SAPエンジニアとは、ドイツに本社があるソフトウエアメーカーのSAP社が提供しているERP製品を専門に扱うエンジニアを指します。
ERPとは、人やお金、モノ、情報の動きを一元化し、経営の効率化ができるため、多くの企業が活用を始めています。
しかし、一部からは「SAPエンジニアはやめておけ」と言われることがあるのです。
今回はSAPエンジニアがなぜやめておいたほうがいいと言われる理由と、SAPエンジニアの魅力について解説します。
SAPエンジニアについて悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。
- SAPエンジニアはハイレベルな知識とスキルを求められる
- 高度な内容やプレッシャーに耐えきれずにやめてしまうことが多い
- 高度なスキルを身に着けられるので高い報酬が得られる
- 今後SAPエンジニアの需要が増えると考えられる
【なぜ?】SAPエンジニアはやめとけの理由
SAPエンジニアはなぜやめとけと言われるのか、その理由について以下の項目に沿って解説していきます。
では、上記の5項目について詳しく内容を確認していきましょう
ハイレベルなスキルを求められ業務の難易度が高い
SAPエンジニアには以下の5つの高度なスキルと知識が求められます。
ABAP |
他の場面で使用されることはない、ASPシステムのみで使用される言語です。
の3つがあります。 |
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SAPモジュール |
SAPのモジュールは
の4つがあり、これらの知識が必要です。 |
マネジメントスキル |
SAPのプロジェクトは大人数になることが多いです。 そのため、コミュニケーション能力や進捗・タスクなどの管理能力が必要になります。 |
ERPモジュール |
業務システムを一括管理できるプラットフォームを構成することを指します。 業種や業態によって導入するモジュールが変わってきますが、
などが基本とされることが多いです。 |
英語力 |
海外案件を取り扱う場合やSAPの最新情報を得るのためにビジネスレベルの英語力が必要になることがある。 |
上記のスキルは「SAP認定コンサルタント」の資格を取得することでも得ることが可能です。
しかし、日本語で出題されるSAP認定コンサルタントの資格は50種類以上あるため、自分に合った資格を取得したほうがよいのか、よく考える必要があります。
また、実戦経験を積むことでスキルが身につくことが多いエンジニアでもあり、難易度も高いため、他の業務に比べてきつく感じることが多くなってしまうのです。
深夜残業や休日出勤にも対応しなければならない
SAPエンジニアの使用するERP製品とは、企業運営をするうえで基幹システムに当たります。
基幹システムがきちんとしていなければ、他の業務に悪影響を及ぼしてしまうのです。
そのため、トラブル対応をするために深夜残業や休日に緊急出勤をしなくてはいけないこともあります。
基幹システムは対応に緊急性や迅速性を求められるので、労働時間が苛酷になってしまうのです。
システム上クレームが発生しやすくストレスが溜まりやすい
SAPは企業業務を支える基幹システムですので、クレームが発生しやすいシステムです。
クレーム対応はクレームが派生した場合、システムの問題なのか、ユーザーの問題なのかを迅速かつ正確に対応しなければ、企業業務に影響を及ぼしてしまいます。
対応が遅くなるとさらにクレームが大きくなることもあるかもしれません。
クレーム対応は対人関係のストレスが溜まりやすいものです。
うまくストレス発散できなければ、仕事のプレッシャーに押しつぶされてしまうかもしれません。
最新技術のキャッチアップを行う必要がある
SAPは大規模で複雑なシステムです。
モジュールの数が多く存在し、そのモジュールについて専門的な知識やスキルが必要になります。
また、SAPに新バージョンがリリースされた場合、新しい機能を正確に理解し、今後のシステムに適用できるかどうかを見定めることも重要です。
また、近年では最新のIT技術をSAPに取り入れて運用していくことが一般的になっています。
そのためには、新しい最新IT技術を理解することや、スキルを身に着けることも必要です。
導入の失敗は許されないためプレッシャーが大きい
SAPは企業の中核的な部分を担う重要なシステムです。
システムの導入に失敗してしまうと、企業にとって大きな影響を及ぼす可能性があり、それにより企業のイメージが損なわれる危険性もあります。
そのためシステムの導入に失敗は許されません。
責任の大きな仕事になるのでやりがいにもなる反面、それが大きなプレッシャーに感じてしまうエンジニアもいます。
また、システムの導入時には労働時間も苛酷になるため、精神的に追い詰められてしまうことがあります。
SAPエンジニアを辞めた人に多い退職理由
SAPエンジニアをやめてしまった理由はさまざまありますが、特によく聞かれる退職理由に以下の2つがあります。
では、詳しく内容を確認してみましょう。
5年以上続けても結果を出せず自分には向いていないと思った
2025年に現在のECC6.0のメインストリームサポートが終了します。
そのため、多くの企業がERPシステムの移行対応を行う必要があるのです。
しかし、SAPの新しいバージョンであるS4/HANAは難易度の高いシステムとなっています。
高度な知識やスキルが求められるだけでなく、2025年という限られた時間の中で移行作業を終了させなくてはいけません。
S4/HANAの難易度はECC6.0よりもかなり高いため、5年以上SAPエンジニアを務めた自分でも結果を出すことが難しく、自分には向いていないのではないかと思いました。
複雑なプロジェクトが多くプレッシャーに耐えられなかった
SAPエンジニアと一言で言ってもさまざまなプロジェクトがあるので、仕事内容はさまざまです。
