近年「クラウド」と呼ばれるサービスが急成長しています。GoogleやAmazon、MicrosoftといったITの巨人ともいうべきプレイヤーが、こぞってこの分野に注力しています。
「クラウド」とは直訳すると「雲」という意味ですが、この「雲」とはインターネットを指します。「クラウド」を簡単に説明すると、インターネット上に存在するコンピュータやデータベース、またはアプリケーションといったものをインターネット経由で利用できるようにしたサービスのことです。
例えば、皆さんがあるサイトを運営しようと思った場合、サーバーというものを用意する必要があります。
これは以前であれば、サーバーの購入またはレンタルで調達するしかなかったのですが、クラウドの登場により、サーバーの調達が、インターネット上で簡単に、そしてすぐに用意することが可能となったのです。
クラウドのメリット
クラウドはなぜここまで成長しているのでしょうか。
これはクラウドに限らずなのですが、成長するサービスというのは、世の中の課題などを解決する力を持っているため、あるいは実際に解決しているために多くの支持を得ているのです。
今回のテーマであるクラウドも例外ではなく、それまで解決できなかった課題を克服し、ユーザーに高い満足度を与えているために年々大きく成長をしています。
では、クラウドが解決した課題とは何でしょうか。それを知るためには、少し昔の話をする必要があります。
クラウドが登場する前は「オンプレミス」といわれるハードウェアを調達する事が一般的でした。ある企業から比較的規模が大きいシステム構築を依頼されると、ソフトウェアの開発と同じようにハードウェアを調達していたのです。このハードウェアは調達が厄介で、何より時間がかかりますし、初期費用や保守料も決して小さくない額を投資する必要がありました。
それに加えて、システムやサイトを開発してもそれに見合う効果や収益が得られるかはわからないため、
しっかりとした予測を立て、ハードウェア等の投資を回収できるかをじっくりと検討する必要がありました。
Web業界はスピードが命なのですが、このようなオンプレミスをベースとしていると調達の時間、コストなどがかかりすぎるため、なかなか経営的には難しい環境でした。
クラウドのメリット
こういった課題を解決したのが、クラウドです。
クラウドは、サイトからいくつかの手順を踏むだけで、すぐにあらゆるリソース(サーバーやDB)を使用を開始でき、またいつでも終了することができます。
さらに費用は従量課金制であるため、使った分だけの支払いで済みます。
また自前のサーバーであればアクセスが集中した場合などの対応は全て自社で行う必要がありますが、こういったクラウドサービスは自動的にサーバーの性能をアップするといった運用まで行ってくれるのです。
このようなクラウドの特徴により、開発者はハードウェアの呪縛から解放され、ヒューマンリソースをシステムの開発へ集中することができるようになりました。
また、ユーザー自身も低いコストでの運用が可能になったほか、スモールスタートでサイトをリリースしてみるといったことも可能となったのです。
クラウドを活用した事例
具体的な導入効果を幾つかご紹介いたします。
関東の私鉄である東急電鉄は、AWSを導入したことにより、5年間でトータル50%以下にコストを削減しています。またあるシステムでは、インフラの人的リソース(保守人員)を10%に抑えることを実現しているようです。
また、コンビニのミニストップ株式会社はAWSの導入により運用コストを5年間で30%削減見込みのようです。
さらにはシステムの構築自体もオンプレミスの場合と比較して、50%程度のリードタイムでの構築を実現しています。
【出典】
このような事例の他にも、国内外におけるたくさんの企業にポジティブな効果をもたらしています。今やクラウドは、システム開発において無くてはならない技術として活用されているのです。
クラウドのプレーヤーと市場
ここではクラウドのプレーヤと市場を確認しておきましょう。
以下は米調査会社のSynergy Research社の調査結果です。
Amazon:34%
Microsoft:11%
IBM:8%
Google:5%
【出典】
The Leading Cloud Providers Continue to Run Away with the Market | Synergy Research Group
クラウドのプレーヤーは、現在BIG4が約60%のシェアを握っているのです。その中でもAmazon社が提供しているAWS(Amazon Web Service)は、他の追随を許さないほど独走しています。
Amazonというとインターネットショッピングなどが有名ですが、このAWSという事業で莫大な利益を得ているのです。
また4社以外にも、中国のAlibabaや日本の富士通、NTT、データベースで有名なOracleなどがBIG4を必死に追いかけている状態です。
クラウド全体の市場も巨大です。アメリカの調査会社であるGartnerの調査によると、2017年には2,600億ドル(約28.85兆円)の市場規模となっています。
また、年々高成長が予測され2020年には4,114億ドル(約45.66兆円)という天文学的な予測を発表しています。
【出典】
Gartner Forecasts Worldwide Public Cloud Services Revenue to Reach $260 Billion in 2017
今後も引き続き高い成長が期待できる分野といえるでしょう。
まとめ
今回はクラウドというワードをご紹介しました。IT業界において、クラウドは知っていて当たり前の技術となりつつあります。
私の周囲では、オンプレミスの案件とクラウドの案件は約半々といったところですが、今後はAWSなどのクラウドが採用されるケースが増えていきそうです。
日本でも続々と導入が進んでいます。クラウド(インターネット)と言われるとセキュリティを懸念する声も以前は確かにあったのですが、セキュリティに大変厳しいと言われるメガバンクである三菱東京UFJ銀行も行内のシステムをAWS上にどんどん移行しています。
【出典】
デジタルトランスフォーメーション戦略:三菱UFJフィナンシャル・グループ(PDF) 34,35ページ
この事実はIT業界に非常に強いインパクトを与えました。IT業界を目指すものにとって、このクラウド化という潮流は避けることができないものだと感じています。
最近は以下のサイトのように、無料で学習できるサイトもあるので、お時間がある時に少しのぞいてみてはいかがでしょうか。
【参考サイト】
Amazon Web Services入門 (全17回) – プログラミングならドットインストール
IT業界を目指すならエージェントを活用しよう
エンジニア就活には、IT業界・SEに強いエージェントがいます。彼らに話を聞いてもらうことで、自分が何をやりたいのか、自分が大切にしているのが何なのか、就活するうえでの軸が見えてきます。さらに、各人に合った未公開の求人情報も紹介してもらえるので、まずは気軽に相談してみましょう。会員登録や相談・セミナーなど、すべて無料で活用できます。