「Webディレクターという職種に興味があるけど、Webディレクターが普段どんな仕事をしているかイマイチ分からない…」 「Webディレクターになるには、どのようなスキルや知識が必要なのか知りたい…」 本記事では、このような悩みを持つ就活生に向けて、現役のWebディレクターが分かりやすく解説していきます。 後半にはWebディレクターの年収や将来性についても執筆いたしましたので、その点も就職活動をする上で参考にしていただければ幸いです。
Webディレクターの仕事内容
実はこのWebディレクターという仕事、仕事内容が非常に幅広いため定義が曖昧で、人や企業によっては仕事内容が大きく異なります。 一般的には、プロジェクトの管理、監督をするのがWebディレクターの仕事であるとされています。管理、監督の具体的な業務内容は大きく分けると以下の3つです。 ①リソース(人員)の調整 ②スケジュール管理 ③成果物の品質管理 これら3つの業務について、ひとつひとつ解説していきます。
①リソース(人員)の調整
リソースとは、その案件を進めるのに必要なライター、デザイナー、エンジニア、コーダーを指します。 Webディレクターは、このようなWeb制作に関わるプロジェクトメンバーの選定を行い、クライアントと現場スタッフの橋渡しをしながら、クライアントの要望にかなったWebコンテンツを作り上げていく役割を担います。
②スケジュール管理
スケジュール管理とは、企画から設計、実際の制作から納品管理までの工程管理のことを指します。 Webディレクターは、プロジェクトの旗振り役となり指揮・管理するポジションにあるので、プロジェクトを達成するまでに誰がどのようなタスクをいつまでに行うかといった全体のスケジュール設計と、作業ごとの進捗状況を確認しながらプロジェクトをゴールへと導くスケジュール管理を行います。 Webディレクターは、このスケジューリングをしっかりと行い、プロジェクトが滞りなく達成できるようコントロールしていきます。
③成果物の品質管理
品質管理とは、クライアントの要望通りのサイトになっているか、デザインや機能に問題はないかなど、制作したWebコンテンツの見た目や使いやすさなどの確認作業を指します。 品質管理を行う上で、まず取り組むべきがガイドラインの作成です。 ガイドラインとは、Webサイトの品質管理の基準や仕様を記述したルールドキュメントのことを指します。これをきちんと定めておくことで、効率的に一定の品質を保つことができ、かつ運用しやすいWebサイトを制作することができます。 ガイドラインに盛り込むべき項目には、以下のようなものがあります。 ・Webサイトの目的 ・Webデザインのルール(使用フォント・基本レイアウト・リンク色・表記ルールなど) ・マークアップのルール(スクリプト仕様・ファイル配置・ディレクトリ名のつけ方など) ・動作環境(対応ブラウザ・画面解像度など)
必要な経験・スキル
この章では、私自身ががWebディレクターとして働く中で、必要だと感じる知識、経験、スキルについてご紹介していきます。
スケジュール管理力
Webディレクターにとって、このスケジュール管理力は最も重要なスキルの一つで、このスキルがあるかないかで成果物の品質が大きく変わってきます。 スケジューリングでは、まず最終的なゴール(納品日)を決定します。ゴールを決める際は、タスクの工数やスタッフの数などに考慮しながら、日数に余裕を持たせておくことが大切です。 ライティング、デザイン作成、コーディングなどの必要なタスクを洗い出せたら、誰がどの作業を担当するかを決定していきます。スタッフのスキルに合わせて作業を割り振ることが、プロジェクトをスムーズに進めるコツです。 また、スタッフの欠員や急な仕様変更など、不測の事態に備えた対応策も常に頭に入れておき、万が一の事態が起きても、納期には間に合う範囲でスケジュール設計を行う必要があります。
コミュニケーション能力
クライアントの要望と各スタッフとの間における認識の相違を防ぐため、情報共有を密に行うこともWebディレクターの重要な仕事の1つです。 なので、ライティング、デザイン、コーディングなどの各分野の専門スタッフと話をする際に、技術的なことがまったく分からない状態では、適切な指示を出すことができませんし、スタッフからの信用を得ることもできません。そのため、ある程度の技術的な知識を身に付けておくことも必要です。 例えば、Webデザイナー出身のWebディレクターも、デザインだけでなくコーディングやSEOといったWebマーケティングの分野についても精通していることが望ましいです。 特に、編集・ライティング、Webデザイン、コーディング、SEOに関する知識、経験、スキルは必要最低限身につけておくべきです。