どの仕事内容も他のシステム開発よりも高度な内容が求められます。
しかし、企業の基幹システムである以上、間違いはできません。
複雑な内容のプロジェクトを成功させるために学ばなければならないことがたくさんありますが、忙しさに追われなかなか時間が取れませんでした。
SAPエンジニアには正確にビジネス要件やプロセスを理解するスキルが必要です。
しかし、そのプレッシャーに耐えることが私にはできませんでした。
SAPエンジニアとして働く魅力
ここまではSAPエンジニアはやめておいたほうがよい理由を解説してきましたが、一方でSAPエンジニアには以下のような魅力もあります。
ではそれぞれ詳しく内容を確認してみましょう。
経験を積みコンサルタントになれば高い報酬を得られる
SAPエンジニアは他のIT業種と比べると高い年収を得られる職業です。
また、経験を積むことでスキルを得られればさらに高い報酬を得ることができます。
専門性が高いほど、年収だけでなく好待遇で働くことも可能です。
フリーランスになれば自分のスキルにあった報酬を企業と直接交渉することができるため、企業に勤めているときよりもさらに高い報酬を得られる可能性があります。
プロジェクトは多岐に渡るため多様なキャリアの選択肢がある
SAPエンジニアの携わるプロジェクトにはさまざまな種類があります。
もともとSAPエンジニアの人材は多くないため、プロジェクトに関わっていくうちにリーダーシップやマネジメントスキルも身についていきます。
将来的にはプロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーを任されることもあります。
SAPエンジニアとしての道を究めるだけでなく、SAPエンジニアの知識を活かしてSAPコンサルタントに転職することもできます。
リモートワークにも対応しやすく柔軟に働くことも可能
SAPエンジニアの仕事は現場で働くだけでなく、リモートワークで働くことも可能です。
近年はコロナ禍の影響でリモートワークで働く職業が増えてきましたが、SAPエンジニアもPCとインターネット環境があればどこでも対応することができます。
エンジニアが在宅で働いている企業も数多くあります。
特にフリーランスに転身すれば、仕事量や仕事のタイミング、報酬を自分で調節できるので、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方をすることも可能です。
そのためには数多くのプロジェクトをこなし、一人で仕事ができるスキルを身に着けることが重要です。
SAPエンジニアの基本情報【仕事内容・待遇】
ここではSAPエンジニアの仕事内容や待遇についてご紹介します。
では1つずつ詳しく確認してみましょう。
SAPエンジニアの業務は設計開発から保守運用まで多岐に渡る
SAPエンジニアには大きく以下のような業務があります。
-
- SAPシステムの運用や保守
- アドオン開発
- クライアントへの報告
- コンサルティング
SAPエンジニアにはシステムを運用するために会社の組織体をSAPにパラメータ設定しなくてはいけません。 これはSAPエンジニアの大きな特徴の1つです。
業務内容は専門的な知識が必要になるため、とても希少性の高い職種となっています。
SAPエンジニアの平均年収【ポジション別】
SAPエンジニアは他のエンジニアと比べて平均年収が高いとされています。
SAPエンジニア |
仕事内容:SAPの導入や開発を行います。 年収:400万円~800万円 |
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SAPアプリケーションエンジニア |
仕事内容:SAPアドオン機能の基本設計〜テスト、保守運用までを行います。 年収:360万円~650万円 |
SAP導入エンジニア |
仕事内:大手メーカーへのITソリューション営業をし、SAPシステムの導入や開発、保守業務を行います。 SAP未経験でも働くことが可能です。 年収:360万円~ |
上記のように、SAPエンジニアは経験やスキルによって年収も大きく変わってきます。
SAPエンジニアの将来性は右肩上がりと予想される
SAPエンジニアは現在でも希少性の高い職種となっていますが、将来性が高くなっていくと考えられています。
ここでは以下の内容について解説いたします。
では、1つずつ内容を詳しく確認してみましょう。
2025年を機にSAPエンジニアの需要が激増する
日本国内で導入されているSAPシステムは2025年に保守サポート期限を迎えます。
保守サポート終了後も使用することが可能ですが、費用やサポートを考えた場合、多くの企業が新しいシステムに切り替えると考えられます。
しかし、新しいシステムは対応OSやアーキテクチャが大幅に変更されているので、現状のシステムとはほぼ別のシステムといっても過言ではありません。
システムを切り替えるために多くのSAPエンジニアが必要ですが、現在のSAPエンジニアでは需要に足りていない状況です。
2025年に合わせてシステムの切り替えをするためにも、SAPエンジニアの需要は増加していくものと考えられます。
日本企業のグローバル化も追い風となりSAPの導入増が予想される
日本企業は今後グローバル化していく企業が増加すると予想されます。
SAPは複数の国の言語や慣習を一元化することができるので、さらに多くの企業が導入すると考えられます。
そのため、多くのSAPエンジニアが必要になってくると言えます。
【まとめ】SAPエンジニアはやめとけ?
SAPエンジニアは専門性が高く、プレッシャーも大きい職種なので、やめとけと言われることが多いです。
しかし、専門性が高く希少性があるため、高収入を得ることができます。
自分が今後どのようなエンジニアになりたいのか、SAPエンジニアにその可能性があるのかをよく考え、今後の働き方について検討をしてみてください。