじめ予定として違約金を定めることがいけないだけで、実際に内定辞退をされて生じた損害(研修費や備品など)を請求することは理論上は可能なのです。
※内定承諾書を提出したあとの具体的な辞退方法や、締結後の取消・損害賠償についてさらに詳しく知りたい方は、関連記事「内定通知書、入社承諾書の締結後辞退は可能か?取消、法的効力はどの程度あるのか?」もあわせてご覧ください。
【番外編】「その場で書かされそう」になったときの考え方
内定を伝えられたその場で、承諾書へのサインを強く促されることがあります。しかし、内定承諾書を書類という形で学生に書かせる行為には、精神的にプレッシャーをかける側面があることも事実です。
本来、内定承諾は一度持ち帰って検討したり、提出期限について相談したりすることができます。就職みらい研究所の調査でも、内定承諾の期限については「承諾期限はなかった」が22.1%で最も多く、その場で即決しなければならないとは限らないことがわかります。
一方で、内定者の7.7%が「オワハラを受けたことがある」と回答しており、強い引き止めに悩む人が一定数いるのも事実です。辞退を執拗に引き止める・脅すといった行為(いわゆる「オワハラ」)は問題があります。すべての引き止めが違法というわけではありませんが、明らかに度を超えていると感じた場合は、一人で抱え込まず、学校のキャリアセンターや公的な相談窓口に相談して構いません。
提出前に必ず確認すること(損害賠償の記述と労働条件)
内定承諾書にサインする前には、次の2つの軸で内容を確認しておくと安心です。
・損害賠償・違約金に関する不当な記述がないか
・内定通知書・労働条件通知書に書かれた条件が、面接時に聞いていた内容と一致しているか
ここで混同されやすいのが、「内定通知書」「内定承諾書」「労働条件通知書」の違いです。誰が・何のために出す書類かで整理すると分かりやすくなります。
| 書類 | 誰が出す | 役割 |
|---|---|---|
| 内定通知書 | 企業 | 「内定を出しました」と知らせる書類 |
| 内定承諾書(入社承諾書) | 学生が記入・返送 | 「入社します」と意思を示す書類 |
| 労働条件通知書 | 企業 | 入社後の給与・勤務地などの条件を示す書類 |
あわせて、労働条件についても以下の観点でチェックしておきましょう。
| 確認すべき労働条件 | チェックの観点 |
|---|---|
| 入社予定日 | 卒業・引っ越しの予定と合うか |
| 勤務地・転勤の有無 | 聞いていた条件と一致しているか |
| 業務内容・職種 | 配属やエンジニア職としての内容にズレがないか |
| 給与・手当 | 提示額・締め支払いが説明どおりか |
| 休日・労働時間 | 年間休日や所定労働時間に無理がないか |
| 内定取消事由 | 不当に広い取消条件になっていないか |
| 損害賠償・違約金の記述 | あらかじめ違約金を定める不当な記載がないか |
内定承諾書の出し方・封筒・添え状のマナーと提出のタイミング
内定承諾書は、相手に失礼なく・きれいな状態で届けることを意識しましょう。基本的なマナーは以下のとおりです。
| 場面 | マナーの目安 |
|---|---|
| 封筒のサイズ | 折らずに入る角形2号が基本(三つ折りで届いたら長形3号も可) |
| 封筒の色 | 白を選ぶ(返信用封筒があればそれを使う) |
| 宛名 | 「行」「宛」は「御中」「様」に書き直す |
| 書類の保護 | クリアファイルに入れて折れ・水濡れを防ぐ |
| 添え状 | 一筆添えると丁寧(必須ではないが好印象) |
| 提出の時期 | 入社の意思が固まったら早めに。迷う場合は期限の相談を |
すぐに決められない場合は、提出期限を過ぎて無断で放置するのは避けましょう。まずは正直に事情を伝え、期限の延長や保留を相談することが、誠実な対応につながります。
提出前のチェック、一緒に確認しませんか
よくある質問
Q. 内定承諾書を提出したあとでも内定辞退できますか?
できます。内定承諾書に法的効力はなく、辞退しても法的罰則はありません。ただし実際に生じた損害(研修費など)を請求されるケースが理論上はあるため、書類に損害賠償の記述がないか事前に確認しましょう。
Q. 内定辞退はどのように伝えるのがベストですか?
メールや電話より、直接会って誠実に伝えるのが最も穏便な方法です。理由を聞かれた際は嘘をつかず、正直に話すことをおすすめします。今後どこで再会するかわからないため、誠実な対応が将来の信頼につながります。具体的な伝え方や例文については、関連記事もあわせて参考にしてください。
Q. 内定承諾書を書く前に確認すべきことはありますか?
損害賠償に関する記述が含まれていないか必ず確認しましょう。また、入社予定日・条件・給与などの労働条件が内定通知書と一致しているかも合わせて確認することをおすすめします。
Q. 内定承諾書が届かない・もらえない場合はどうなりますか?
内定承諾書を発行しない企業や、口頭・メールのみで意思確認を済ませる企業もあります。届かないこと自体が内定の無効を意味するわけではありませんが、不安な場合は選考を受けた企業の採用担当者に直接確認してみましょう。
Q. とりあえず承諾しておくのはありですか?
法的には、承諾後に就活を続けたり、辞退したりすることは可能です。ただし、企業との信頼関係に影響する可能性はあるため、就活を続ける意思がある場合は、承諾前にその旨を正直に伝えておくと後々のトラブルを避けやすくなります。
Q. 提出期限の延長は頼めますか?
相談できるケースは少なくありません。実際に「承諾期限はなかった」と回答した学生が2割以上いるというデータもあります。迷っている場合は、正直に事情を伝えて期限の相談をしてみましょう。
まとめ
内定承諾書は「入社の意思を示す書類」であり、書面そのものに辞退を罰する強い法的効力はありません。ただし、提出前に損害賠償の記述や労働条件を確認しておくと安心です。その場で即決を迫られても、持ち帰って検討したり、期限を相談したりすることは十分にできます。焦らず、落ち着いて次の一歩を判断していきましょう。
内定の、その先まで。エンジニア就活で進めよう
編集後記
編集者
エンジニア就活
ITエンジニアを目指す就活生に向けて、求人情報・選考ノウハウ・業界研究など実践的なコンテンツを届けています。
就活生の疑問や不安に寄り添いながら、日々コンテンツを更新しています。