編集・ライティングスキル
近年、コンテンツマーケティングやネイティブアドといった、文章を主体にしたマーケティング手法がトレンドになってきています。Webディレクターにも、読者のニーズを満たした文章、読みやすい文章、説得力のある文章を作成するための知識が必要になってきました。 実際に文章を執筆するのは、Webディレクターではなくライターになりますが、Webディレクターはライターへの発注、上がってきた原稿のチェックを行う必要があるので、編集・ライティングスキルは必須になります。 特に、 ・読者の潜在、顕在ニーズを洗い出し、そのニーズを満たせるような、わかりやすく説得力のある構成を立案できる ・ライターから上がってきた原稿を、正しい日本語に校正できる ・図版、イラストなどを適切に活用できる 以上のようなスキルは、Webディレクターにとっては、必要不可欠なスキルと言えます。
Webデザインスキル
Webデザイナーにとって、「いい感じに仕上げてください」のような、発注意図が曖昧な依頼はとても嫌がられます。もし、ディレクターがデザイナーにこのような依頼をしてしまった場合、イメージ通りのデザインが上がってこないのはもちろんのこと、ディレクターに対するは信用はかなり損なわれてしまいます。 依頼主であり、品質管理を行うWebディレクターも、なぜそのようなワイヤーフレームを描いたのか、細部にわたって説明できるスキルが必要です。 特に、 ・発注・修正の目的と意図を、感覚ではなく論理的に説明できる ・Photoshop、Illustratorなどのソフトウェアの基本的な操作ができる ・明度、彩度、トーン、補色といった、色彩に関する基本的な知識がある ・JPEG、PNG、GIFなどのファイル特性を正確に理解している などの最低限のWebデザインに関する知識は必要不可欠になります。
コーディングスキル
上記で紹介したWebデザインスキルと同じように、HTMLやCSS、JavaScriptでどの程度のことが可能なのかを知っておくと、ワイヤーフレームの作成や機能を発注する際に役立ちます。 コーディングの経験がないディレクターは、まずはじめにHTML5の仕様を理解することから始め、その次にCSS、Javascriptでどの程度のことが可能なのかを知ることをおすすめします。また、それに加えてWordPressのようなCMSを利用する企業が増えてきているので、主要なCMSの仕組みについても知っておくことをおすすめします。 バックエンド言語についても、サーバー構築やデータベース構築などにおいて、システムエンジニアとコミュニケーションを取らなければならない機会は多々あるので、PHP、Prel、Ruby、Javaといった、頻繁に使用されている言語の名前と用途だけは覚えておきましょう。
Webマーケティングの知識・スキル
上記で説明したように、Webディレクターはもとより、企画から設計、実際の制作から納品までが主業務になりますが、Webサイトに人を集めるマーケティングの知識も必要不可欠です。 納品するWebサイトがGoogleで上位表示されるよう、日々Googleのアルゴリズムの変化をチェックしたり、どんなキーワードが検索されていて、そこからどんなサイトが表示されるのか研究して、その度に改善案を立てて実行・検証するのもWebディレクターの仕事です。 特に、SEOやリスティング、SNSや動画広告といったWebマーケティング手法に関しては、どのような課題に対して有効なのか、運用するのにどの程度のコストやリソースがかかるのかなど、実践的な知識や基本的な運用スキルを身に付けておく必要があります。
Webディレクターの資格
「Webディレクターになるために資格は必要ですか?」と現場でバリバリと働いているWebディレクターにそう尋ねると、ほとんどの人が資格は必要ないと答えると思います。 ではなぜ今回、Webディレクターにまつわる資格を紹介していくのかというと、資格自体には意味はなくても、資格取得に向けた勉強には大きなメリットがあるからです。今回は、Webディレクターが資格取得に向けて勉強をするうえで、おすすめの資格を2つ紹介します。
Web検定Webリテラシー
Webディレクター、Webプロデューサーにおける、最も重要な知識だけを、広範囲に学ぶことができる民間資格です。 就職や転職で初めてWebディレクションという仕事に携わる人、自己流のWebディレクションしか知らない人におすすめです。試験に合格するためには、「WWWのしくみ」「サーバー環境」といった、Webの基本中の基本から、インターネットビジネスの概要、プロジェクトマネジメント、Webサイトの企画・制作、Webデザイン・制作実務などの基礎知識が必要になります。 プロデューサーとディレクター、ディレクターとデザイナー、デザイナーとプログラマーなどの異なる職種間で起こりうるコミュニケーションエラーを減らすことが、Webリテラシー試験の目的です。
Web検定Webディレクション
この資格を取得すると、プロジェクトマネジメント、Webサイトの企画・設計、集客施策、KPI設計といった、Webディレクション・Webサイト運営に関する汎用的な知識やスキルを体系立てて学ぶことができます。 Webディレクション初心者だけではなく、実務者として一定のレベルに達しているWebディレクターも受験してみて損はない資格といえるでしょう。 プロジェクトを成功に導くWebディレクションスキルを問う本試験は、Web制作の工程管理はもちろん、要件を導き出すための現状分析、プロジェクト企画、サイト全体の情報構造設計、集客施策立案、実施まで、幅広い専門知識を問う実践的な内容となっています。
仕事におけるやりがい・喜び
Webディレクターはプロジェクトリーダー的な立ち位置になります。 クライアントの要望をヒアリングしつつ、ライターやデザイナー、コーダーが在籍する制作チームをまとめあげ、各メンバーの進捗状況を確認しつつ、軌道修正をしながら仕事を進めます。 どの仕事もそうですが、責任があるポジションは、やはりやりがいが大きいです。 Webディレクターは、その実力が認められるほど、舞い込む案件やその金額が大きくなり、プロジェクトチームも大きくなります。 この章では、現役のWebディレクターである私が、実際に仕事をしていて感じるやりがいや喜びについて共有していきたいと思います。
Webに関する様々なスキルが身につく
上記でも説明したように、Webディレクターはライターやデザイナー、コーダーなどの各分野の専門スタッフと一緒に仕事をするため、ある程度の技術的な知識を身に付けておくことも必要があります。 事実、自分の周りのWebディレクターのほとんどが、ライティングやデザイン、コーディングなどの専門スキルを身につけています。 私の肌感覚でいくと、最初は各分野の専門性がなかったとしても、プロジェクトが終わる頃には幾度となく行われるクライアントや専門スタッフとの意思疎通を通して、かなりの専門スキルが身についています。
完成したWebサイトは自分の実績になる
Webサイト制作において、初期の打ち合わせから入り、プレゼン、制作、納品まですべてに関わるのはWebディレクターだけです。 なので、一つのプロジェクトが成功するも失敗するも、Webディレクターの実力次第といっても大げさではありません。故に、Webディレクターにとって、制作に関わったWebサイトは自分の作品であり、実績になります。 実績が積み上がると、舞い込む案件やその金額も大きくなるので、強いやりがいを感じながら働くことができます。。
Webディレクターの平均年収
年収は個人のスキルや経験、年齢、会社規模によっても異なりますが、DODAの平均年収ランキング2015によると、「Webディレクター」の平均年収は451万円です。 年代別では20代が371万円、30代は471万円、40代以上で559万円となっています。Webクリエイティブ系職種の中では、上流工程を担当することもあり、最も平均年収の高い職種の一つです。 また、Webディレクター需要は年々高まっているため、入社初年度から次年度にかけて、年収50万~100万アップするという事例も多く見受けられ、昇給率が高いという特徴を持っています。
Webディレクターの将来性
今後、インターネットの普及はさらに加速し、コンテンツもますます増加していくと予想できます。そして、もちろんすべてのWebコンテンツにはWebディレクターが必要です。ですので、必然的にWebディレクターの仕事は増え、需要も増えていくでしょう。 また、Webサイト作成には、プログラミング、ライティング、デザインなどのスキルが必要であり、こうしたスキルを身につけている人材は数多くいます。ただ、こうした専門職の人たちをまとめる仕事というのは、かなり人材不足な状態です。 求人広告を見ても、Webディレクターを募集している会社は多くあり、Webディレクターは常に人手が不足している状況です。 今後、Webデザイナーやライター、プログラマーからの転職という関連キャリアからの採用も増えていくことでしょう。
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